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米3月NAHB住宅市場指数は8ヵ月ぶり低水準、書き入れ時を控え

by • March 16, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1657

NAHB Builder Sentiment Drops To 8-month Low, Ahead Of Buying Season.

米3月NAHB住宅市場指数は53となり、市場予想の56および前月の55以下にとどまった。3ヵ月連続で前月を下回り、8ヵ月ぶりの低水準となる。2005年11月以来の高水準だった2014年9月の59から、減速を続けた。

内訳をみると、一戸建て現況指数が58と5ヵ月ぶりの水準へ落ち込んだ。2014年9月の63で頭打ちを確認している。住宅購入シーズンが開幕する春に改善が期待されるなか、一戸建て見通し指数は前月に続き59となり少なくとも9ヵ月ぶりの低水準。見込み客指数にいたっては37と、前月から2ポイントも下げ9ヵ月間で最低となった。

4大地域別での住宅市場指数は、4ヵ月連続で1地域のみ上昇。今回は大寒波と積雪の影響がはく落したおかげで、中西部が前月の48から61へ急伸した。一方で北東部は前月から7ポイント低下し39となり、足元で最低となっている。南部も前月の56を下回り53と、少なくとも7ヵ月ぶりの低水準。西部は53で、5ヵ月ぶりの水準へ落ち込んだ。

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のトム・ウッズ会長は、結果を受け「今回下振れしたものの、(50以上の)拡大基調を維持しており書き入れ時となる春に市場は改善するだろう」と楽観的なスタンスを維持。デビッド・クロウ主席エコノミストも「弱含みの背景は労働力不足や住宅ローン融資基準の厳粛化にあり、こうした障害にも関わらず住宅市場は雇用の伸び、低水準の住宅ローン金利、ペントアップ・ディマンドを追い風に改善を続ける」と引き続き前向きな見通しを示した。

——以上のように発表元のNAHBは、引き続き足元のセンチメントの低下に頓着していません。ただクロウ主席エコノミストが改善を見込む根拠として挙げた低金利、ペントアップ・ディマンドには疑問が残ります。利上げ局面で金利が上向く懸念をはらむほか、ペントアップ・ディマンドにしても雇用回復の裏で賃金が伸び悩んでいるためです。

特に賃金は、米1月雇用統計でみせた急伸の背景が最低賃金の引き上げといった一時的要因だったことが分かりました。米2月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)でも雇用増加を引っ張ったセクターは比較的、賃金が低い職業でした。不良債権物件が縮小しつつあり住宅価格がジリジリ上昇し続けるなか、雇用改善で住宅購入を刺激できるかは不透明です。

全米都市別、マイホームが必要な年収。拡大版はこちらでどうぞ。

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(出所:Washington Post)

米2月小売売上高が示すように、大寒波の余波があったとはいえガソリン価格の下落という恩恵を受けながら消費は勢い良く加速しませんでした。仮に住宅購入をめざし、アメリカ市民が消費を削っているのなら確かに住宅市場の改善への希望を残します。貯蓄率は1月時点で2012年後半以来の高水準でした。問題は、家賃による圧迫。ニューヨーク市では所得に占める家賃の割合が50%超えという試算もあり、なかなか厳しい現実が横たわります。

(カバー写真:Derik DeLong/Flickr)

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