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米4~6月期の家計資産は過去最高を更新、株価上昇も寄与

by • September 30, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1723

Household Wealth Hits Record High Again, Thanks To Stock Market Rebounds.

米連邦準備制度理事会(FRB)が9月20日に公表した、4~6月期家計資産報告(旧・資金循環報告)によると、家計・非営利団体の純資産は前期比2.1%増の106兆9,292億ドルだった。11期連続で統計開始以来の最高を更新している。

家計・非営利機関の資産のうち、金融資産(貯蓄、株式、投資信託、債券、年金、保険などを含む)は前期比2.0%増の87兆8,021億ドルと、11期連続で増加するともに過去最高を更新。1~3月期に10%下落したS&P500が上昇に転じたことが大きい。株式は市場価値ベースで2.9%増の30兆1,452億ドル(直接、間接保有含む)と、2015年7~9月期以来のマイナスに落ち込んだ前期の1.1%減からプラスに転じた。金融資産における株式の割合は34.3%総資産での割合も24.6%と、それぞれ2000末で最大を示した2017年末の水準に再び近づいた。投資信託も2.6%増の6兆30億ドルと、2010年4~6月期以来の減少を示した前期から増加に転じた。債券は6.8%増の5兆2,897億ドルと3期連続で増加した。

家計・非営利機関の純資産の可処分所得比は691.9%、株式資産などを支えに過去最高を更新。

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金融資産、総資産に占める株式資産の比率も2000年以来の高水準近くへ戻す。

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(作成:My Big Apple NY)

家計・非営利機関の預金残高は前期比0.2%増の12兆4,415億ドルと4期連続で増加し、3期連続で過去最高を更新した。民間での年金資産は株高・債券高の再来を受け1.5%増の3兆9,842億ドルと過去最高を更新、2015年7~9月期以来の減少した前期からプラス圏を回復した。

家計部門の不動産資産は、住宅の値上がりや需要拡大を背景に前期比2.0%増の28兆8,162億ドルとなり全体を支えた。2011年7~9月期からの増加基調を保つ。住宅ローンは0.6%増の10兆2,063億ドルと小幅ながら増加基調をたどるなか、ホーム・エクイティ(住宅の評価額から住宅ローンの残債を差し引いた価値)は少なくとも18兆ドル付近と弾き出せる。住宅価格の上昇を手掛かりに、持ち家が占める家計資産の割合は59.9%と2002年4~6月期以来の60%回復に迫った

持ち家が占める家計資産の割合、住宅価格の上昇を追い風に改善をたどる。

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(作成:My Big Apple NY)

国内債務は、前期比年率4.6%増の50兆7,097億ドルだった。2期連続で、州・地方政府以外の全てで債務が増加した。詳細は以下の通り、伸びは全て前期比年率。

>家計の債務は2.9%増の15兆3,813億ドル、2011年10~12月期からの増加基調を維持
>消費者信用は4.0%増の3兆9,037億ドル、2011年7~9月期からの増加基調を維持
>住宅ローンは2.5%増の10兆2,065億ドル、2014年4~6月期からの増加基調を維持
>非金融セクターの企業は4.6%増の14兆7,896億ドル、2011年1~3月期からの増加基調を維持
>連邦政府は6.9%増の17兆4,589億ドル、2期連続で増加
>州・地方政府は0.4%減の3兆8,052億ドル、2期連続で減少

家計・非営利団体の債務は可処分所得に対し101.8%と、2001年7~9月期以来の低水準だった。家計債務の可処分所得に対する債務比率は99.5%と、こちらも2001年7~9月期以来で最低となった。2007年10~12月期んつけたピーク時にあたる133.8%から大幅に改善した。

可処分所得に占める家計債務は再び低下、個人消費の追い風となるか。

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(作成:My Big Apple NY)

――家計債務の可処分所得比率は低下をたどり、家計純資産の可処分所得比は過去最高を記録するなど、家計のバランスシートは健全そのもの。7月のGDPデータ改定に伴い貯蓄率も大幅に上方修正され、足元で家計発の債務不履行を引き金とした危機は近い将来、訪れそうにありません。

(カバー写真:Matt Clare/Flickr)

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