FOMC Minutes Signal Risks From Strong Dollar And Weaker Overseas Growth.
9月16−17日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録は、予想外にハト派へ急旋回を遂げました。
議事録の注目ポイントは、以下の通り。
1)下半期の成長見通しを下方修正、ドル高や住宅価格の伸び鈍化が要因
2)インフレは向こう数年間にわたり2%以下で推移へ、原油安が予想以上に加速
3)複数の参加者は、経済鈍化と低インフレがドルを一段と押し上げるリスクに警戒
4)ドル高による米輸出企業の影響を懸念
5)中国、日本の景気鈍化、中東情勢、ウクライナも不安定材料
6)2人の参加者は、ドル高の影響でインフレ目標の2%回帰が後ろ倒しとなる可能性を指摘
7)多くの出席者が「大いなる労働資源の活用不足(significant underutilization)」で一致、数人の出席者は雇用統計・非農業部門就労者数に重点を置く姿勢に慎重
8)複数の参加者は、現行のフォワード・ガイダンスは参加者が予想する以上に第1弾の利上げまでに時間をかけ追加利上げも緩やかとなる可能性を示していると判断し、それを適切とみなす
9)「相当な期間(considerable time)」の低金利との文言は、経済指標次第というより低金利を確約する文言と誤解されている
10)ほとんどの出席者がフォワード・ガイダンスの透明性を求める
11)1人の参加者はインフレ見通しに沿った数値ベースの水準設定を提案、数人の出席者は数値設定に反対
イエレン議長と米株相場の蜜月関係は、まだまだ続く?
(出所:CNBC)
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFed番であるジョン・ヒルゼンラス記者は、「議事録は海外の成長鈍化、ドル安を懸念(Fed Minutes Show Concern About Weak Overseas Growth, Strong Dollar)」と題した記事で、これまで出口戦略をめぐる協議に時間を割いてただけにドル高と海外要因でもたらあれるディスインフレを意識し始めたのは「意外な展開」と伝えています。
BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー、ローラ・ロスナ—米エコノミスト両氏は、「大いなる労働資源の活用不足」をめぐる協議を受けて「やんわりとハト派寄りへにじり寄った」と分析。両氏は、早ければ12月のFOMCで「大いなる労働資源の活用不足は残りながら、解消されつつある(significant, but diminishing underutilization)」への変更を予想していただけに、出口政策へ向け急がないスタンスを示したことに意外感をもったことでしょう。また「9月FOMCでFF金利見通しを上方修正させたにも関わらず、市場予想とのかい離について言及がなかった」点を指摘しています。確かに 1)ドル高、2)世界経済の鈍化、3)ディスインフレ——に懸念を示した割に、FF金利見通しが強気なのは合点がいきません。
FOMC議事録で、家計支出と企業支出に楽観的だったのも興味深い。ハト派色を残しながらも、ドル高・海外要因さえはく落すれば利上げが可能とのスタンスを強調しているかのようです。マーケット動向を見ながらアクセルを踏んでいた足をブレーキへ移し、金融市場のクラッシュを回避しようとする意志が見え隠れします。おかげで、ダウ平均は274ドル高の16994.22ドルで引けました。残念ながら、終値での17000ドルは回復できませんでしたけど。
(カバー写真:CNN Money)
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