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ウォルマート決算、ホリデー商戦の恩恵よりドル高の痛手響く

by • February 19, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off3561

Walmart Earnings Hit By Strong Dollar, Offset Holiday Season Effect.

米小売最大手が寄り前に発表した2014年11−1月期(第4四半期)決算では、純利益が前年同期比12.1%増の49億6600万ドルだった。希薄後の1株当たり利益は12.4%増の1.53ドルで、市場予想と一致。会員料金を含めた総売上高は1.4%増の1315億6500万ドルと、市場予想の1323億6000万ドルを下回った。ドル高を背景に、26億ドル押し下げられたことが響いている。会員料金などを除いた純売上高は、1.4%増の1306億5000万ドルだった。

米国の”ウォルマート”の売上高は、前年同期比4.1%増の795億7100万ドル。既存店売上高(燃料を除く)が1.5%増と、2四半期連続で増収を果たし売上に寄与した。ホリデー商戦を背景に同来店客数は1.4%増となり、7−9月期の0.7%減からプラスに反転。2013年8−10月以来初めての増加を遂げている。海外の”ウォルマート”は、ドル高の煽りを受け3.9%減の362億500万ドル。”サムズ・クラブ”の売上高は1.3%増の148億7400万ドルとなり、同来店客数は1.5%増だった。

会員料は0.5%減の9億1500万ドルとなり、9−11月期の10.1%増から減少に転じた。米国で事業拡大を進める都市向け小型店舗「ネイバーフッド・マーケット」は7.7%増と、前期の5.5%増から加速。Eコマース部門の売上高は為替変動を除き22%増と、8−10月期の1%増だった。

米国(一番上)、海外のウォルマート(上から2番目)、サムズ・クラブ(下から2番目)などの売上高は、以下の通り。

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(出所:Walmart)

2−4月期の既存店売上高は、1−2%増を見込み前年同期の横ばいから増加を見込む。ただし、2014年10月時点の予想値2−4%増から下方修正した。1株当たり利益見通しは、0.95−1.10ドル。

2015年通期(2016年1月末終了)の1 株当たり利益は4.70−5.05ドルとし、予想レンジ上限が2014年度の5.05ドルに届く程度に。アナリスト予想平均5.19ドル以下にとどまった。

決算に合わせ、10億ドルを投じ賃金の引き上げを発表。約50万人のフルタイムおよびパートタイムの従業員を対象に、最低時間当たり賃金を9ドルとし米連邦政府が定める7.25ドル超えの水準へ設定した。賃上げを受け、従業員平均の時給は約12ドルから約13ドルへ上昇する。2016年2月からは、10ドルへ引き上げるという。全米をはじめ世界各地で格差社会問題が取り上げられ、さらに2016年の米大統領選挙を控えるなか、政治的な判断が働いたようだ。なおウォルマート従業員を含む労働者団体は、最低賃金15ドルを目指しており、溝が埋まったとは言い難い。

2014年の売上高は、前年同期比2.0%増の4857億ドル。純売上高は1.9%増の4822億ドルで、ドル高による為替差損により53億ドル押し下げられた。1株当たり利益は1.6%増の5.07ドルで、為替差損の下押しは0.08ドルだった。年間配当は、従来の1.92ドルから1.96ドルへ引き上げた。

——以上の結果を踏まえ、株価は3%下落して引け。米国のウォルマートの客足が7四半期ぶりに増加に転じたとはいえ、2−4月期は中西部から北東部、はてには南部まで襲う大寒波が打撃を与えかねません。足元一服するドル高も、米連邦公開市場委員会(FOMC)の舵取り次第で再燃する可能性をはらみます。ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)も、決算資料にて「為替変動の逆風に直面している」と懸念を表明していました。さらには、西海岸の港湾労働者ストライキという利ざや低下要因もあり、見通しが慎重だったのも頷けます。

(カバー写真:CT Post)

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