July Existing Home Sales Up 4th month In A Row.
全米リアルター協会(NAR)が発表した米6月中古住宅販売件数は515万件となり、市場予想の500万件より強い結果となった。前月の503万件(504万件から下方修正)を2.4%上回り、4ヵ月連続で増加。10ヵ月ぶりの高水準を遂げた。
内訳をみると、一戸建てが前月比2.7%増の455万件と4ヵ月連続で増加し寄与。複合住宅は±0%の60万件と、前月の増加から横ばいに転じた。
4大地域別でみると、6月に続き3地域で増加。今回は北東部のみ横ばいで64万件。最も住宅市場の規模が大きい南部は、3.4%増(前月の横ばいから増加に反転)の212万件だった。西部は2.6%増(4ヵ月連続で増加)の117万件、中西部も1.7%増(3ヵ月連続で増加)の122万件を示した。
在庫件数は、前月比3.4%増の237万件と足元で最大となった。在庫とともに販売件数も増加したため、在庫相当は3ヵ月連続で5.5ヵ月。金融危機後で最も短期化した1月の4.3ヵ月からは、遠のいた水準を保つ。中央価格は前年比で4.9%上昇の22.29万ドル。4ヵ月連続で20万ドルに乗せ、2007年8月以来の高水準。前月比では0.4%上昇し、6ヵ月連続で前月比プラスだった。売り出し平均期間は48日と前月の44日から延び、足元最短だった2013年6月の37日を上回った水準を保つ。
買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件 6%<前月は8%、前年同期比9%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 3ヵ月連続で3%、前年同月は6%
・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 9%<前月は11%、前年同月比は15%
・新規購入者 29%>前月は28%、前年同月は29%
・現金での購入者 29%<前月は32%、前年同月は31%
・住居用ではなく投資向け 3ヵ月連続で16%、前年同月も16%
JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「中古住宅販売件数は(金利上昇に直面した)2013年7月から寒波を受けた今年3月まで15%減少した後、7月まで4ヵ月連続で増加する過程で12%取り戻した」と説明し、住宅市場の改善を評価した。また「不良債権物件の割合も9%と、金融危機が直撃した2008年後半以来の水準まで低下した」と指摘し、市場全体の正常化を示唆していた。
以上、全体的に中古住宅市場は金利低下を支えに、勢いを取り戻しつつあるようです。こちらでお伝えしたように、今回の利上げサイクルがゆっくりとしたペースで大幅引き上げはないとの認識が支えになっているの可能性も。住宅ローン貸出に積極的にならざるを得ない銀行がなりふり構わぬプロモーションを掛けている事情もあり、比較的お手頃な中古住宅市場では回復の芽がスルスルと伸びやすかったのでしょう。米7月住宅着工件数と合わせモメンタムが持続的なのか、見極めていきたいところです。
(カバー写真:Stephen Harris)
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