9488100837_97a0340207_z

米2月耐久財受注、Q1GDP下方修正を促す内容

by • March 25, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2728

Economists Revised Down Q1 GDP Outlook, Durable Goods Orders Weigh.

米2月耐久財受注と米3月カンザスシティ連銀製造業景況指数をおさらいしていきます。

米2月耐久財受注は前月比2.8%減となり、市場予想の3.0%減より下げ幅を縮めた。2015年3月以来の高い伸びを示した前月の4.2%増(4.7%増から下方修正)を下回り、過去4ヵ月間で3回目の減少に。防衛財が25.6%減と前月の10.3%増を相殺したほか、輸送機器も減少へ転じヘッドラインを押し下げた。

輸送用機器は6.2%減となり、前月の10.7%増から転じた。民間航空機が急減したためで、自動車は4ヵ月連続で増加している。

・民間航空機 27.1%減<前月は48.6%増、6ヵ月平均は0.6%増
・自動車 1.2%増、4ヵ月連続で増加<前月は2.7%増、6ヵ月平均は0.2%増

輸送用機器を除く場合は1.0%減となり、市場予想の0.3%減より下げ幅を広げた。前月の1.2%増(1.7%増から下方修正)より弱く、ヘッドラインと同じく過去4ヵ月間で3回目の減少を示す。

コア資本財(企業の設備投資を示す航空機を除いた非防衛財)は、1.8%減だった。市場予想の0.5%減より弱く、2014年6月以来で最大を遂げた前月の3.1%増(3.4%増から下方修正)から反転。内訳をみると、米2月鉱工業生産で製造業が改善を続けた割に、機械をはじめ電気機器など軒並み減少した。

(増加項目)
なし

(減少項目)
・電気機器 2.8%減、2ヵ月連続で減少<前月は0.7%減、6ヵ月平均は0.6%減
・機械 2.6%減<前月は4.6%増、6ヵ月平均は0.6%減
・組み立て金属 1.2%減、4ヵ月ぶりに減少<前月2.2%増、6ヵ月平均は±0%
・コンピューター/電子機器 0.9%減<前月は0.9%増、6ヵ月平均は0.1%増
・一次金属 0.1%減、3ヵ月ぶりに減少<前月は0.5%増、6ヵ月平均は0.8%減

耐久財出荷は前月比0.9%減となり、前月の1.5%増から減少に転じた。国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財は1.1%減となり、市場予想の0.3%増より弱い。前月の1.3 %減(0.4%減から下方修正)と合わせ、過去6ヵ月間で3回目の減少を示す。

コア資本財は受注と出荷ともに弱く、GDPにはネガティブ。

durablegoods
(作成:My Big Apple NY)

耐久財在庫は0.3%減と、前月の0.2%減と合わせ2ヵ月連続で減少した。足元の減少トレンドへ回帰しており、過去6ヵ月間で5回目の減少となる。出荷の減少幅が在庫より大きかったため、在庫相当は1.65ヵ月と前月の1.64ヵ月から延びた。

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受けて「コア資本財の受注が前月の3.4%増から3.1%増へ下方修正された上、同出荷も0.3%減から1.4%減へ引き下げられた」と指摘した。企業の設備投資を示すGDPの機器投資が弱含む可能誌を示しており「当方の米1-3月期GDPの予想、前期比年率2.0%増を下回るリスクを高める」と結ぶ。

▽米3月カンザスシティ連銀製造業景況指数、13ヵ月連続で低下

米3月カンザスシティ連銀製造業景況指数は、マイナス6だった。2009年4月以来で最低となる前月のマイナス12より、下げ幅を縮小。とはいえ、13ヵ月連続で分岐点割れをたどる。項目別動向は、以下の通り。新規受注や雇用が大幅に下げ幅を巻き戻したものの、生産のほか輸出が悪化するなど、まちまちとなった。

・新規受注 マイナス2、5ヵ月ぶりの分岐点回復が接近>前月はマイナス15、6ヵ月平均はマイナス9
・生産 マイナス14、4ヵ月連続で分岐点割れ<マイナス8、6ヵ月平均はマイナス7
・出荷 マイナス15、4ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス11、6ヵ月平均はマイナス7

・輸出 マイナス10、2ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス6、6ヵ月平均はマイナス3
・在庫(最終財) 0、11ヵ月ぶりに分岐点乗せ>前月はマイナス17、6ヵ月平均はマイナス10

・雇用 マイナス12、14ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス20、6ヵ月平均はマイナス12
・平均労働時間 マイナス13、分岐点割れを維持>前月はマイナス14、6ヵ月平均はマイナス8

・仕入れ価格 マイナス10、8ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス11、6ヵ月平均はマイナス10

見通し指数はマイナス2となり、前月の4を下回り6ヵ月ぶりの分岐点割れを迎えた。内訳では生産をはじめ出荷、新規受注、雇用、仕入れ価格などがそろって下振れした。

――米2月耐久財受注の過去分の下方修正を含め、芳しくない製造業活動をあらためて確認しました、米3月カンザスシティ連銀製造業景況指数も改善したとはいえ、分岐点割れを維持。米3月フィラデルフィア連銀製造業景況指数などこれまで連銀発の製造業景況指数は分岐点を回復するどころか大きく上昇していたものの、取り残されてしまいました。

早速、アトランタ地区連銀は米1-3月期GDP予想を従来の1.9%増から1.4%増へ下方修正しました。試算を開始した当時の1.1%増を上回る水準とはいえ、一時期の2.7%増から引き下げが相次いでおり、2016年の1-3月期も過去の例に洩れず低成長を余儀なくされそうです。問題は、4-6月期に反動が現れるかどうか。過去2年間は平年を下回る気温を経験したものの今年は暖冬だっただけに、個人消費がサクラサク可能性は低いと言わざるを得ません。

(カバー写真:Peter Miller/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.