Consumer Price Index Steady, Though Medical Care And Airline Fares Cool Down.
米10月消費者物価指数、米10月生産者物価指数、米10月輸入物価指数をおさらいしていきます。
米10月消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇し、市場予想と並んだ。前月の0.3%を超え、2013年2月以来の強い伸びを達成した4月に等しい。原油先物が40ドル台で安定しつつ、エネルギーが3.5%上昇し全体を牽引。ガソリン価格も前月の5.8%から7.0%と、昇に転じている。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン平均価格は2月に一時1.724ドルへ下落し2009年3月以来の2ドル割れを示した後、10月は原油先物が40ドル台で安定するなか2.20ドル付近で小動きだった。食品・飲料は4ヵ月連続で±0%だった。
CPIコアは9月に続き前月比0.1%上昇し、市場予想の0.2%以下に終わった。2011年8月以来の高水準に並んだ8月の0.3%から鈍化している。項目別動向は、以下の通り。
・帰属家賃 0.3%の上昇<前月は0.4%の上昇
・家賃 0.4%の上昇>前月は0.3%の上昇
・サービス 0.2%の上昇=前月は0.2%の上昇
・医療サービス ±0%=前月は±0%
・服飾 0.3%の上昇>前月は0.7%の低下
・教育 0.1%の低下>前月は0.3%の低下
・娯楽 0.1%の低下<前月は0.1%の上昇
・中古車 0.1%の低下>前月は0.3%の低下
・新車 0.2%の上昇>前月は0.1%の低下
・航空運賃 2.2%の低下<前月は0.4%の上昇
CPIの前年比では市場予想通り1.6%上昇し、前月の1.5%を超え2014年10月以来で最高を示す。CPIコアの前年比は2.1%の上昇にとどまり、6ヵ月ぶりの低水準。市場予想並びに前月の2.2%はもちろん2012年5月以来の高水準だった8月の2.3%を下回った。
コアCPIは2%超えを維持も、今月は鈍化。
(作成:My Big Apple NY)
▽米10月PPI、エネルギーは好調もサービスが弱い
米10月生産者物価指数(PPI)は前月比±0%となり、市場予想並びに前月の0.3%の上昇に届かなかった。コアPPIは前月比0.2%低下し、市場予想の並びに前月の0.2%の上昇から減速した。
PPIは前年同月比で0.8%上昇し、市場予想の1.2%の上昇を下回った。前月の0.7%からは上向き、2014年12月以来の高水準を示す。コアPPIは前月と変わらず1.2%上昇したが、市場予想の1.6%以下に終わった。
CPIと同じくPPI自体は上向きも、コアの上昇にブレーキ。
内訳をみると、全体の6割を超えるサービスが0.3%低下し3ヵ月ぶりにマイナスに落ち込んだ。1割弱を占める輸送・倉庫は0.2%上昇し、前月の1.3%から鈍化。サービスのうち6割を占めるその他サービスも0.3%低下し、前月の0.2%の上昇から転じ5ヵ月ぶりに下振れした。サービスのうち3割を占める貿易も0.3%低下し、4ヵ月連続で弱かった。
モノは0.4%上昇し、前月の0.7%を含め2ヵ月連続で上昇した。エネルギーが前月に続き2.5%上昇したためで、食品はむしろ0.8%低下した。
▽米10月輸入物価、食品・飲料と資本財が押し下げも全体的に改善
米10月輸入物価指数は前月比0.5%上昇し、市場予想の0.4%を超えた。前月の0.2%の上昇(0.1%から上方修正)を含め、2ヵ月連続でプラスを示す。原油先物が40ドル台で安定推移するなか、石油が7.5%上昇(前月は1.6%の上昇)し全体を支えた。ただし、食品・飲料はマイナスに反転。結果、燃料と食品を除く輸入物価指数は2ヵ月連続で0.1%%低下した。以下はエネルギーを除く項目別動向。
・産業財 2.2%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は0.2%の上昇
・自動車 0.3%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は0.1%の上昇
・消費財 0.1%の上昇、直近で久々の上昇>前月は±0%
・資本財 0.2%の低下、3ヵ月ぶりにマイナス<前月は0.2%の上昇
・食品 0.6%の低下<前月は0.4%の上昇
輸入物価は前年比で0.2%低下し、市場予想の0.3%の低下より下げ幅を縮めた。前月の1.0%の低下(1.1%の低下から上方修正)から大きく下げ幅を縮め、2014年8月に突入した低下トレンド以来で最少となった。
――米10月CPIは鈍化の兆しをみせましたが、航空運賃が大幅に落ち込んだほか医療費の伸び悩みが原因です。とはいえ、米10月PPIを含めると10月のPCEデフレーターは0.1%程度の伸びとなる見通し。一連の鈍化に反し、前年比は1.7%付近を確保する公算であり、デフレ圧力は後退しつつあるようです。ドル高により輸入物価が押し下げられる公算ですが、トランプ新政権でのリフレ政策でインフレ見通しが上向いており物価に波及する期待が燻るものの、果たして米経済はそこまで好調と言えるのか。ドル高による企業収益の圧迫が引き続き賃金を抑制すると考えられ、インフレの世界に転じるかは疑問が残ります。
(カバー写真:Alan Light/Flickr)
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