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米4月新築住宅販売件数、2008年1月以来の水準へ急増

by • May 25, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2984

New Home Sales Hit Highest Since January 2008.

米4月新築住宅販売件数は年率61.9万件と、市場予想の52.3万件を超えた。前月の53.1万件(51.1件から上方修正)を16.6%も上回り、2008年1月以来の水準へ急増している。

4大地域別では、前月比にて3月と変わらず3地域で増加した。特に北東部が52.8%増の5.5万件と2ヵ月連続で2桁増を記録、全体に寄与した。西部も18.8%増の15.2万件と2桁増を達成、前月の減少分を完全に相殺している。石油生産地が集まる南部は、15.8%増の35.2万件と増加トレンドを維持した。一方で、中西部のみ4.8%減の6.0万件と過去4ヵ月で3回目の減少を示した。

在庫総数は前月比0.4%減の24.3万件となり、景気回復サイクルで最高を示した前月から小幅減となった。販売件数が急増したため、在庫相当は前月の5.8ヵ月から4.7ヵ月と大幅に短縮した。

中央価格は32.1万ドルと、前年比では13.5%も急伸。前月の0.3%に続いて上向き、2015年9月の水準を抜け過去最高を更新した。

新築住宅販売件数、直近は調整していた価格が盛り返す。

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(作成:My Big Apple NY)

バークレイズのロブ・マーティン米エコノミストは、結果を受け「販売件数が力強い伸びを達成しただけでなく、過去2ヵ月分の上方修正もあって住宅市場が健全であることを確認した」と振り返る。中古住宅販売件数とともに国内総生産(GDP)の算出に使用される仲介料が4-6月期に拡大する期待から「米4-6月期の予想を従来の2.3%から2.4%」へ引き上げた。もっとも新築住宅販売件数は変動が大きいため、「4月の反動で向こう数ヵ月にかけ減速する可能性がある」とも付け加えた。

――米4月新築住宅販売件数を米4月住宅着工件数と照らし合わせると、販売向けの住宅在庫が増加する可能性は低い。新築住宅の在庫相当も短縮しており、需給ひっ迫が早々緩和しそうにありません。住宅価格の上昇を背景に、一般庶民にとって住宅購入は益々困難になってきました。

今回の結果は、高級住宅建設メーカーであるトール・ブラザーズの決算と整合的でした。2~4月期の純利益は前年同期比31%増の8910万ドル、1株当たり利益は0.51ドルとなり、市場予想の0.46ドルを軽く超えていきました。売上高は31%増の11.2億ドルで、こちらも市場予想の10.4億ドル超え。引き渡し件数が9%増の1304件、平均販売価格に至っては19.8%上昇の82.6万ドルと、売上に寄与しています。

地域別ではコロラド州デンバー、ワシントン州シアトル、ネバダ州ラスベガスなど西部、北東部ではニュージャージー州のほか、軍や政府機関が集まるバージニア州北部およびメリーランド州で増加が目立ちました。反対に、カリフォルニア州は在庫不足で弱含んだという。ちなみに、通期の売上見通しは47.6億~53.6億ドルとし、従来の46億~54億ドルからレンジを狭めつつ、市場予想の50.1億ドルとほぼ一致していました。

新築住宅販売件数との共通点は、以下の通り。

1.  西部での増加が牽引
2. 販売価格が上昇
3. 高級住宅の旺盛な需要

4月にここまで高級住宅の販売が拡大した理由は、1)金利低下、2)米株の回復(資産効果)、3)景気見通しの改善――が挙げられます。それにしても、今回の販売件数は持続的とは言えず、揺り戻しは避けられないでしょう。

(カバー写真:Laurie Avocado/Flickr)

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