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米1月小売売上高は服飾とガソリンが押し下げ、米1月CPIはコアが底堅さ示す

by • February 17, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off2819

Retail Sales Edges Up, Services Price Pushes Up Core CPI.

米1月小売売上高は前月比0.3%増と、市場予想と一致した。前月の0.2%増(0.3%増から下方修正)を含め、年末商戦の前哨戦が展開される2019年10月以降、4ヵ月連続で増加した。自動車を除いた場合は0.3%増とこちらも市場予想通りとなり、前月の0.6%増(0.7%増から下方修正)と合わせ2ヵ月連続で増加した。

ただし、国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は横ばいにとどまり、市場予想の0.3%増並びに前月の0.2%増(0.5%増から下方修正)に届かなかった。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、主要13カテゴリー中9種で増加し、前月の7種を上回った。今回、特に目覚ましい増加を遂げたのは雑貨と、住宅保有率の改善を背景に建築・庭園となる。家具や一般小売も堅調。暖冬を追い風に外食は2ヵ月連続で増加した。一方で、原油価格が4ヵ月ぶりの50ドル割れに差し掛かるなか、ガソリンスタントが弱い。また、暖冬が仇となり服飾が大きく落ち込んだ。項目別の詳細は、以下の通り。

(プラス項目)
・雑貨→2.3%増<前月は1.4%減、6ヵ月平均は0.7%増
・建築材/園芸→2.1%増、3ヵ月連続で増加>前月は1.3%増、6ヵ月平均は0.7%増
・外食→1.2%増、2ヵ月連続で増加=前月は1.2%増、6ヵ月平均は0.4%増

・家具→0.6%増>前月は1.6%減、6ヵ月平均は0.1%減
・一般小売→0.5%増、4ヵ月連続で増加>前月は0.4%増、6ヵ月平均は0.1%増
(*百貨店は0.1%増>前月は0.6%減、6ヵ月平均は0.7%減)
・無店舗(主にネット)→0.3%増、5ヵ月ぶりに増加>前月は0.1%減、6ヵ月平均は0.1%増

・自動車/部品→0.2%増>前月は1.7%減、6ヵ月平均は0.4%増
・食品/飲料→0.2%増、4ヵ月連続で増加<前月は0.5%増、6ヵ月平均は0.1%増
・スポーツ用品/書籍/趣味→0.1%増>前月は横ばい、6ヵ月平均は0.3%減

(マイナス項目)
・ヘルスケア→0.4%減、3ヵ月連続で減少=前月は0.4%減、6ヵ月平均は0.4%減
・電気製品→0.5%減、過去4ヵ月間で3回目の減少<前月0.4%増、6ヵ月平均は0.3%減
・ガソリンスタンド→0.5%減、4ヵ月ぶりに減少<前月は1.7%増、6ヵ月平均は0.4%増
・服飾→3.1%減、過去4ヵ月間で3回目の減少<前月は2.7%増、6ヵ月平均は0.3%減

――コントロール小売売上高が弱含み、個人消費に鈍化のサインが点灯したかのようです。その一方で、家計債務住宅保有率が示すように住宅関連の小売は堅調で、雑貨のほか建築・園芸が2%以上の増加を達成したほか、外食も2ヵ月連続で1%台の伸びを示し裁量消費にブレーキが掛かったとも言い切れず。服飾の落ち込みは暖冬の反動で、ガソリンスタンドも落ち込みも原油安によるものです。問題は今後、新型コロナウイルスが影響し外食などの消費が冷え込むか否か。足元で米1月消費信頼感指数などは高水準にあり、堅調なペースを維持する望みをつなげていますが、どうなるでしょうか。

▽米1月CPI、エネルギーの低下を帰属家賃や服飾などが打ち消し

米1月消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%上昇し、市場予想並びに前月の0.2%を下回った。原油先物が新型コロナウイルスを背景に2月にかけ約4ヵ月ぶりに50ドルを割り込む過程で、エネルギー(全体の7.8%)が0.7%低下し、全体を押し下げた。ガソリンも1.6%低下し、エネルギーと合わせて4ヵ月ぶりにマイナスに反転した。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は1月に一時2.506ドルへ下落、2017年12月末以来の水準へ落ち込んだ。その他のエネルギーでは電力など公益が0.6%上昇、鉱工業生産では暖冬を受けて低下していたものの、プラスに転じた。エネルギー以外では食品・飲料が0.2%上昇し、5ヵ月連続でプラスだった。

CPIコアは0.2%上昇し、市場予想と一致した。前月の0.1%を上回った。項目別では、帰属家賃が過去3ヵ月連続での0.2%を経て、0.3%上昇した。家賃も前月の0.3%を上回り0.4%に。ホテルなど宿泊は、前月の1.4%の低下から0.2%の上昇に転じた。結果、住宅全般では前月の0.2%から0.4%へ上昇した。

その他をみると、サービスが0.3%上昇し、2004年以来で最高の伸びとなった。特に医療費が0.2%と上昇トレンドを維持したほか、教育が大学授業料などがけん引し0.4%上昇した。娯楽は0.3%上昇し、4ヵ月連続でプラスを示した。服飾は年末商戦の値下げが一服したためか0.7%上昇し、3ヵ月連続でプラスとなる。一方で、輸送は0.6%とマイナスに反転。強く伸び、民間輸送が0.7%低下し前月の上昇分を打ち消した。さらに自動車も0.4%低下し前月の0.2%と合わせマイナス、中古車が1.2%低下し4ヵ月連続で落ち込んだためで、新車は横ばいだった。航空運賃は0.7%上昇した。

CPIの前年比は2.5%上昇、市場予想の2.4%並びに前月の2.3%を超え2018年4月以来の強い伸びを示した。コアCPIは市場予想の2.2%を上回り、4ヵ月連続で2.3%の上昇となった

CPIは前年比で2018年4月以来の高水準、コアは4ヵ月連続で2.3%。

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(作成:My Big Apple NY)

――今回、帰属家賃のほか医療費、教育、娯楽、服飾など全般的に上向き、エネルギー関連の押し下げを相殺しました。もっとも、自動車や教育のうちパソコンや通信費などが伸び悩み、CPIコアの伸び悩みにつながっています。今後、中国で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響でサプライチェーンが停滞し部品や関連品の調達不足が発生すれば、生産者物価指数が押し上げCPIに波及しかねず。ただFedは、相対的な物価目標2%を掲げる以上、多少の上振れを容認するのでしょう。特に物価目標の修正・変更を協議するなかでは、尚更です。

他の物価指標をみると、NY地区連銀でまとめた1月インフレ期待と12月のダラス連銀のトリム平均PCEは下げ渋りをみせています。

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(作成:My Big Apple NY)

賃金上昇率はむしろ加速、2018年9月以来の水準へ伸びていました。現時点で、Fedが懸念するような物価の一段の下振れは回避しつつあるようです。

(カバー写真:Northwest Retail/Flickr)

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