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米4月ISM製造業景況指数、ヘッドラインより内容重視

by • May 1, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2136

April ISM Manufacturing Index Shows Some Blooming Signs.

米4月ISM製造業景況指数は51.5となり、市場予想の52.0を下回った。前月の51.5と変わらず、2013年5月以来の低水準を保つ。内訳をみると、ヘッドラインより明るい兆候が読み取れる。新規受注が前月の51.8から53.5、生産も前月の53.8から56.0へ上昇。そろって2013年5月以来の低水準から改善しただけでなく、春の到来を受け年初で最高をつけた。新規受注も前月の47.5から51.5と、3ヵ月ぶりに分岐点を回復。仕入れ価格も前月の39.0から40.5へ改善し、5ヵ月ぶりの40台に乗せた。一方で、雇用は前月の50.0から49.5へ低下し2013年4月以来の分岐点割れを示現。西海岸の港湾労働者ストライキが収束したものの、入荷時間は50.1と小幅に低下した。

ISM製造業景況指数、ドル高を跳ねのけ5月は上向く?
ism
(出所:Bloomberg)

BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー米エコノミストは、今回の結果をにつき「18業種のうち15業種が拡大を報告し、前月の10業種から増加した」と評価する。縮小を示したセクターはわずか2業種に過ぎず、前月の7業種から減少しており「服飾・革製品・化学製品とコンピューター・電子製品」のみだったという。特にコンピューター・電子製品は「西海岸港湾労働者ストライキ」の余波が一因に挙げられており、「製造業の逆風は和らぎつつある」と楽観的な見方を寄せた。

▽米4月マークイット製造業PMI、下方修正は小幅も詳細は弱含み

米4月マークイット製造業PMI・確報値は54.1となり、市場予想の54.5および速報値の54.2を下回った。3月55.7以下にとどまる。内訳をみると生産をはじめ新規受注、在庫、雇用、仕入れ価格などが低下。西海岸の港湾労働者ストライキの収束を背景に、入荷時間が上昇する程度だった。

マークイットのクリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受けて「製造業生産が年初来で最も低い水準にとどまり輸出が2014年11月以来の分岐点割れを示すなか、ドル高への懸念を高める」と指摘。仕入れ価格の低下も確認しているため「Fedは成長認するまで利上げに慎重な立場を採り、9月利上げより年末に後ろ倒しする可能性もある」との考えを示した。サービス業PMI速報値の発表当時と、スタンスを変更している。

▽米3月建設支出、住宅指標に反し3ヵ月連続で減少

米3月建設支出は前月比0.6%減となり、市場予想の0.4%増に反し減少した。前月の0.1%減に続き、3ヵ月連続で減少している。住宅が0.1%減と3ヵ月ぶりに減少した一方で、非住宅も0.1%減と前月の2.8%増に続きマイナスに落ち込んだ。

民間が0.3%減となり、前月から減少に転じた。住宅が1.6%減と2ヵ月連続で減少しており、非住宅は1.0%増と2ヵ月連続で増加している。公共は1.5%減と、3ヵ月連続で減少。住宅が0.9%減と5ヵ月ぶりに減少、非住宅も1.5%減と3ヵ月連続で減少した。

バークレイズのマイケル・ゲイピン米主席エコノミストは、結果を受け「米3月住宅着工件数が増加し2月分が上方修正されたにも関わらず、民間の住宅支出が1.6%減だった」と振り返る。背景には複合住宅を挙げ「3月は2.5%減、2月も15.5%減と足を引っ張った」と説明。もっとも、民間支出の非住宅支出が増加しており、「米1−3月期国内総生産(GDP)は速報値の0.2%増から0.3%増に上方修正されるとの見方を据え置く」と結んだ。

▽米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値、インフレ見通しが上方修正

米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は95.9となり速報値と変わらず、市場予想の96.0に届かなかった。もっとも前月の93.0を上回り、2004年1月以来の高水準を遂げた1月の98.1に続き2番目に強い数字となる。現況指数は107.0となり速報値の108.2から下方修正されつつ、見通し指数は88.3と速報値の88.0から上方修正された。

インフレ見通しは1年先が2.6%と、速報値の2.5%から引き上げられた。前月の3.0%には届いていない。5−10年先は2.8%と、こちらも速報値の2.6%から上方修正。前月の水準に並んだ。

ミシガン大学のエコノミスト、リチャード・カーティン氏は結果を受け「低インフレ、低金利、雇用と所得の改善見通し」を挙げた。

——ISM製造業景況指数はヘッドラインこそ伸び悩みましたが、4月にようやく明るいニュースを届けました。マークイット製造業PMIの詳細と相反しており、どちらの数字に軍配が上がるのでしょうか。米3月建設支出は住宅指標が改善した割に、軟調を維持。まだら模様な回復を示唆するなか、米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値が高水準だったように消費が花開くかが成長回復の鍵となります。

(カバー写真:precision-group)

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