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米12月貿易赤字は約2年ぶり高水準、ドル高が仇に

by • February 5, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1615

December Trade Deficit Widens, Strong Dollar Is To Blame.

米12月貿易収支は465.57億ドルの赤字となり、市場予想の420億ドルより赤字幅を拡大させた。前月の397.51億ドル(390.01億ドルから修正)を17.1%上回り、2012年11月以来の水準に膨らんでいる。ドル高により輸出が減少し輸入が増加した結果、赤字を押し上げた。

内訳をみると、輸出が前月比0.8%減の1948.80億ドルと2ヵ月連続で減少。輸入は2.2%増の2414.37億ドルと、増加に転じている。国内総生産(GDP)の算出に使用される実質ベースのモノの赤字は546.79億ドルと、前月の486.60億ドルを上回り足元で最大を記録した。なお2014年の貿易赤字は5050億ドルとなり、2009年以来の水準まで改善した2013年の4715億ドルから増加していた。

JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、結果を受けて「世界経済の鈍化やドル高といった影響を受けて、米10−12月期GDP速報値での経済分析局(BEA)の見積もりより実質の貿易赤字が拡大した」と指摘。その上で、10−12月期国内総生産(GDP)改定値を「2.0%増」とし、速報値の2.6%以下を予想する。1−3月期は、3.0%増で据え置いた。

大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストも「純輸出のマイナス寄与度は速報値の1.0%ポイントから1.2−1.3%ポイントへ拡大する」と分析しており、少なくとも米10−12月期GDP改定値は2.3−2.4%増への下方修正を見込む。バークレイズも、今回の結果を受け米10−12月期GDP改定値の予想を従来の2.5%増から2.3%増へ引き下げた。

以下は、輸出および輸入の内訳と各国ごとの貿易収支動向。

輸出の内訳をみると、モノは前月比1.9%減と前月の1.5%減に続き減少した。ドル高が災いし、産業財が大幅に下押ししている。

(減少項目)
・産業材 7.3%減と前月の1.7%増から反転
・食品/飲料 2.5%減と前月の2.1%増から反転
・消費財 0.4%減と2ヵ月連続で減少
(増加項目)
・資本財 1.9%増と前月の4.8%減から反転
・自動車 2.8%増と前月の3.6%減から反転
・サービス 1.7%増と前月の0.2%減から反転

輸入の内訳をみると、2.2%増となり足元久々に減少に転じた前月の減少分を打ち消した。原油を除いた場合は1.5%増と、0.8%減から増加に反転。主なカテゴリー別すべて、増加を示す。

(増加項目)
・産業財 5.3%増と前月の7.8%減から反転
・自動車 3.4%増と前月の2.4%減から反転
・食品/飲料 0.8%増と前月の4.4%減から増加に反転
・資本財 0.3%増と前月の0.8%減から増加に反転
・消費財 0.1%増と前月の3.8%増に続き増加

国別での貿易赤字動向をみると、最も赤字が多い中国は人民元がドル・ペッグされているため前月比5.5%減の283.00億ドルだった。反対にドル高を受け日本は3.2%増の57.01億ドル、欧州でも27.8%増の150.91億ドルとなり、そろって増加している。主な原油輸出国への赤字は前月に急減した反動を一因に、増加に転じた。カナダは3倍増の42.49億ドル、メキシコも11.7%増の49.72億ドル、石油輸出国(OPEC)も75.2%増の13.68億ドルだった。

——10−12月期の業績だけでなく、貿易収支にもドル高のネガティブ・インパクトが押し寄せています。原油安で米1月チャレンジャー人員削減予定数が急増しているほか、米12月製造業受注米1月ISM製造業景況指数なども企業の設備・在庫投資に弱含みのサインが点灯しており、成長と労働市場の雲行きは徐々に怪しくなってきました。

(カバ—写真:Michael Macor/ The Chronicle)

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