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9月の製造業景況指数、ISMとマークイット共に追加関税の影響表す

by • October 2, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1363

Manufacturing Sentiment Mixed, But Shows The Tariff Effects.

米9 月ISM製造業景況指数、米9月マークイット製造業PMI確報値、米8月建設支出をおさらいしていきます。

米9月ISM製造業景況指数は59.8となり、市場予想の60.0を下回った。2004年5月以来の高水準を遂げた前月の61.3にも届かず。トランプ政権が鉄鋼・アルミ関税を3月に発動し6月からはEU、カナダ、メキシコに拡大、さらに通商法301条を根拠とした対中関税措が7月6日発動。その裏でEUとは米欧首脳会談で7月に関税撤廃交渉開始で合意し、8月にはメキシコとのNAFTA再交渉で合意した。ただし中国に対しては引き続き厳格な措置が続き、9月24日に自動車関税や対中知財関税として追加で2,000億ドル相当を発動するなか、センチメントは小幅に低下した格好だ。追加関税の影響が徐々に響き、受注残が再び足を引っ張ったほか、新規輸出受注も低下した。

詳細は、以下の通り。

・生産 63.9>前月は63.3、6ヵ月平均は61.1
・新規受注 61.8<前月は65.1、7ヵ月ぶりの高水準、6ヵ月平均は62.6
・雇用 58.8、7ヵ月ぶりの高水準>前月は58.5、6ヵ月平均は56.7
・在庫 53.3<前月は55.4と5ヵ月ぶりの高水準、6ヵ月平均は52.7

・新規輸出受注 56.0>前月は55.2と2017年10月以来の低水準、6ヵ月平均は56.0
・入荷遅延 61.1<前月は64.5、6ヵ月平均は63.2
・受注残 55.7<前月は57.5、6ヵ月平均は58.9
・仕入れ価格 66.9、年初来で最低<前月は72.1、6ヵ月平均は74.6

ISMのティモシー・フィオーレ会長は、結果を受け「回答者のコメントはビジネスの強さが拡大し続けていることを示し、需要も旺盛で新規受注は17ヵ月連続で60を上回った」と振り返った。人手不足に直面しながら「生産活動と雇用は、上昇した」とも指摘。ただし、一連の追加関税措置などによる「サプライチェーンの混乱に伴い入荷時間が延び、新規輸出受注も4業種で縮小した」。回答者は引き続き、今後の業績や工場の立地など追加関税措置への懸念を寄せたという。

▽米9月IHSマークイット製造業PMI・確報値、税制改正後の上昇を相殺

米9月IHSマークイット製造業PMI確報値は55.6と、市場予想と速報値に並んだ。2017年11月以来の低水準だった前月の54.7を上回り、5ヵ月連続の低下に歯止めを掛けている。新規受注が4ヵ月ぶりの水準へ上昇したため、受注残も上向いた。生産は年初来で最高に。ただし、雇用は13ヵ月ぶりの水準へ低下した。見通し指数も、1年ぶりレベルへ下向いた。

クリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、今回の結果を受け「生産が8ヵ月ぶりの水準へ上昇したほか新規受注も4ヵ月ぶりの高水準となり、製造業は嵐に見舞われながら耐性を見せている」と振り返った。ただし、追加関税措置への懸念が残り「見通しは1年ぶりの水準へ低下した」。また油価の上昇もあって、仕入れ価格が上昇は回避できず「在庫の積み上げを招いている」といい、今後の売上動向次第では在庫投資が鈍化し「成長を押し下げうる」と懸念を示す。

ISM製造業景況指数が小幅鈍化した一方、マークイット製造業PMIは小幅改善。

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(作成:My Big Apple NY)

――仕入れ価格は、追加関税措置を受けながら低下を続けています。パウエルFRB議長が物価上昇リスクを指摘しないはずですね。しかも、建設資材価格をはじめ、足元でアルミニウムなど一部の価格の伸び鈍化がみられています。ホリデー商戦辺りから追加関税発動の影響が及ぶとの指摘が聞かれましたが、果たしてこのまま物価安定を維持できるのでしょうか。

▽米8月建設支出、民間の非住宅が押し下げ予想以下

米8月建設支出は前月比0.1%増の年率1兆3,185億ドルとなり、市場予想の0.4%増を下回った。前月の0.2%増(0.1%増から上方修正)を含め、2ヵ月連続で増加した。建設支出の前年比は6.5%増と前月の6.0%増を下回ったが、力強い伸びを維持している。

内訳をみると、住宅が0.7%減と前月の0.3%増から転じ過去4ヵ月間で3回目の減少に。逆に、非住宅は0.7%増と増加基調を保った。

民間は前月比0.5%減と、前月の0.2%減を含め3ヵ月連続で減少した。住宅が0.7%減と過去4ヵ月間で3回目の減少となった上、非住宅は0.2%減と2ヵ月連続で減少した。公共は2.0%増と、前月の4.0%増を含め2ヵ月連続で増加した。住宅が2.0%増、非住宅も2.0%増とそれぞれ2ヵ月連続で増加した。

――米8月建設支出まで一連の経済指標を受け、アトランタ地区連銀は米4~6月期実質GDP成長率予測値を前期比年率4.1%増とし、従来の3.6%増から上方修正しました。仮に今期も4%成長となれば、2014年以来の快挙に。少なくとも、トランプ政権が目指す3%成長は堅い状況で、経済指標が中間選挙前に共和党の援護射撃となるのか注目です。

(カバー写真:Christian Haugen/Flickr)

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