Industrial Production Surges, Recession Risk Fades.
米1月鉱工業生産指数は前月比0.9％上昇し、市場予想の0.4％より伸びを広げた。前月の0.7％の低下（0.4％の低下から下方修正）を超え、4ヵ月ぶりに上昇している。稼働率は77.1％と、市場予想の76.7％を上回った。前月の76.4％（76.5％から下方修正）を超え、3ヵ月ぶりに77％台に浮上。ただ、リセッション前の80％回復にはまだ遠い。
内訳をみると、製造業が0.5％増と3ヵ月ぶりに増加に反転し足元で最も強い伸びを果たした。新車販売台数が好調だったように、自動車が全体を押し上げた。自動車を除いた製造業は0.3％増と前月の±0％から改善しつつ、製造業全体には及ばない。自動車以外で際立ったのは機械だった。公益も3ヵ月ぶりに増加。気温低下を背景に、暖房需要が高まったとみられる。また鉱業も、減少トレンドを4ヵ月で止めた。
・製造業 0.5％の上昇、3ヵ月ぶりにプラス＞前月は0.2％の低下
あ自動車 2.8％の上昇、3ヵ月ぶりにプラス＞前月は2.6％の低下
あ機械 0.7％の上昇、5ヵ月ぶりにプラス＞前月は1.8％の低下
あコンピューター／電気製品 0.1％の低下＜前月は0.9％の上昇
・公益 5.4％の上昇、4ヵ月ぶりにプラス＞前月は2.9％の低下
あ電力 4.2％の上昇、4ヵ月ぶりにプラス＞前月は2.6％の低下
あ天然ガス 16.5％の上昇、3ヵ月ぶりにプラス＞前月は5.6％の低下
・鋼業 ±0％、前月までは4ヵ月連続でマイナス＞前月は2.0％の低下
鉱工業生産は、前年比は2009年以来のマイナスに突入。
（出所：FRBより作成、My Big Apple NY）
バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受けて「鉱工業生産の75％を占める製造業で改善が目覚ましく、自動車や機械のほか家具が1.4％増、一次金属が2.2％増、化学も1.1％増とそろって増加していた」と振り返る。米1月ISM製造業景況指数より格段に強い数字であり、鉱業も減少を食い止めたこともあり「製造業は急激な落ち込みを示しているわけではないようだ」と指摘。公益の好転もあり、米1－3月期国内総生産（GDP）予想を「従来の2.4％から2.5％増」へ引き上げた。
▽米1月生産者物価指数、コアと合わせて加速
米1月生産者物価指数（PPI）は前月比0.1％上昇し、市場予想の0.2％の低下からサプライズの上昇を示した。前月の0.2％の低下からプラスに転じている。コアPPIは0.4％上昇し、市場予想の0.1％から加速。前月の0.2％（0.1％から上方修正）を上回り、3ヵ月連続で上昇している。PPIは前年同月比で0.2％低下し、市場予想の0.6％低下から下げ幅を縮小。前月の1.0％の低下から改善しつつ、13ヵ月連続でマイナスをたどった。コアPPIは0.6％上昇し、市場予想の0.4％及び前月の0.3％から加速した。
内訳をみると、全体の6割を超えるサービスが0.5％上昇し、3ヵ月連続でプラスを示したなかで最大を遂げている。サービスのうち6割を占めるその他サービスが0.4％上昇し、3ヵ月連続で全体を支えた。サービスのうち3割を占める貿易も0.9％と急伸し、前月の0.1％の低下から大幅にプラスへ反転。1割弱を占める輸送・倉庫も0.4％上昇し、前月分の低下を打ち消した。一方で、食品は1.0％上昇し、前月の1.4％から鈍化。モノも0.7％低下し、2ヵ月連続で同率の落ち込みを示す。エネルギーが5.0％の低下と押し下げ、3ヵ月連続でマイナスだった。
――米1月鉱工業生産は、予想外に4ヵ月ぶりにプラスに転じました。暖房需要だけでなく幅広く上向き、製造業でも顕著な改善が見られた点は特筆に値します。米1月PPIもインフレ低下の懸念を払拭する内容で。米国のリセッション懸念の後退を促しそうです。
ただ、弱気派で知られるイーサン・ハリス氏率いるバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは、12ヵ月先の米国の景気後退入りを25％と予想しつつ「マーケットは50％を織り込んでいる」と指摘。米連邦公開市場委員会（FOMC）の利上げ回数も、「3～4回というより2回ではないか」との見方を示しました。3月15～16日開催のFOMCでの利上げ確率が低下しているように、年内利上げは多くて2回となる気配が濃厚です。
（カバー写真：dliban/Flickr）
Comments
米1月住宅着工件数は2ヵ月連続で減少、建設許可も鈍化 Next Post:
1月FOMC議事録、利上げへのためらいを雄弁に描写
about the author: Sawako
