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ECB、デフレ警戒から国債買い入れ額を月600億ユーロに拡大

by • February 19, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2971

ECB Pumped Up The Volume Of QE To Curb Deflation Fears.

欧州中央銀行(ECB)が1月27日開催の定例理事会・議事録を公表しました。ECB創設以来初めてリリースした議事録、米連邦公開市場委員会(FOMC)は議事録=Minutesですが、ECBは”Account of the monetary policy meeting(金融政策会合の報告書)”とし、英語表記が異なります。

当初の報道では10数ページのところ、蓋を開けてみると表紙を含め19ページとたっぷりな数量になりました。1月FOMC議事録は21ページなので、数では負けません。Fedの場合は、レイアウトがフォントが小さく2列式表記ですけどね。透明性では、ややECB側に軍配が上がります。事前に報じられたように、チーフエコノミストを務めるプラート理事と市場操作担当のクーレ理事の見解が示されていました。

国債買い入れを決定した理事会での議事録につき、主なポイントは以下の通り。

・クーレ理事(フランス出身)は国債買い入れを踏まえた金融市場の動向につき、2014年12月以降の流れに沿いボラティリティが上昇したままと指摘。原油安はインフレ見通しを低下させ、緩和策を必要とさせるとの見解も表明。

・プラート理事(ベルギー出身)は、足元の経済・金融動向につき評価するなかでインフレが「しばらくの間」マイナスに陥るリスクに言及。マーケット・ベースのインフレ見通しも、「一段と低下した」と判断。

・プラート理事は、下方リスクの二次的効果を警戒すべきとしつつ、直ちに行動に起こすか様子見するか2つの選択肢を提示。

・協議の末、ECB理事会メンバーは様子見スタンスこそ多大なリスクを与えうると判断。

・多くのメンバーは、国債を含めた買い入れ案を支持。

・二次的な影響および低インフレ長期化のリスクが一段と高まり、傍観していればデフレに陥る事態を招くと判断。*定例理事会後に発表された ユーロ圏1月消費者物価指数(CPI)速報値は、前年比で0.6%低下し、2009年7月に並び過去最低を示現した。

・国債買い入れ額は当初プラート理事が”月額500億ユーロ、2015年3月から2016年末”案を提示したものの、「効果を加速させるため」600億ユーロへの引き上げを決断。期間は、プラート理事の提案より短い2016年9月まで。

・数名のメンバー(some members)は、様子見スタンスを取るべきと主張。低インフレから派生する二次的影響は「抑制されている」ほか、2014年6月および2014年9月の利下げや資産買い入れなどが奏功するとの考えを表明。国債買い入れに踏み切る「差し迫った状況ではない」と結論づけた上で、デフレ・スパイラルに落ち込んだときの「最終手段」として取っておくべき、との見解を寄せる。*独連銀のバイトマン総裁、ドイツ出身のラウテンシュレーガー理事は、QE反対姿勢を表明済みで数名のメンバーは少なくともこの2人を含むもよう。

——議事録に登場した”デフレ”の回数は、5回でした。将来的にECBが一段の緩和策に踏み込むかどうかは、まずキーワードの数に表れそうな気配です。

(カバー写真:ECB)

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