Wall Street Now Expects No Rate Hike In This Year.
世界同時株安でボラティリティの嵐がマーケットを席巻するなか、9月利上げ派の一角が動きました。
マイケル・ゲイピン米主席エコノミスト率いるバークレイズは、9月利上げ予想を変更。2016年3月と、劇的に後ろ倒しさせました。理由はやっぱり、金融市場で急激に高まったボラティリティ。1)エマージング通貨の下落、2)世界同時株安、3)米10年債利回りの2%割れに象徴される先進国の国債利回り低下——を背景に、同社が計測する米金融市場ストレス・レベルが長期的平均から大幅にかい離したと指摘します。VIX指数が一時25.26p(90.1%!)急伸の53.29と2009年1月以来の水準へ上振れしただけでなく過去最大の上昇率を示すなか、金融市場に溜まりつつあるボラティリティのマグマも警戒していました。
VIX指数は米株市場が下げ幅を急速に縮小した動きに合わせ、ほぼ往って来い。
米経済こそ底堅く9月利上げを後押しするものの、ドル高、原油安も懸念材料として挙げています。フィッシャー米連邦準備制度理事会(FRB)副議長の低インフレ懸念も尊重し、利上げ時期を大幅に先送りさせました。
アリアンツのモハメド・エラリアン主席経済アドバイザーも、9月利上げに否定的です。同氏はCNBCに出演し「Fedにとって9月利上げは非常に困難となる」と発言していました。また、「株式市場は一段と下落する」と予想。一方で「投資家にとっては良い機会だ。割安感が高まり、皮肉ながら以前より気楽な時期に入ったと言える」とのコメントを寄せています。
一貫して年内利上げに否定的だった新債券王、ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏は、ロイターとのインタビューで「米株相場は控え目にみて、不透明性モードに入った」と言及。「3日以内に全てを修正し得ない」と語り、さらなる混乱を懸念しています。
Fedウォッチでは、年内利上げ見送りが鮮明に。9月利上げ織り込み度は23.6%と、7月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公表直後の45%から低下しました。それだけではありません。市場が最有力視する時期は2016年1月で、57%に達しています。
ダウ平均が6.6%安、S&P500が5.3%安、ナスダックが8.8%安から奇跡の切り返しを遂げ、S&P500とナスダックが調整入りから脱却した一因には、利上げ観測の後退が大きく影響したと考えられます。
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事、年内利上げ先送りを要請していただけにウォールストリートともに御の字でしょう。
(カバー写真:IMF/Flickr)
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