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11月の製造業景況指数、各地区連銀で2年ぶりにそろって分岐点を回復

by • December 1, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2029

Manufacturing Activity Seems To Rebound In November.

米11月ダラス連銀製造業景況指数、米11月リッチモンド連銀製造業景況指数、米10月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)、米マークイット製造業・非製造業PMIをおさらいしていきます。

米11月ダラス連銀製造業景況指数は10.2となり、市場予想の2を上回った。前月のマイナス1.5を超え、23ヵ月ぶりに分岐点を回復している。原油先物が40ドル後半から50ドル台で安定推移するなか、漸く上向いた格好だ。

項目別では、軒並み前月から改善した。ただし新規受注、受注残、入荷時間、在庫などは分岐点割れを維持している。詳細は、以下の通り。

・生産 8.8、4ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は6.7、6ヵ月平均は5.0
・稼働率 3.6、4ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は0.8、6ヵ月平均は1.6
・新規受注 マイナス1.4、3ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス3.5、6ヵ月平均はマイナス4.1

・出荷 マイナス1.9、3ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は1.9、6ヵ月平均は3.6
・受注伸び率 マイナス0.8、3ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス5.1、6ヵ月平均はマイナス6.3
・設備投資 2、3ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は8.7、6ヵ月平均は1.8
・在庫 マイナス4.3、5ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス5.5、6ヵ月平均はマイナス6.3

・雇用 4.5、3ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は0.2、6ヵ月平均はマイナス2.0
・平均労働時間 2.5、分岐点乗せ>前月はマイナス1.8、6ヵ月平均はマイナス2.2
・賃金 18.4、分岐点乗せを維持>前月は16.4、6ヵ月平均は16.9

・仕入れ価格 18.2>前月は13.7、6ヵ月平均は13.3
・販売価格 8、2ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は1.2、6ヵ月平均はマイナス0.7

6ヵ月見通しは31.6と、前月の4.8をはるかに超え2011年1月以来の高水準を果たした。項目別では生産をはじめ稼働率、新規受注、出荷、受注伸び率、在庫、雇用、設備投資、労働時間に至るまで全て2桁の急伸を遂げた。

▽米11月リッチモンド連銀製造業景況指数、4ヵ月ぶりに分岐点を回復

米11 月リッチモンド連銀製造業景況指数は4となり、市場予想の1を上回った。前月のマイナス4を超え、4ヵ月ぶりに分岐点を回復。内訳をみると、まちまち。新規受注が4ヵ月ぶりに分岐点を回復し雇用が前月を上回った一方で、出荷や賃金は前月以下にとどまった。

・出荷 1、2ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は2、6ヵ月平均はマイナス3
・新規受注 7、4ヵ月ぶりに分岐点を回復>前月はマイナス12、6ヵ月平均はマイナス6
・稼働率 マイナス1、4ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス5、6ヵ月平均はマイナス7
・在庫(最終財) 18=前月は18、6ヵ月平均は20

・雇用 5、2ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は3、6ヵ月平均は1
・平均労働時間 4、分岐点を回復>前月はマイナス3、6ヵ月平均はマイナス1
・賃金 16<前月は18、6ヵ月平均は16

・仕入れ価格 1.00<前月は1.17、6ヵ月平均は1.0
・販売価格 0.57<前月は0.64、6ヵ月平均は0.47

6ヵ月見通し指数も、まちまち。出荷のほか新規受注、設備投資、設備投資が上向いたが、稼働率は横ばいだった。ただし雇用や賃金が下向き、受注残や入荷時間も低下した。

▽米11月シカゴPMI、2015年1月以来の高水準も雇用は分岐点割れ

米11月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は57.6と、市場予想の52.5を上回った。前月の50.6から上振れし、原油先物が40~50ドル台で安定するなか2015年1月以来の高水準を達成している。内訳をみると、生産が59.1、新規受注が63.2、在庫は56.1とそれぞれ上向いた。雇用のみ49.9と分岐点乗せを示した前月の51.1を下回り、米10月ADP全国雇用者数と同じく製造業雇用の減速を指す。

▽米11月マークイット製造業PMI速報値は1年ぶりの高水準、サービス業は若干低下

米11月マークイット製造業PMI速報値は53.9と、市場予想の53.5を上回った。前月の54.8も超え、2015年10月以来の高水準を達成している。

米11月マークイット非製造業PMI速報値は54.7と、市場予想と前月の54.8をわずかに下回ったが、2015年12月以来の高水準に近い。製造業と合わせた総合指数は54.9と、前月と変わらずだった。

クリス・ウィリアムソン主席ビジネス・エコノミストは、結果を受け製造業に対し「米大統領選を経て回復し、在庫縮小の動きも反転させている」と振り返る。しかし「利上げ観測に頭を抑えられ」、「インフレ圧力にも乏しい」と指摘。楽観度の高まりからFedは12月に利上げを実施した後、年明けは頻度を上げる可能性を残すものの「新政権の政策次第」と結ぶ。

マークイットの総合指数、米大統領選後も横ばい。
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(出所:Markit)

――製造業景況指数が一通り公表されたので、星取表を確認していきましょう。

・NY連銀製造業景況指数
1.5>前月はマイナス6.8

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
7.6<前月は9.7

・カンザスシティ連銀製造業景況指数
1<前月は6

製造業景況指数、2014年11月以来で初めて5地区連銀全てが分岐点乗せ。

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(出所:My Big Apple NY)

――原油価格が40ドル台を回復し安定推移し始めてから約半年、ようやく全ての地区連銀製造業景況指数が分岐点を奪回しました。米11月ISM製造業景況指数のブルームバーグ予想平均も52.5と、前月の51.9を上回っています。トランプ政権発足に向け米株がラリーを演じる一方、金利上昇・ドル高が頭を抑える懸念も。特にシカゴPMIの雇用が下振れしたように企業が採用に積極的になれるかは疑問が残り、米株のように右肩上がりといきそうにありません。

(カバー写真:Raging Wire/Flickr)

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