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ウェルズ・ファーゴ10−12月期は貸出を支えに増収、原油安の影響はみられず

by • January 14, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2900

Wells Fargo’s Q4 Profit And Revenue Rise On Loan Growth.

住宅貸出で最大のウェルズファーゴが14日に発表した10−12月(第4四半期)決算では、純利益が前年同期比1.8%増の57億1000万ドルだった。18期連続で増益を果たす。希薄後の1株当たり利益は1.02ドルと、アナリスト予想と一致。収入は3.8%増の214億4000万ドルと、市場予想の212億3000万ドルを上回った。

純金利マージン(貸付金利と預金者へ支払う金利の差)は3.04%となり、7−9月期の3.06%および前年同期の3.27%を下回った。純金利収入は3.5%増の111億8000万ドル。7−9月期の109億4100万ドルからも増加している。手数料(非純金利)収入は4.1%増の102億6000万ドルとカード手数料が寄与し、7−9月期の102億7000万ドルを超えた。非金利費用は3.3%増の126億ドルとなり、人件費など押し上げた。

ローン残高は前年同期比4%増の8494億ドルと、7−9月期の8332億ドルを超えた。中核ローンも8%増の8018億ドルと、7−9月期の7758億ドルを上回る。中核の貸出動向をみると、企業部門は前期比4.7%増の4137億100万ドル、消費者部門も1.9%増の3880億6200万ドル。貸出基準の甘さが指摘されていた自動車部門は1%増の557億ドルにとどまり、自動車ローン組成額は12%減(前年比でも1%減)の67億ドルだった。競争激化を一因に挙げている。

住宅ローン収入(金利を除く)は、前年同期比7.3%減の15億ドル。7−9月期の16億ドルを下回っただけでなく、大寒波の打撃を受けた1-3月期の15億1000万ドルを小幅に下回っている。住宅ローン組成額は12%減の440億ドルとなり、7−9月期の480億ドル以下とどまった。|

住宅ローン組成のうち借換のシェアが上昇するばかりで、新規は低下基調。
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(出所:Wells Fargo)

預金残高平均は前年同期比8%増の1兆1000億ドルとなり、7−9月期とほぼ変わらず。中核の預金残高平均は9%増の1兆400億ドルながら、7−9月期の1.1兆ドルからは減少した。

部門別の利益動向をみると、地銀部門は前年同期比7%増の34億3500万ドルとなったものの7−9月期からは1%減少した。資産運用・仲介・引退部門は5%増の5億1400万ドルとなり20%台の伸びを2期連続で止めている。7−9月期からも、7%減少した。ホールセール銀行部門(大企業・機関投資家・政府向け)は7%減の19億7000万ドルと減少基調をたどりつつ、7−9月期からは3%増加した。

経費率は59.0%と、7−9月期の57.7%から上昇。引当金は4億8500万ドルと市場予想の4億600万ドルを下回りつつ、7−9月期の3億6800万ドルからは拡大している。総資産利益率(ROA)は1.36%と、7−9月期の1.4%から低下。株主資本収益率(ROE)も12.84%と、7−9月期の13.1%を下回った。中核的自己資本(コアTier1)比率は最新版で10.44%、従来版で11.01%となり前期の11.11%から低下した。

2014年通期の純利益は前年同期比5%増の231億ドル、1株当たり利益は4.10ドルだった。売上高は1%増の843億ドルとなる。自社株買い・配当など株主還元総額は74%増の125億ドルとなった。

ジョン・スタンプ最高経営責任者(CEO)は、決算資料にて「2014年も力強い成長を遂げた」と評価。また「米経済がモメンタムを築き続けるに合わせ、多様化したビジネスモデルが2015年も株主および関係者に利益を還元する」と自信を示した。

石油・ガス関連企業のエクスポージャーが高いことから、カンファレンス・コールで原油安への影響を質問されたジョン・シュルーズベリー最高財務責任者(CFO)は「特に問題を確認していない」と発言。シェールガスといった企業の債務不履行を見越した引き当て金を積み増していないとも述べている。ただし、融資先の信用力を再評価しているとも付け加えた。

——投資銀行部門の収入に占める石油・ガス企業関連の割合が米銀で最も高い同銀は原油安の余波を受けず、積極的に貸出を拡大させ業績につなげました。とはいえ屋台骨の住宅ローン部門は減収・減益で、そのうち新規が増えていない点も気掛かり。他に純金利マージンの低下や資産運用やホールセール部門の軟調ぶりもあって、全体の収入が市場予想を上回ったものの将来への疑問を残すかたちとなっています。株価はJPモルガンと同じく売り優勢となり、一時2%近い下落を迎えました。

(カバー写真:Forbes)

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