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米7月CPIコア、追加関税措置第4弾の対象品目を中心に上振れ

by • August 14, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off2231

Core CPI Surprised To The Upside In July.

米7 月消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%上昇し、市場予想と一致した。前月の0.1%を上回る。原油先物が7月に約2ヵ月ぶりに60ドル台を回復するなかで、エネルギー(全体の7.8%)が1.3%上昇し、全体を押し上げた。ガソリンも2.5%上昇し、エネルギーと合わせて3ヵ月ぶりにプラスへ転じた。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は7月に一時2.779ドルと約1ヵ月ぶりの水準を回復した。その他のエネルギーでは電力など公益が前月まで3ヵ月連続でマイナスだったところ、今回は横ばいに。エネルギー以外では食品・飲料が前月と同じく0.1%上昇し、3ヵ月連続でプラスだった。

CPIコアは0.3%上昇し、市場予想の0.2%を上回った。前月に続き、2018年1月以来の高い伸びとなる。項目別では、帰属家賃が前月まで6ヵ月連続で0.3%の上昇を経て、0.2%へ鈍化した。家賃も、3~5月の0.4%から0.3%となる。ホテルなど宿泊は0.9%上昇、3ヵ月ぶりにプラスに転じた。結果、住宅全般では前月と変わらず、0.3%上昇した。

そのほか、服飾は前月の1.1%に続き0.4%上昇した。トランプ政権が検討開始を始めた約3,000憶ドル相当の第4弾追加関税措置に服飾・靴類が含まれたためか、男性用下着類や靴類を除き上昇が目立った。その他、医療費は0.5%上昇し5ヵ月連続でプラス。教育も0.2%上昇し、9ヵ月連続で上昇、特にパソコンが2.8%と前月の下落分を完全に打ち消した。輸送は0.8%上昇し、3ヵ月ぶりにプラスに転じた。自動車は0.2%上昇、前月に続き輸送を支えた。中古車が0.9%上昇し2ヵ月連続でプラスとなったためで、新車は前月まで3ヵ月連続で0.1%だったものの今回は0.2%に低下している。航空運賃はボーイング737MAXの運航停止問題が一服するなか、2.3%上昇し前月の0.9%の低下から反転した。娯楽は前月まで3ヵ月連続でのマイナスを経て、今回は横ばいとなった。

CPIは前年比で1.8%上昇、市場予想の1.7%を上回った。前月の1.6%も超えている。ただし、2012年2月以来の高い伸びを遂げた2018年7月に2.9%以下が続く。コアCPIは市場予想と前月の2.1%を超え、2.2%上昇し5ヵ月ぶりの高水準。リーマン・ショック直後の水準へ加速した2018年7月の2.4%以下の推移を続けたが、小幅ながら上向いた。

CPI、コアは5ヵ月ぶりの高い伸び。

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(作成:My Big Apple NY)

――今回、エネルギー関連だけでなくコアCPIが上向きました。特に前月比では追加関税第4弾(残り約3,000億ドル相当の中国製品に対する措置)の対象となる衣類、パソコン関連で目立ちます。その他、こちらで注目した外食も、引き続き上昇中。今回、上向いた主な品目のCPI、前月比と前年比は以下の通りです。前年比でみると外食は2009年7月以来の高い伸びだった一方で、服飾やPC関連はデフレ圧力が高く、物価を押し上げる余地は限定的と考えられます。

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(作成:My Big Apple NY)

さて、追加関税第4弾は9月1日に発動予定ながら、携帯電話、PC関連、衣類など年末商戦での重要な品目は12月15日からへ先送りされました。これが6~7月のCPIの上昇を一時的とさせるのか、見極めたいところです。

インフレ期待をみると。NY地区連銀のインフレ期待は7月に2.6%と前月の2.7%以下となり、賃金上昇見通しも2.5%から2.4%へ鈍化していました。ダラス地区連銀が公表するトリムPCEも、2ヵ月連続で2.0%と引き続き安定的で、インフレ圧力の高まりはみられません。

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(作成:My Big Apple NY)

ISM製造業景況指数はむしろ50を割り込むなど、川上での物価上昇圧力は低迷する状況。平均時給に視点を落とすと、13ヵ月連続で3%台にて推移しております。やはり、Fedが9月18~19日開催のFOMCでも追加利下げを行なう公算が大きいのでしょうが、CPI全体の6.0%を占める外食その他の物価に上昇の芽が伸びた時、Fedは対応を迫られてもおかしくありません。

(カバー写真:Robert Wallace/Flickr)

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