Concerns Over Fourth Round Of Tariffs Push NFIB Small Business Optimism.
米8 月NFIB中小企業楽観度指数は103.1となり、市場予想の103.5をわずかに下回った。前月の104.7に届かず、5ヵ月ぶりの低水準となる。6月末の米中首脳会談で残り約3,000億ドル相当の中国製品に対する追加関税措置第4弾が見送られ、ファーウェイの禁輸措置が解除となる可能性が高まるなど最悪の事態は回避したが、8月1日に事態は一転。トランプ大統領が第4弾を10%で9月1日から実施すると発言し、8月13日には携帯、パソコン、衣類など年末商戦に影響が及ぶ品目に対して12月15日に先送りされたものの、センチメントは低下した。なお、過去最高は2018年8月の108.8だった。
発表元である全米独立企業盟(NFIB)のジュアニタ・ドゥガン最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「中小企業の雇用、設備投資、業績は過去最高水準にあり、景気後退入りの兆候は全くみられない」と振り返った。しかし「景気後退入り懸念が全米の中小企業に心理的な不確実性を与えた」とも付け加えている。ウィリアム・ダンケルベルク主席エコノミストは「実体経済は盛況だが、悲観的な考え方は伝播しやすくセンチメントを冷やしかねない」と指摘。もっとも、ドゥガン氏と同じく「米経済はニュースのヘッドラインに反して力強さを保つ」とのコメントを寄せた。
米経済見通しは5ヵ月ぶりの低水準も、雇用増加はレンジ上下を保つ。
内訳をみると、12項目中プラス圏にのせた項目はこれまでの流れを受け継ぎ10項目だった。そのうち、プラス圏のうち前月を上回ったのは2項目のみで「設備投資を拡大した」、「賃金引き上げ」となる。その半面「事業拡大に良いタイミング」は横ばい、その他は低下した。マイナス項目は、前月通り「在庫満足度」と「信用状況の緩和」の2つだった。以下は、項目ごとの変化。
「求人件数」35%<前月は39%、6ヵ月平均は38%
「賃金引き上げ」29%<前月は32%、6ヵ月平均は32%
「設備投資を拡大した」28%>前月は27%、6ヵ月平均は28%
「事業拡大に良いタイミング」26%=前月は26%、6ヵ月平均は26%
「採用見通し」20%<前月は21%、6ヵ月平均は20%
「賃上げ見通し」19%>前月は17%、6ヵ月平均は20%
「売上拡大見通し」17%<前月は22%、6ヵ月平均は20%
「経済がより良くなる」12%<前月は20%、6ヵ月平均は15%
「販売価格の引き上げ」11%<前月は16%、6ヵ月平均は13%
「在庫を増加させる」2%<前月は3%、6ヵ月平均は2%
「在庫満足度」−2%>前月は−4%、6ヵ月平均は−4%
「信用状況が緩和」−6%<前月は−3%、6ヵ月平均は−4%
――GDPの6割を担うとされる中小企業のセンチメント、ISMと比較しレンジ上限を維持。
中小企業のセンチメントは、さすがに対中追加関税第4弾の発動予定を嫌気したようで低下しました。その割に、9月ベージュブックと一線を画し設備投資は増加し、採用見通しも若干の低下にとどまり、求人件数も高水準を維持。米7月求人数は2ヵ月連続で減少したものの、中小企業の間で採用意欲は落ち込んでいません。一方で、中小企業の間での経済見通しの低下が気掛かり。10月半ばの米中通商協議の予定を受けて、楽観度が回復すればよいのですが。
(カバー写真:Becky McCray/Flickr)
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