Nominal And Real Retail Sales Rise For The Fourth Straight Month.
米4月小売売上高は前月比0.9%増と、市場予想と一致した。前月の1.4%増(0.7%増から上方修正)に届かなかったもの、4ヵ月連続で増加。過去9ヵ月間で、8回目のプラスとなる。自動車とガソリンを除いた場合は1.0%増と、前月の1.2%増(0.7%増から上方修正)を含め2ヵ月連続で増加。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は1.0%増と、市場予想の0.5%増を超え、前月の1.1%増(0.7%増から上方修正)を含め4ヵ月連続で増加した。
チャート:米4月小売売上高、前月比で過去8ヵ月間で7回目のプラスに
内訳をみると、主要13カテゴリー中、前月比で9種が増加し、前月の速報値ベースの10種を下回った。最も力強い伸びを示した雑貨で、次いで自動車・部品、無店舗、外食などと続く。一方で、過去最高値から下落したガソリンのほか、スポーツ/趣味/書籍、食料・飲料、建築・園芸は減少に転じた。費目別の詳細は、以下の通り。
(プラス項目)
・雑貨→4.0%増、4ヵ月連続で増加>前月は2.4%増、6ヵ月平均は1.7%増
・自動車/部品→2.2%増、増加に反転>前月1.6%減、6ヵ月平均は1.3%増
・無店舗(オンライン含む)→2.1%増、4ヵ月連続で増加>前月は0.4%増、6ヵ月平均は1.2%増
・外食→2.0%増、3ヵ月連続で増加>前月は1.9%増、6ヵ月平均は1.1%増
・電気製品→1.0%増、4ヵ月連続で増加<前月は2.7%増、6ヵ月平均は0.7%減
・服飾→2.6%増、3ヵ月連続で増加>前月は0.5%増、6ヵ月平均は0.4%増
・ヘルスケア→0.7%増、2ヵ月連続で増加<前月は0.9%増、6ヵ月平均は0.3%増
・家具→0.7%増>前月は0.1%減、6ヵ月平均は0.2%増
・一般小売→0.2%増、2ヵ月連続で増加<前月は2.1%増、6ヵ月平均は0.2%増
(*百貨店は1.1%増、過去4ヵ月間で3回目の増加>前月は横ばい、6ヵ月平均は0.2%増)
(マイナス項目)
・ガソリン・スタンド→2.7%減、3ヵ月ぶりに減少<前月は9.6%増、6ヵ月平均は2.5%増
・スポーツ用品/書籍/趣味→0.5%減、3ヵ月ぶりに減少<前月は0.6%増、6ヵ月平均は0.2%減
・食品/飲料→0.2%減<前月は0.8%増、6ヵ月平均は0.3%増
・建築材/園芸→0.1%減、9ヵ月ぶりに減少<前月は0.7%増、6ヵ月平均は1.0%増
チャート;米4月小売売上高、前月比のカテゴリー別
小売売上高の前年同月比は8.2%増と、バイデン政権下で施行された追加経済対策でのバラマキを実施する前の21年2月以来の小幅な伸びにとどまった前月の7.3%増(速報値から上方修正)を上回った。
チャート:4月、前年比は21年2月以来の低い伸びだった前月から回復
チャート:4月小売売上高、費目別の20年2月比
――小売売上高はガソリン価格が過去最高値から下落したせいか、再び加速しました。Fedの積極的な利上げによる一段の金利上昇が起こる前に、買いだめしたかのような勢いです。また、外食が3ヵ月連続で増加したように、コト消費への広がりを確認しました。
チャート:米4月小売売上高、ガソリンの下落が消費の呼び水に?
実質ベースでも、小売売上高は前月比0.6%増と4ヵ月連続で増加していました。
筆者の予想に反し、米小売売上高はインフレ高進、金利上昇(米利上げ)、貯蓄率低下の逆風をしのぎ、力強さを維持しています。経験則として米利上げ開始早々に個人消費が急落する傾向は低いため、段階的にボディブローのように効いてくるのでしょう。
チャート:1994年利上げサイクル期の小売売上高、利上げ効果は1995年以降に顕在化
ただ、今後はガソリン価格の上昇再燃と、新型コロナウイルス感染者数の増加が懸念材料。5月30日のメモリアル・デーを皮切りにドライブ・シーズンが開幕しますが、NY市では再びマスク着用が推奨されました。5月FOMCの50bp利上げや金利上昇と合わせて考えれば、過度な楽観は禁物でしょう。
(カバー写真:chrisforsyth/Flickr)
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