U.S. Trade Deficit Narrows In January Though Exports Fall 3 Months In A Row.
米1月貿易収支は417.52億ドルの赤字となり、市場予想の411億ドルより赤字幅を拡大させた。もっとも、2012年11月以来の水準に膨らんだ前月の456.01億ドル(465.57億ドルから修正)を8.4%下回る。ドル高により輸出が減少した一方で輸入も伸びが鈍化した結果、赤字が縮小した。ドル高に加え、西海岸の港湾労働者ストライキに伴う影響が及んだとみられる。
内訳をみると、輸出が前月比2.9%減の1894.10億ドルと3ヵ月連続で減少。下げ幅は3ヵ月間で最も大きくなった。輸入は3.9%減の2311.62億ドルと、減少に反転。国内総生産(GDP)の算出に使用される実質ベースのモノの赤字は536.16億ドルと、直近で最大だった前月の540.25億ドルから縮小した。なお2014年の貿易赤字は5050億ドルとなり、2009年以来の水準まで改善した2013年の4715億ドルから増加していた。
米1月貿易収支、1月に輸出・輸入そろって減少。
(出所:BEA)
JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、米1月貿易収支のほか米1月個人消費、米1月建設支出などを勘案した上で「米1−3月期GDP予想を従来の2.5%増から2.0%増」へ下方修正した。それでも予想値は下振れする可能性を残すといい、「アトランタ連銀の試算値は1.2%増」と指摘。2014年1−3月期の2.1%減に至らなくとも、成長減速へのリスクを点灯させた。ただし、「FedはGDPより労働指標を重視する」と付け加えるのも忘れない。同氏は米2月雇用統計を受け、Fedの第1弾利上げ見通しを「6月」で据え置いている。
バークレイズは、JPモルガンと反対に米1月貿易収支を受けて米1−3月期GDP予想を従来の「1.7%増から1.6%増」ヘ引き上げた。1月に実質の貿易赤字が減少したことを理由に挙げている。
以下は、米2月貿易収支の輸出および輸入の内訳と各国ごとの貿易収支動向。
輸出の内訳をみると、モノは前月比4.1%減と前月の2.0%減と合わせ3ヵ月連続で減少した。ドル高や西海岸での港湾労働者ストライキが災いし、産業財のほか資本財、食品、自動車など幅広く大幅に下押ししている。
(減少項目)
・食品/飲料 9.1%減と前月の2.9%減と合わせ2ヵ月連続で減少
・自動車 7.0%減と前月の2.8%増から反転
・産業材 5.5%減と前月の7.3%減と合わせ2ヵ月連続で減少
・資本財 1.2%減と前月の1.9%増から反転
・サービス 0.1%減と前月の1.5%増から反転
(増加項目)
・消費財 0.2%増と3ヵ月ぶりに増加
輸入の内訳をみると、モノが4.5%減となり前月の1.7%増から減少に転じた。原油を除いた場合は1.9%減と、前月の1.0%増から減少に反転している。
(増加項目)
・食品/飲料 1.4%増と前月の0.4%増と合わせ2ヵ月連続で増加
・資本財 0.2%増と前月の0.4%減から増加に反転
(減少項目)
・産業財 11.3%減と前月の4.7%増から反転
・自動車 2.0%減と前月の3.0%増から反転
・消費財 4.4%減と前月の0.4%減に続き減少
国別での貿易赤字動向をみると、最も赤字が大きくドル・ペッグ制を採用する中国で前月比1.1%増の286.06億ドルだった。ドル高を受けながら日本は1.1%増の57.66億ドルとなった一方、欧州は30.9%減の104.34億ドルとまちまちに。主な原油輸出国への赤字は前月に急増した反動から、減少に転じた。カナダは35.2%減の27.57億ドル、メキシコも41.4%減の29.18億ドル、石油輸出国(OPEC)も28%減の11.22億ドルとなる。
——ドル高の余波で輸出が減少を続けたものの、西海岸の港湾労働者ストライキの余波もあって輸入も減少し貿易赤字の拡大を回避できました。ドル高や港湾労働者ストのほか、世界経済の減速が反映された可能性もあります。港湾労働者ストが2月20日に収束したことを踏まえると、2月も輸出入を下押しすること必至。米2月ISM製造業景況指数などセンチメントが下振れしていたこともあり、3月になっても需要の芽吹きは限定的となりえます。
(カバ—写真:Lucy Nicholson/Reuters)
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