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米2月フィリー、下げ幅縮小も弱気な内容

by • February 19, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2920

Philly Manufacturing Index Beats, But The Details Disappoint.

米2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数と米1月景気先行指数をおさらいしていきます。

米2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー)はマイナス2.8となり、市場予想のマイナス3より下げ幅を縮小した。6ヵ月連続で分岐点割れを迎えたうち、最少のマイナス幅に。2012年7月以来で最低だった2015年12月のマイナス10.2から、改善をたどる。

ただし、主要な項目の内訳は軒並み弱い。新規受注をはじめ在庫、雇用、週当たり平均労働時間がマイナス幅を広げ、出荷も伸びを縮小していた。詳細は、以下の通り。

・新規受注 マイナス5.3<前月はマイナス1.4で5ヵ月ぶりの分岐点乗せが視野、6ヵ月平均はマイナス4.4
・出荷 2.5、2ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は9.6、6ヵ月平均は1.7
・在庫 マイナス17.1、2013年4月以来最低で分岐点割れ継続<前月はマイナス15.7、6ヵ月平均はマイナス11.3
・雇用 マイナス5.0、2013年5月以来最低で2ヵ月連続の分岐点割れ<前月はマイナス1.9、6ヵ月平均はマイナス0.1
・週当たり平均労働時間 マイナス12.9、4ヵ月ぶり低水準で2ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス2.2、6ヵ月平均はマイナス5.9

・受注残 マイナス12.7、分岐点割を維持し2009年4月以来で最低<前月はマイナス8.8、6ヵ月平均はマイナス10.4
・入荷時間 マイナス16.1、分岐点割れへ戻し9ヵ月ぶりの低水準<前月はマイナス7.6、6ヵ月平均はマイナス6.6

・仕入れ価格 マイナス2.2、6ヵ月連続の分岐点割れ>前月はマイナス1.1、6ヵ月平均はマイナス4.2
・販売価格 マイナス4.5、分岐点割れを維持>前月はマイナス2.8、6ヵ月平均は4.7

6ヵ月先見通し指数は、17.3。現況指数が改善した半面、前月の19.1を下回っただけでなく6ヵ月平均の27.6にも遠く及ばず。2012年1月以来の低水準を示した。項目別をみると、軒並み低下。平均労働時間(マイナス12.5<前月は2.1)と在庫(マイナス8.9<前月はマイナス1.5)は、そろって大きく分岐点を割り込んでいる。そのほか新規受注(19.8<前月は21.1)、出荷(20.2<前月は22.0)、雇用(2.3<前月は5.5)、設備投資(2.5<前月は9.4)、仕入れ価格(11.9<前月は18.8)が弱い。入荷時間や受注残も下振れした。

現況(オレンジ)こそ下げ幅縮小も、見通し(グレー)は12月11月以来の低水準。

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(出所:Federal Reserve Bank Of Philadelphia)

今回の特別項目は、価格と賃金について。2016年の販売価格上昇率は前年比1.3%、賃金の上昇率は2.0%、消費者の支払価格上昇率は2.0%だった。向こう10年間での消費者が支払う価格上昇率も抑制気味で、2.5%にとどまる。

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「ISM換算でみると前月の48.3から45.3へ低下しヘッドラインのような改善を示さない」と振り返る。在庫が弱含んでおり、「10-12月期にみられた在庫調整の継続を示唆する」とも指摘。新規受注が5ヵ月連続で分岐点割れだったほか、雇用も2013年5月以来の低水準だったこともあり「製造業活動の低迷は続く」と見込んだ。

▽米1月景気先行指数、株安を嫌気し2ヵ月連続で低下

米1月景気先行指数は前月比0.2%低下の123.2となり、市場予想に並んだ。前月の0.3%の低下と合わせ、2ヵ月連続でマイナスに。内訳をみると、マイナス項目は4項目と前月の5項目から減少している。今回は前月に続き株価指数のほか、米新規失業保険申請件数、ISM新規受注、建設許可がそれぞれマイナス寄与したものの、民間航空機を除いた非防衛財受注はプラスに転じた。消費財受注は、前月のプラスから横ばいに反転。上昇した項目は寄与度が高い順から長短金利スプレッド、航空機を除いた非防衛財受注、平均労働時間、信用、消費者期待となる。

一致指数は0.3%上昇の113.2となり、2ヵ月連続で上昇。遅行指数は0.1%上昇の120.0と上昇トレンドを維持した。

発表元であるカンファレンス・ボードのエコノミスト、アタマン・オジルディリム氏は、結果を受け「株安に加え、米新規失業保険申請件数が全体を押し下げた」と指摘する。ただ楽観的なトーンを維持し「景気後退入りのサインは点灯しておらず、6ヵ月平均値は足元の景気回復サイクルの水準に沿う」と結んだ。

――製造業景況指数の先陣を切った米2月NY連銀製造業景況指数と歩調を合わせフィリーは改善したものの、詳細や見通しは決して明るくはありません。米1月鉱工業生産の好結果は反動に過ぎなかったのか。ドル高が巻き戻されているだけに、近い将来好転する期待も残ります。

(カバー写真:R’lyeh Imaging/Flickr)

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