Existing Home Sales Fall From Second Highest Since 2007.
全米リアルター協会(NAR)が発表した米2月中古住宅販売件数は年率508万件と、市場予想の531万件を下回った。前月こそ2007年以来の高水準だった2015年7月の548万件に接近し547万件だったが、同水準から7.1%減少。3ヵ月ぶりの低水準を迎えた。前年比では2.2%増となり、2013 年7月以来で最大だった前月の11.0%増から減速した。3ヵ月連続でプラスを示す。金利低下局面を迎えたものの、米株安や景気後退懸念を一因に需要を押し下げたようだ。
内訳をみると、一戸建てが前月比7.2%減の451万件と3ヵ月ぶりに減少した。複合住宅も6.6%減の57万件と、2ヵ月連続で減少している。
4大地域別では、全て減少。前月は2地域で増加していた。今回は、平年を上回る気温に恵まれた影響から北東部が17.1%減の63万件、中西部も13.8%減の112万件とそれぞれ3ヵ月ぶりにマイナスに陥った。西部は3.4%減の113万件と、2ヵ月連続で減少している。石油生産地を抱える南部は1.8%減の220万件で、前月の横ばいから減少に転じた。
在庫件数は、前月比3.3%増の188万件と2ヵ月連続で増加した。販売件数が減少したものの在庫件数が増加したため、在庫相当は前月の4.0ヵ月から4.4ヵ月へ延びた。3ヵ月ぶりの水準となる。中央価格は前年比で4.4%上昇の21.08万ドル。前月比では1.4%下落し、2ヵ月連続でマイナスを迎えた。売り出し平均期間は59日と前月の64日から短縮、前月の62日も大幅に下回り2015年12月の水準近くとなった。
買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件 7%=前月は7%、前年同月は11%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 3%>前月は2%、前年同月は3%
・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 10%>前月は9%、前年同月は11%
・新規購入者 30%、3ヵ月ぶり低水準<前月は32%、前年同月は29%
・現金での購入者 25%<前月は26%、前年同月は26%
・住居用ではなく投資向け 18%>前月は17%、前年同月は14%
中古住宅販売件数、一戸建てと複合そろって減少。
(作成:My Big Apple NY)
発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、結果を受け「1月の豪雪の影響で、北東部や中西部で2月に契約終了に漕ぎつけられなかった可能性がある」と説明した。また、調整相場入りした米株の下落も、減少の要因に挙げている。ただ最大の悪材料は「供給と値ごろ感で、特に価格は潜在的な顧客の足枷となっている」といい、「住宅価格や家賃が賃金の上昇ペースを上回り、経済への健全性も意識されている」と指摘。全体的な住宅需要は「春にかけ底堅さを示す」と評価するものの、慎重な見解をにじませた。
――米株安に見舞われた2月は、30年物住宅ローン金利が3.62%と2013年5月以来の水準に低下した時期と重なります。中古住宅価格・中央値も2ヵ月連続で下落したものの、需要を喚起せず。おまけに、新規購入者が占める割合まで低下した点も気掛かりです。一方で米2月住宅着工件数は一戸建てが牽引し6ヵ月ぶりの高水準を遂げていただけに、需給環境は改善される期待が募ります。春先にかけ金利上昇をにらみあらためて駆け込み需要が販売件数を押し上げれば、今回の弱含みは一時的なものと一蹴されるでしょうが・・。
(カバー写真:Chris Bohn/Flickr)
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