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米10月新築住宅販売は3ヵ月ぶり減少も、前月は約12年ぶりの高水準

by • November 29, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off1505

New Home Sales Decline From 12-Year High.

米10月新築住宅販売件数、9月のS&P/ケースシラー住宅価格指数とFHFA住宅価格指数をおさらいしていきます。

米10月新築住宅販売件数は年率73.3万件と、市場予想の70.5万件を超えた。2007年7月以来、約12年ぶりの高水準を遂げた前月の73.8万件(70.1万件から上方修正)を0.7%下回る。3ヵ月ぶりの減少となった。前年比では31.6%増と、5月を除く年初来での増加基調を保った。

4大地域別では、2地域で増加し前月の3地域を下回った。今回、IT企業が集まる西部が7.1%増(増加に反転)の19.5万件だったほか、中西部が4.2%増(2ヵ月連続で増加)の7.5万件だった。一方で、住宅規模が最大の南部も6.0%増(3ヵ月ぶりに減少)の43.6万件、北東部は0.7%減の2.7万件(4ヵ月ぶりに減少)となった。

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(作成:My Big Apple NY)

在庫総数は、前月比0.3%増の32.2万件だった。在庫が増加し販売件数が減少した結果、在庫相当は5.3ヵ月と前月の5.2ヵ月から延びた。

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(作成:My Big Apple NY)

中央価格は31.67万ドルと、前月の31.02万ドルから2.1%上昇した。なお、2017年11月に34.34万ドルと過去最高を更新した。前年比では3.5%下落し、2ヵ月連続で下落した。在庫ひっ迫に喘ぎつつ、前年比で値上がりが抑えられた格好だ。

――米10月新築住宅販売件数は減少しつつも、2007年以降で初めて3ヵ月連続で70万件を超えました。米11月NAHB住宅市場指数が高止まりしている通り、Fedの今年3回の利下げが奏功し住宅需要を押し上げたもよう。Fedは今後、金利据え置きへシフトしていくなかで金利上昇が抑制され、労働市場が引き続き堅調であれば、ミレニアル世代をの需要増を追い風に住宅市場拡大の期待が募ります。

▽米9月S&P/ケースシラー住宅価格指数、20都市は約7年ぶりの低い伸び

米9月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前)は前年同月比3.22%上昇の212.20と、前月の211.95(修正値)を抜け過去最高を更新した。2012年9月以来の低い伸びとなる。20都市別の季節調整前では2.10%上昇の218.27となり、市場予想の2.0%を上回った。2012年8月以来の低い伸びだった前月の2.02%(2.03%から下方修正)を超える伸びに。季節調整済み・20都市別の前月比は0.36%の上昇と、市場予想の0.3%を上回り、前月の0.15%(0.16%の低下から上方修正)より強い伸びとなった。

S&P500/ケースシラー住宅価格指数、20都市の前年比(季節調整前)は2012年8月以来の低い伸び。
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(作成:My Big Apple NY)

20都市別での季節調整済みベース・前月比では、8月に続き17都市で上昇した。トップはワシントン州シアトルで0.77%上昇、次いでカリフォルニア州ロサンゼルスが0.72%上昇、8月に1位だったアリゾナ州フェニックスが0.61%上昇、全て西部の都市が占めた。一方で、ワースト1位はカリフォルニア州サンフランシスコが0.18%の低下、次いでイリノイ州シカゴが0.16%の低下、マサチューセッツ州ボストンが0.09%の低下となった。

▽米9月住宅価格指数、前年比は5%台を回復

米住宅金融公社(FHFA)が発表した米9月宅価格指数は前月比0.6%上昇し、市場予想の0.3%を上回った。前年比は5.1%上昇し、2012年3月以降の上昇トレンドを維持。2015年1月以来の5%割れとなった前月の4.7%から改善した。国勢調査ベースの9地域別では、前月比にて全て上昇、8月の7地域を上回った。

FHFAが公表する住宅価格指数は、米連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関(GSE)の買取基準額を超えるジャンボ・ローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従ってS&Pケース/シラー住宅価格指数とは対象が異なり、数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。

――住宅価格の上昇ペースはS&P/ケースシラー住宅価格指数と合わせ、再び上向きました。FHFAは、ジャンボローンや低所得者受けのサブプライムなどを含まないGSE買取基準がベースですが、今回は住宅市場の実態を表すS&P/ケースシラー住宅価格指数も金利低下を受け需要回復の兆しをみせています。住宅市場の回復は低金利と力強い労働市場の継続がカギとなりますが、果たして両者が共存できるのか、ひとまず米中貿易協議・第1段階の合意の妥結・署名が待たれます。

(カバー写真:MissMessie/Flickr)

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