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米3月LMCI、09年以来初の3ヵ月連続低下に

by • April 5, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2628

LMCI Falls 3-Month In A Row, First Time Since 2009.

米3月LMCIと、米2月製造業受注をおさらいしていきます。

米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した米3月労働市場情勢指数(LMCI)は2.1ポイント低下し、市場予想の1.5に反しマイナスに転じた。前月のマイナス2.5(マイナス2.4から下方修正)に続き、3ヵ月連続で低下している。1月分もマイナス0.8からマイナス1.9へ引き下げられた。3ヵ月連続でのマイナスは、サブプライム危機が火を噴く直前に低下トレンドへ突入した2007年5月から2009年6月までのサイクル以来初めて米3月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は2月に続き20万人台を遂げ、平均時給も前月比で上昇し2月の低下分を相殺したものの不完全失業率で改善が顕著とはならず、弱い数字にとどまったようだ。

景気後退に陥った2007年12月から2009年6月まで約370ポイント低下した後、回復サイクルに入ってから322.8ポイント取り戻した。景気が改善していく過程での平均上昇幅は約4ポイントであることを踏まえれば、向こう12ヵ月で低下幅を相殺する見通しだ。ただし、足元で低下が続くだけに景気後退に陥った後の穴埋めに時間が掛かる可能性がくすぶる。

LMCI、雇用統計とは裏腹に3ヵ月連続で低下
LMCI
(作成:My Big Apple NY)

――米3月LMCIは、堅調な雇用統計に反し3ヵ月連続でマイナスを示し景気後退期の下げ幅を取り戻す時期がどんどん後ろ倒しとなるリスクを点灯させています。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は3月15~16日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、労働参加率の上昇について「心強い(heartening)」との見解を寄せつつ、ハト派姿勢を鮮明化した理由が垣間見れるというものです。一方で、今年のFOMC投票メンバーでハト派と目されるボストン連銀のローゼングレン総裁は、年1回ずつの利上げを見込む市場に対し「悲観的過ぎる」と発言。年内2回の利上げ示唆を与えましたが、これは行き過ぎなリスク資産の上昇を阻止するための作戦なのでしょうか。

▽米2月製造業受注、コア資本財が弱く1-3月期成長率に黄信号

米2月製造業受注は前月比1.7%減となり、市場予想と一致した。前月の1.2%増(1.6%増から下方修正)に反し、過去4ヵ月で3回目の減少を示す。民間航空機など輸送機器を除く場合は0.8%減と下げ幅を縮めるとはいえ、コア資本財(企業の設備投資を示す航空機を除いた非防衛財)が2.5%減と、速報値の1.8%減から悪化している。前月の3.3%増(3.4%増から下方修正)を下回り、過去4ヵ月で3回目の減少を迎えた。

国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財出荷も1.7%減と、速報値の1.1%減から下方修正。前月も0.4%減から1.4%減へ大幅に引き下げられ、2ヵ月連続で減少した。製造業出荷は0.7%減と、減少トレンドを維持。製造業在庫も0.4%減と、足元の流れを受け継ぎ減少した。在庫相当は出荷の減少幅が在庫を上回りつつ、前月と変わらず1.37ヵ月だった。足元で最長を迎え、前年同期の1.34ヵ月からも延びた。

バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受け「米3月ISM製造業景況指数の新規受注や生産の急回復を踏まえれば製造業の需要が持ち直すとみられ、期末要因も重なり米3月製造業受注は回復を遂げるだろう」と予想した。もっとも、1-3月期の製造業活動が弱いトレンドを維持していることは変わらず、同GDP見通しを「0.7%増」で据え置いた。

ゴールドマン・サックスは、米1-3月期GDP予想を従来の1.4%増から1.2%増へ引き下げた。

――米3月ISM製造業景況指数の改善を額面通り受け取れば、期末要因に製造業受注が増加に転じる期待は否定できません。しかしながら、景気回復が顕著になった2010年から2015年の四半期期末を振り返ると、製造業受注自体が増加したのは24回中で14回程度。勝率が高いとは、言いづらい。また1-2月分の落ち込みを取り戻せるかも不透明で、外部環境が劇的に変化したわけでもなく、過剰な楽観に傾くのは時期尚早との感は禁じ得ません。

(カバー写真:The Toad/Flickr)

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