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IMFは世界経済見通しを下方修正、中国とユーロ圏は据え置き

by • July 9, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off3490

IMF Cuts Global Growth, China And The Euro Area Unchanged From April.

国際通貨基金(IMF)は9日、最新の世界経済見通し(WEO)を公表しました。2015年の世界成長見通しはギリシャ債務危機中国株安が金融市場を直撃するなか3.3%増とし、従来の3.5%増から下方修正。2016年は3.8%で維持しています。

国・地域別でみると、米国はドル高・原油安のほか大寒波、西海岸の港湾労働者ストライキを経て、従来の3.1%増から2.5%増へ引き下げました。消費の低迷を一因に挙げています。2016年は、3.1%増から3.0%増へ下方修正しました。全体的なトーンを読み解くと、2015年の世界経済見通し下方修正の戦犯こそ米国という印象。年内利上げを目指すFedに、再度見送るべきとのメッセージを突きつけたように見えます。

ギリシャ債務危機に揺れるユーロ圏は1.5%増で変わらず。2016年はむしろ、0.1%ポイント引き上げられ1.7%増となっています。日本は2015年こそ0.2%ポイント下方修正の0.8%増ながら、2016年は1.2%増で据え置きでした。

注目の中国は予想外に2015年、2016年ともに修正なし。それぞれ6.8%増、6.3%増で維持されていました。中国の上海総合が6月12日までの過去1年間で約150%上昇、その後に約30%急落したものの「中国当局は下落とボラティリティの抑制に動いている」と指摘。ただし投資主導経済から内需主導へのモデル変更、それに伴う市場の混乱をリスク要因を挙げました。インド準備銀行(RBI)の利下げに支えられつつインドも2015年、2016年そろって据え置き。4月時点で明らかになったように、1999年以来で初めて中国を抜く公算となります。

ギリシャ債務危機をめぐり、「コンテージョン(伝染)」を引き起こしていないとの見解を示しました。しかしリスク要因として「市場のボラティリティ、急激な資産価格の変動、先進国とエマージング国における成長鈍化リスク、商品価格の下落」を並べます。ギリシャ債務危機に伴う「ユーロ圏国債利回りの上昇」のほか、ドル高を背景に対外債務を抱える「エマージング国での利回りおよびリスク・プレミアム上昇」も忘れません。

オリビエ・ブランシャール主席エコノミストは、中国をめぐり「株式市場バブルが及ぼす支出への効果は限定的だが、成長鈍化は不動産価格の下落によるもので基本的に望ましい過程と判断する」とコメントしました。ギリシャに対しては懸念を表明しつつ「国内総生産(GDP)はユーロ圏全体の2%以下に過ぎず、世界全体でみても0.5%程度」と指摘。無秩序なユーロ圏離脱でギリシャが困難に陥ることに疑問の余地はないが、「ユーロ圏および世界全体への影響は限定的」との判断を下しています。

以下は、各国・地域の成長見通しで()内の数字は前回1月あるいはその後の改定値となります。

2015年成長率見通し

世界経済→3.3%(3.5%)
先進国→2.1%(2.4%)
米国→2.5%(3.1%)
ユーロ圏→1.5%(1.5%)
独→1.6%(1.6%)
仏→1.2%(1.2%)
伊→0.7%(0.5%)
西→3.1%(2.5%)
日本→0.8%(1.0%)
英国→2.4%(2.7%)
カナダ→1.5%(2.2%)

新興国→4.2%(4.3%)
中国→6.8%(6.8%)
インド→7.5%(7.5%)
ASEAN5ヵ国→4.7%(5.2%)
ブラジル→マイナス1.5%(1.0%)
メキシコ→2.4%(3.0%)
ロシア→マイナス3.4%(マイナス3.8%)

2016年成長見通し

世界経済→3.8%(3.8%)
先進国→2.4%(2.4%)
米国→3.0%(3.1%)
ユーロ圏→1.7%(1.6%)
独→1.7%(1.7%)
仏→1.5%(1.5%)
伊→1.2%(1.1%)
西→2.5%(2.0%)
日本→1.2%(1.2%)
英国→2.2%(2.3%)
カナダ→2.1%(2.0%)

新興国→4.7%(4.7%)
中国→6.3%(6.3%)
インド→7.5%(7.5%)
ASEAN5ヵ国→5.1%(5.3%)
ブラジル→0.7%(1.0%)
メキシコ→3.0%(3.3%)
ロシア→0.2%(マイナス1.1%)

2014年成長率

世界経済→3.4%(3.4%)
先進国→1.8%(1.8%)
米国→2.4%(2.4%)
ユーロ圏→0.8%(0.8%)
独→1.6%(1.6%)
仏→0.2%(0.4%)
伊→マイナス0.4%(マイナス0.4%)
西→1.4%(1.4%)
日本→マイナス0.1%(マイナス0.1%)
英国→2.9%(2.6%)
カナダ→2.4%(2.5%)

新興国→4.6%(4.6%)
中国→7.4%(7.4%)
インド→7.3%(7.2%)
ASEAN5ヵ国→4.6%(4.6%)
ブラジル→0.1%(0.1%)
メキシコ→2.1%(2.1%)
ロシア→0.6%(0.6%)

(カバー写真:IMF)

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