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米1月ADP全国雇用者数は20万人超え、採用件数も前月比で急増

by • January 31, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off1929

Healthy Private Job Growth Continues During The Government Shutdown.

米1月ADP全国雇用者数、米1月チャレンジャー人員削減予定数をおさらいしていきます。

米1月ADP全国雇用者数は前月比21.3万人増となり、市場予想の18万人増を上回った。2017年2月以来の高水準となる前月の26.3万人増(27.1万人増から下方修正)に届かなかったとはいえ、政府機関が一部閉鎖に見舞われながらも20万人の大台を保つ。年末商戦による臨時雇用の押し上げ効果が剥落したためサービス部門の伸びが鈍化した半面、財部門は前月から増加幅を広げた。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

ADP全国雇用者数、2017年2月以来の高水準から鈍化も20万人台を維持。

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(作成:My Big Apple NY)

セクター別では、サービス部門が14.5万人増と前月の21.9万人増(修正値)を下回った。内訳をみると、これまで力強い伸びだった教育・健康(前月は6.7万人増→3.8万人増)と専門サービス(前月は6.2万人増→4.6万人増)と鈍化した。年末商戦が終了した結果、輸送・倉庫(前月は3.9万人増→1.3万人増)も伸びが半減している。一方で娯楽・宿泊(前月は3.0万人増→3.1万人増)が前月とほぼ変わらなかったほか、金融(前月は0.6万人増→1.1万人増)が伸びを広げた。

財部門(製造業、建設、鉱業)は6.8万人増と、前月の4.4万人増を超え少なくとも過去半年間で最大となった。内訳をみると、建設(前月は2.7万人増→3.5万人増)と製造業(前月は1.7万人増→3.3万人増)と力強い。ただし、原油価格が2018年後半に約40%下落した影響で、鉱業(前月は横ばい→0.1万人減)は6ヵ月ぶりに減少した。

ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受け「労働市場は政府機関の閉鎖によく持ち堪えた」と評価した。その上で「企業が活発に採用を続ける限り、力強い経済成長は続く」と楽観的な姿勢を維持した。

――ADP全国雇用者数と雇用統計・民間就労者数の誤差は0.3万人でADPが小幅に過小に見積もっている場合が多い状況です。足元3ヵ月間では、雇用統計・民間就労者数を平均で3.5万人下回るだけに、政府機関の閉鎖の影響は限定的で、1月も力強い雇用統計が期待されます。

▽米1月チャレンジャー人員削減予定数、採用予定数と共に増加

米1月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比20.7%増の52,938人と5ヵ月連続で増加した。2018年12月からは118.7%増と、3ヵ月ぶりに前月比プラスとなる。

なお2018年通期では、前年比28.6%増の538,659人と2015年以来で最大となった。人員削減の理由として1位は再編、2位に閉鎖、3位に自主退職が挙げられたが、追加関税措置は798人と、ハリケーン”マイケル”は800人以下に。連邦や地方の政府による規制は1,565人だった。アラスカ地震は40人となる。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのヴァイス・プレジデント、アンドリュー・チャレンジャー氏は結果を受け「企業は新たな技術への依存度を高めつつある上、経済の不確実性が意識され、かつ小売業者間での個人消費の伸びは鈍化した」と指摘。特に小売で、人員削減のトレンドが続いているとの見方を寄せた。

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(作成:My Big Apple NY)

人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。チャレンジャー・グレイ・クリスマスの指摘通り、小売のリストラが際立つ。前月は1位がサービス、2位が製薬、3位がヘルスケア、4位がメディア、5位が航空だった。

1位 小売 22,327人(全体の42.1%)
2位 金融 4,230人(全体の8.0%)
3位 自動車 3,949人(全体の7.5%)
4位 娯楽 3,533人(全体の6.7%)
5位 サービス 2,530人(全体の4.8%)

州別動向は、年初来で以下の通り。2018年10〜12月は1位がカリフォルニア州、2位がニューヨーク州、3位がニュージャージー州、4位がテキサス州、5位がオハイオ州だった。

1位 カリフォルニア州 16,483人(全体の31.1%)
2位 イリノイ州 11,129人(全体の21.0%)
3位 ニューヨーク州 5,950人(全体の11.2%)
4位 ネバダ州 2,160人(全体の4.1%)
5位 コロラド州 2,012人(全体の3.8%)

人員削減実施の理由、年初来のランキングは以下の通り。前月は1位が再編、2位は閉鎖、3位は自主退職、4位はコスト削減、5位は破産だった。

1位 破産 19,884人(全体の31.1%)
2位 再編 10,055人(全体の19.0%)
3位 コスト削減 7,492人(全体の14.1%)
4位 理由不明 6,968人(全体の12.6%)
5位 契約終了 3,097人(全体の5.8%)

採用予定数は、前年同月比76.8%増の74,401人だった。2ヵ月連続で増加している。年末商戦の臨時雇用が収束したにも関わらず、大幅増に転じた。前月比では、4.6倍増に。ただし、1月は2017年に13万6501人になるなど、振れが大きくなる場合もある。

セクター別では、以下の通り。前月は1位が自動車、2位がコンピューター、3位が小売、4位がサービス、5位が金融だった。

1位 小売 66,700人
2位 輸送 3,000人
3位 保険 1,350人
4位 航空/防衛 1,300人
5位 金融 520人

――1月は人員削減予定数の増加を、採用予定数が補い労働市場の拡大傾向が見て取れます。とはいえ、IMFの世界経済見通し1月版によれば、米国の成長率は2018年をピークに成長が鈍化する方向に変わりありません。Fedの利上げ中断や保有資産圧縮終了による金融引き締め効果の減退が成長を支える期待があるものの、法人税減税の効果が徐々に剥落し設備投資や採用計画が先送りされかねず。全米企業エコノミスト協会(NABE)の調査でも、企業は新規投資や雇用を拡大させる意欲は薄かっただけに、労働市場の勢いは年後半にかけ徐々に削がれていってもおかしくありません。

(カバー写真:COD Newsroom/Flickr)

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