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ダウ平均、6月利上げを警戒し約300ドル安で引け

by • March 6, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2362

Good News is Bad News : Dow Drops 300 points After Strong Jobs Report.

米2月雇用統計が強含んだため、4日放送の”北野誠のFXやったるで!”で指摘させて頂いた通り米株は大幅安で取引を終えました。3月17−18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文で「(利上げに)忍耐強くなれる」との文言削除が決定的になったと同時に、6月利上げ警戒が台頭したかたちです。

ダウ平均は大幅反落し、一時は310.57ドル安の17825.15ドルと2月11日以来の安値を示現。序盤こそダウ平均の構成銘柄入れ替えでAT&Tが除外されアップルが組み入れられるとのニュースで下げ渋ったものの、中盤からは下値を探る展開に突入し安値近くで取引を終えています。引け値ベースでは、2月9日以来の安値となりました。出来高も伴っており、上昇して引けた前日の7580万枚から、本日は1億1340万枚まで膨れ上がっていたものです。

S&P500とナスダックも大幅反落。S&P500は2月11日以来の安値、ナスダックは2月19日以来の安値で引けています。週足ではダウ平均とS&P500が5週ぶりに反落。ナスダックのみ、かろうじて5週続伸する程度でした。

ダウ平均、S&P500とともに50日移動平均線割れが視野に。
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(出所:Stockcharts)

米2月雇用統計を受け、ウェルズ・キャピタル・マネジメントのジム・ポールセン主席投資ストラジストの予想のほか、JPモルガン、バークレイズなど6月利上げ派の主張がマーケットに響き渡りつつあります。

これまでは、「利上げ開始=米経済の好転」という楽観論が優勢でした。しかしながら原油安をはじめドル高、大寒波・積雪といった悪天候、さらに西海岸の港湾労働者ストライキなどマイナス要因が重なり、エコノミストの間で米1−3月期国内総生産(GDP)予想の下方修正が相次いでいることも事実。当初の2.5−3.0%増付近から、足元では2%割れまで引き下げられています。マーケットが時期尚早な利上げを警戒するのも、不思議ではありません。おまけに、米2月雇用統計では賃金動向も芳しくなく、成長の約7割を占める消費にも不安を残します。

もちろん、2014年1−3月期に2.1%減から同年4−6月期に4.6%増へ好転したように、今年も1−3月期に鈍化した後で回復する余地もあります。問題は、6月16−17日開催のFOMCのタイミング。米4−6月期GDP速報値の発表が6月30日であるため、米1−3月期GDP確報値のみを消化してから利上げを開始することを意味します。つまり、6月利上げでは見切り発車となりかねません。

米株だけでなく、米債相場も雇用統計に反応して大幅安を迎えました。米10年債利回りは2014年末以来初めて2.25%を超える水準まで上昇しています。おかげで、ドル高も加速。ドル円は一時121.29円と2014年12月8日以来を示現し、ユーロドルは前日の国債買い入れ詳細発表もあり一時1.0839ドルまで落ち込みました。S&P500構成銘柄の1−3月期業績は減収・減益見通しなだけあって、ドル高進行と米債利回り上昇は米株に一段の売り圧力を加えたと考えられます。

足元でダウ平均、S&P500が最高値を更新しただけでなく、ナスダックが2000年3月以来の5000pを突破していたため、利益確定を狙うマーケット関係者にとって米2月雇用統計は絶好の機会を与えたに違いありません。足元の上昇局面では出来高が伴っておらず、その予兆は見えていました。高値達成感に加え、ルー米財務長官が6日付けの書簡で「16日に債務上限に到達する」見通しを示したとのニュースも、材料視されたことでしょう。

(カバー写真:jev55/Flickr)

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