Morgan Stanley’s Q4 Revenue Decline Reflected Market Volatility.
モルガン・スタンレーが20日寄り前に発表した10−12月(第4四半期)決算では、純利益が前年同期比24%増の10億4800万ドルだった。1株当たり利益は47セントで、そのうち7セントは税制上の利点で押し上げられている。減税分と会計上の調整を除いた場合は39セントと、市場予想の48セントより弱い。収入は1.1%減の77億6400万ドル、会計上の調整済みベースでは2.5%減の80億900万ドルで市場予想の80億8000万ドルを下回った。
トレーディング収入は、前年同期比7.4%増の22億4900万ドルだったものの市場のボラティリティ上昇を反映し7−9月期の26億9700万ドルを下回った。競合との比較をみるとJPモルガンの36億4000万ドルをはじめ、ゴールドマン・サックス(GS)の31億4800万ドル以下に。ただしシティグループの24億6000万ドル、バンク・オブ・アメリカの24億1000万ドルは上回った。
債券・商品・為替(FICC)は13.7%減の5億9900万ドルとなり、7−9月期の9億9700万ドルから大きく減少した。クレジット関連や商品が押し下げている。特に原油取引・ストレージ業務は、ロシアのロスネフチへの売却で合意しており、収入を下押し。結果、GSを含め競合のFICC部門の収入を軒並み下回った。
株式は8.7%増の16億5000万ドルとなった半面、7−9月期から減少。FICC部門と同じくGSの19億3000万ドルに届かなかったものの、JPモルガンの11億ドル、バンク・オブ・アメリカの9億1100万ドル、シティグループの4億7100万ドルを上回った。
投資銀行部門は、前年同期比6.6%減の14億5600万ドルとなり、7−9月期の15億5100万ドルからも減少した。ただ競合のGSが計上した16%減の14億4000万ドルを超え、米国では首位を保つ。債券引き受け業務が6.7%減の4億6200万ドルとなり、7−9月期の4億8400万ドルからも減少。市場のボラティリティ上昇が背景となったためか出来高が減少し、株式引き受け業務は17.1%減の3億4500万ドルで7−9月期の4億6400万ドルも下回った。一方で助言業務は8.2%増の4億8800万ドルとなり、7−9月期の3億9200万ドルからも増加。前期に続き世界全体での新規株式公開(IPO)ランキングでトップの座を守り、世界全体の合併・買収(M&A)ランキングでも2位となる。
資産運用部門の収入は前年同期比2.4%増の38億400万ドルながら、7−9月期の37億7300万ドルから減少した。税引き前の利益率は19%と前年同期の22%だけでなく、同行の2015年末までの目標レンジ22−25%のレンジ以下にとどまった。報酬支払い費用が負担となったと説明している。顧客資産は2.0兆ドルとなり、GSの1兆1800億ドルを超えた。
2006年と2014年の部門収入比率をみると、資産運用への軸足シフトが鮮明。
(出所:Morgan Stanley)
株主資本利益率(ROE)は4.5%と、7−9月期の8.9%およびジェームズ・ゴーマン最高経営責任者(CEO)が目標として掲げる10%以下にとどまる。法務費用が2億8400万ドルと前年同期の14億ドルから大幅に縮小したため、非金利費用は1.9%減の78億9700万ドルだった。もっとも賃金が27.8%増の51億400万ドルで、収入に占める福利厚生を含めた賃金の割合は66%と7−9月期の47%および前年同期の51%を超えた。中核的自己資本(コアTier1)比率は14.2%と7−9月期の14.3%にあと一歩及ばなかった半面、前年同期の12.8%からは上昇した。
ゴーマンCEOは、決算資料で「2014年は年初よりずっと健全に終えた。全体的なパフォーマンスは変動の激しい市場動向に左右されたものの、複数の部門で強い業績を達成している」と振り返った。2015年については、ROEの目標を引き続き10%で据え置き。バランスシートを削減する方針で、リスク資産を足元の1880億ドルから1800億ドルへ縮小するという。収入に対する賃金比率も投資銀行部門で39%、資産運用部門で55%を目指す。資産運用部門は「2015年末までに税引き前利益率を22−25%」を予想。2014年末の19%からの上昇を見込む。
——以上、FICC部門のトレーディング収入の落ち込みが全体の足を引っ張っておりました。投資銀行部門も、市場動向を反映して引き受け業務が弱含みに。こうした事情を踏まえリスク資産の圧縮を掲げるように、MSが資産運用部門へ注力する姿勢は一段と強まるのでしょう。株価は一時2%下落しました。
(カバー写真:B0g4rt/Flickr)
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