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米12月個人消費は堅調も所得は鈍化、貯蓄率は5ヵ月ぶり低水準

by • February 4, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off1734

Stronger Personal Spending With Slower Income Growth Means Lower Saving Rate.

米12月個人消費支出は前月比0.3%増と、市場予想と一致した。前月の0.4%増を下回りつつ、10ヵ月連続で増加している。前年比では5.0%増と、前月の3.8%増を上回り2018年11月以来の高い伸びを果たした。インフレを除く実質ベースでの個人消費は前月比0.1%増と市場予想と一致、2ヵ月連続で増加した。前年比では3.3%増となった。2018年の平均値である3.0%以下が続く。

個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。米12月新車販売台数が1,700万台を割り込むなか、耐久財が減少に反転した。非耐久財は、ガソリン価格の上昇を背景に2ヵ月連続で増加。サービスは堅調トレンドを維持した。

・モノ 0.291%増、前月の0.443%増を下回りつつ10ヵ月連続で増加
>耐久財 0.822%減、前月の0.985%増から反転
>非耐久財 0.865%増、前月の0.179%増と合わせ2ヵ月連続で増加
・サービス 0.326%増、前月の0.439%増と合わせ2012年9月からの増加基調を維持

個人所得は前月比0.2%増と、市場予想の0.3%増を下回った。前月の0.4%増(0.5%増から下方修正)に届かず、もっとも増加トレンドを15ヵ月に伸ばした。前年比では3.9%増と、2017年1月以来で最も低い伸びとなる。実質ベースでは前月比横ばい、GMのストライキ収束を受け増加した前月の0.3%増から転じた。米12月雇用統計で確認したように賃金が小幅鈍化したとはいえ堅調だったほか、金利上昇を背景に金利収入が支えた半面、約1年半継続する農業経営者向け補助金が減少し所得の伸びを抑えた。前年比は2.3%増と、2017年2月以来の低い伸びとなった。

可処分所得は前月比0.2%増となり、2ヵ月連続で増加した。前年比は3.6%増と、2017年1月以来の4%割れとなる。実質ベースの可処分所得は前月比0.1%減となり、前月の0.3%増から反転、10月に続きマイナスに振れた。前年比は2.0%増と、2012年2月以降で最も低い伸びにとどまった。貯蓄率は個人所得の伸びが消費を下回ったため7.6%と、5ヵ月ぶりの水準へ低下した。

消費の伸びが所得を上回り、貯蓄率は5ヵ月ぶりの低水準。

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(作成:My Big Apple NY)

所得の内訳は、前月比で以下の通り。

・賃金/所得 0.3%増と6ヵ月連続で増加(民間が0.3%増、サービス部門は0.4%増、財部門(製造業、鉱業、建設)が0.1%増)
・経営者収入 1.5%減、前月は1.7%増(農場が60.9%減と前月の78.9%増から落ち込み、非農場は0.7%増と3ヵ月連続で増加)
・家賃収入 0.6%増と3ヵ月連続で増加、前月は0.6%増
・資産収入 1.0%増、前月は0.1%増(配当が0.2%増と3ヵ月ぶりに減少、金利収入は1.6%増と2ヵ月連続で増加)
・社会補助 横ばい%、前月の0.1%増を下回り増加基調にブレーキ
・社会福祉 横ばい%、前月の0.1%増を下回り増加基調にブレーキ(メディケア=高所得者向け医療保険は0.5%増と増加基調を維持、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.1%減と3ヵ月連続で減少、失業保険は3.9%増と減少に反転、退役軍人向けは1.2%増と増加基調を維持、その他は0.2%増)

個人消費支出(PCE)デフレーターは前月比0.2%上昇し、市場予想の0.1%を上回った。原油価格が11月の50ドル後半から60ドル台を回復するなか、全体の物価を押し上げた。前年比は1.6%上昇、前月の1.4%(1.5%から下方修正)を上回りつつ市場予想通りだった。コアPCEデフレーターは前月比0.2%上昇し、市場予想の0.1を上回った。10ヵ月連続でプラスを示す。コアPCEの前年比は市場予想の1.5%(1.6%から上方修正)を超え1.6%だったが、年初来から続くFOMCのインフレ目標値(2%)以下を維持している。

PCEコアは、11ヵ月連続でFOMCの目標値以下に。

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(作成:My Big Apple NY)

――1月FOMC声明文は、家計支出に対する記述を前回の「力強い拡大」から、「ゆるやかなペースで拡大している」から差し替えられました。ただし、Fedは労働市場の好調ぶりを評価し、所得を支える見通しを示します。所得の伸び鈍化は個人消費の勢いを削ぐリスクをはらむものの、Fedは物価の文言を修正した程度だったように、下方リスクに意識を高めているようには見えません・・・現時点では、ですが。

(カバー写真:Jason Mrachina/Flickr)

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