How Much Debt Americans Have At Each Age Group.
アメリカ人の家計債務が7〜9月期に7期連続で過去最高を更新したように、消費意欲は引き続き旺盛なように見えます。
その陰で、自動車ローンや学生ローンをはじめ、住宅ローンを除き延滞率もジワリと上昇していました。果たして、年齢別での家計債務はどうなっているのでしょうか?NY連銀が、7〜9月期から追加した統計結果で教えてくれます。債務残高の年齢別動向は、以下の通り。
過去最高を更新する学生ローンが頭の片隅にあると、ミレニアル世代をはじめ若い世代が債務残高の拡大を牽引していると予想しますよね?蓋を開けてみると、18〜49歳の間ではシェアは低下し、むしろ中高齢層で上昇しているのですよ。例えば2003年1〜3月期に18〜29歳のシェアは7.9%、30〜39歳は24.8%、50〜59歳は22.7%、60〜69歳は9.4%、70歳以上は4.1%でした。しかし、直近の2018年7〜9月期では18〜29歳で7.1%、30〜39歳で20.8%、40〜49歳で25.3%、50〜59歳で23.6%、60〜69歳で15.4%、70歳以上で7.8%でした。70歳以上にいたっては、この15年間でシェアが2倍に膨らんだ格好です。
若い世代に占める債務残高のシェアが低下した理由は、住宅保有率が挙げられます。7~9月期は64.4%と4年ぶりの水準を回復したとはいえ、なかなか景気後退前の67~69%にまだ距離を残します。金利上昇と価格高騰でマイホーム需要が低下すれば、住宅保有率の改善ペースが鈍化してもおかしくありません。
年齢別に債務残高の項目別シェアを切り取って見ると、当然ながら住宅ローンの比率が70%を超えるのは40歳以上に集中します。
何より目を引くのは、ホームエクイティ・ローンのシェアです。ローン完済が近づくと、今度はホームエクイティ・ローンに手を出す中高齢層が出てくるようで、年齢を重ねるにつれシェアが拡大する有様。それだけではありません。クレジットカードのシェアも、年齢が進むにつれて上昇している点は懸念材料と言わざるを得ません。定年前の給与水準を下回る賃金で再就職しているためなのか、あるいは完全に定年した後でも消費に積極的なのか数字だけでは判然としません。しかし、こちらで紹介したように、米国では中間層が定年を機に貧困に陥るリスクが問題視され始めています。
足元で、米国の家計債務は決して危険水域にはありません。ただ、金利上昇と景気減速が、若い世代だけでなくこうした中高齢層の債務返済を直撃するリスクに留意しておくべきでしょう。
(カバー写真:eric731/Flickr)
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