Though U.S. Q1 GDP Contracts Less Than Last Estimates, Market Awaits Annual Revision.
米1−3月期国内総生産(GDP)確報値は前期比年率0.2%減と、市場予想と一致した。速報値の0.2%増を経て、改定値0.7%減から小幅に上方修正。1年ぶりのマイナス成長を迎えた。6月米連邦公開市場委員会(FOMC)の予想レンジはもとより、2014年の成長率2.4%、2010−2013年の平均値2.2%、1990年代の平均値は3.4%からも大幅なかい離を示す。ただし、サンフランシスコ連銀が試算するように季節調整の歪みを修正すればプラス成長へ転じる余地を残した。
1−3月期は、いつか来た道でマイナス成長。
(出所:BEA)
GDPの7割を占める消費は2.1%増となり、速報値の1.9%増および改定値の1.8%増から上方修正された。ホリデー商戦を追い風に2006年1−3月期以来の高水準に達した2014年10−12月期の4.4%増からは、大きく減速している。GDPの寄与度は1.43%と、速報値の1.31%および改定値の1.23%を上回った。2014年10−12月期は、2.98%だった。
(個人消費の内訳)
・耐久財 1.3%増、マイナスに陥った2011年4−6月期以来の低水準>改定値と速報値は1.1%増
・非耐久財 0.8%増>改定値は0.1%増、速報値は0.3%減と2013年4−6月期以来のマイナス
・サービス 2.7%増>改定値は2.5%増、速報値は2.8%増
民間投資は固定投資をはじめ非住宅投資、構造物投資、住宅投資が上方修正された。もっとも企業の設備投資を表す機器投資は、小幅に下方修正されている。
(民間投資の内訳)
・民間投資 2.4%増、1年ぶり低水準>改定値は0.7%増で1年ぶり低水準、速報値は2.0%増
・固定投資 0.3%減、少なくとも過去4年間で初のマイナス>改定値は1.3%減、速報値は2.5%減
・非住宅 2.0%減、少なくとも過去4年間で初めてのマイナス>改定値は2.8%減、速報値は3.4%減
・機器投資(企業の設備投資)2.6%増<改定値は2.7%増、速報値は0.1%増
・構造物投資 18.8%減、2013年1−3月期以来のマイナス>改定値は20.8%減、速報値は23.1%減
・住宅投資 6.5%増>改定値は5.0%増、速報値は1.3%増
・知的財産 4.9%増>改定値は3.6%増、速報値は7.8%増
在庫投資は上方修正された結果、GDPの寄与度も改定値の0.33%から0.45%へ拡大した。純輸出の寄与度も、わずかにマイナス幅を縮小。政府支出も、下げ幅をせばめた。
(その他)
・純輸出の寄与度 マイナス1.89%、2期連続でマイナス>改定値はマイナス1.90%、速報値はマイナス1.25%
・在庫投資 995億ドル増>改定値は950億ドル増、速報値は1103億ドル増
(政府支出)
・政府支出 0.6%減、2期連続でマイナス>改定値は1.1%減、速報値は0.8%減
・連邦政府 ±0%、防衛費の減少幅が1.2%減と2期連続で減少<改定値は0.1%増、速報値は0.3%増
GDPデフレーターは前期比年率±0%となり速報値・改定値の0.1%の低下から上方修正された。2014年10−12月期は、0.1%の上昇となる。PCEデフレーターは速報値・改定値通り2.0%低下し、2014年10−12月期の0.4%から下げ幅を拡大。コアPCEデフレーターは改定値通り0.8%上昇し、速報値の0.9%から引き下げられた。2014年10−12月期の1.1%を下回っただけでなく2010年10−12月期以来の水準へ沈んでいる。FOMCのインフレ目標値「2%」を超えた4−6月期の2.2%から、一段とかい離が進んだ。
企業収益は税引き後に前期比8.8%減となり、速報値の8.7%減から下方修正された。2014年10−12月期の1.6%減に続き、2期連続でマイナス。過去1年間で最大の下げ幅を記録している。資本財、製薬、小売、ITとセクターの垣根を越え為替差損を計上したように、ドル高が響いた。
バークレイズのマイケル・ゲイピン米主席エコノミストは、結果に対し「個人消費が当方の予想2.3%増に届かず勢いに欠けたほか、在庫投資が思いがけなく上方修正されたため4−6月期は反動で伸びが縮まると想定され、米4−6月期GDP予想を従来の3.1%増から3.0%増へ引き下げる」とまとめた。
モルガン・スタンレーのテッド・ウィーズマン米エコノミストも、米4−6月期GDP予想を「従来の2.8%増から2.7%増」へ下方修正した。貯蓄率が4.7%から5.4%へ上昇しており個人消費を支える見通しであるほか、住宅投資も新築住宅販売件数や中古住宅販売件数の結果を踏まえるとGDPに寄与する公算。もっとも、企業の設備投資や石油・天然ガス採掘活動が伸びを抑制すると見込む。
——米1−3月期GDP確報値はマイナス成長だったものの、7月30日のデータ改訂でサンフランシスコ連銀や米連邦準備制度理事会(FRB)がレポートで指摘したように、「季節残余性(residual seasonality) 」と呼ばれる統計の歪みが解消される見通し。その頃には米4−6月期GDP速報値も公表されるため、1−3月期GDPの修正も含めFedが9月に利上げを開始するか試金石となることでしょう。
(カバー写真:Michael Kors)
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