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米3月個人消費は2ヵ月連続で増加、Q1雇用コスト指数は加速

by • April 30, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2031

Personal Spending Rises 2 Month In A Row, Q1 Employment Cost Index Jumps.

米3月個人消費支出は前月比0.4%増となり、市場予想の0.5%増に届かなかった。とはいえホリデー商戦の真っ盛りに2009年9月以来初めてマイナスに落ち込んだ2014年12月と1月に2ヵ月連続で減少した後、2月の0.1%増に続き2ヵ月連続で増加している。消費の内訳は、以下の通り。

・耐久財 1.77%増>前月の1.04%減から増加に反転
・非耐久財 0.61%増>前月の0.27%増と合わせ2ヵ月連続で増加
・サービス 0.18%増<前月の0.34%増から減速も増加基調を維持

耐久財は新車販売台数が押し上げたほか、非耐久財もガソリン価格の反発を受けて2ヵ月連続で増加した。サービスは暖房需要が公益が支えつつ、その他が弱含んだとみられる。

米3月新車販売台数は、GMとフォード以外で伸びが顕著に。
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(出所:chaniapost)

米3月個人所得は前月比±0%となり、市場予想の0.2%増を下回った。増加トレンドを14ヵ月で止めている。可処分所得も±0%となり、2014年下半期の0.1−0.3%増のレンジを超えた前月の0.5%増から鈍化。貯蓄率は所得が横ばいのなか支出が増加したため5.3%を示し、2012年12月以来の高水準を遂げた2月の5.7%から低下した。

所得の内訳は、以下の通り。

・賃金・所得 0.2%増<前月の0.3%増を下回りつつ10ヵ月連続で増加
(民間が0.2%増と前月の0.4%増から減速、サービスが0.2%増と前月の0.4%から鈍化。一方で財生産業は0.2%増と前月の±0%から加速、原油安の余波が意識されるなか製造業も±0%と前月の0.1%減から改善した。政府は2月と変わらず、0.1%増だった。)
・不動産収入 0.1%減>前月の0.6%減、3ヵ月連続で減少
(農場が15.5%減と3ヵ月連続で減少、非農場は±0%と前月の減少から改善)
・家賃収入 0.5%増>前月の0.4%増を合わせ25ヵ月連続で増加
・資産収入 1.5%減<前月の1.4%増から反転
(配当は2.9%減と14ヵ月ぶりに減少し、金利収入も低金利を受け0.5%減と9ヵ月連続で減少)
・社会福祉 0.7%増>前月の0.1%増から反転
(メディケイド=低所得者層向け医療保険は1.3%増と前月の1.5%増を合わせ4ヵ月連続で増加、メディケア=高所得者向け医療保険は0.3%減と4ヵ月ぶりに減少)
・社会補助 0.7%増>前月は0.6%増、4ヵ月連続で増加

米3月個人消費支出(PCE)デフレーターは前月比0.2%の上昇となり、市場予想および前月と一致した。前年比も2月に続き0.3%の上昇にとどまりつつ、2009年10月以来の低水準だった1月の0.2%を上回る。コアPCEデフレーターは2月に続き前月比0.1%の上昇となり、市場予想の0.2%に届かず。前年比は2月に続き、1.4%の上昇を示した。PCEデフレーターとコアPCEともに、米連邦公開市場委員会(FOMC)の目標値「2%」からかい離した水準を維持。目標値割れは、そろって2012年5月以来となる。

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「個人消費は足元から改善し4−6月期ヘの期待を募らせたものの、当方の4−6月期の3.6%増を達成するかどうかには見極めが必要」の見解を寄せた。賃金をはじめ、所得全般が鈍化した点も、意識している。インフレをめぐっては「コアPCEデフレーターは四捨五入前の前月比で0.148%となり、2014年6月以来の高水準だった」と指摘。2014年11月—12月にかけての弱含みから、切り返しつつあるとの考えを示した。

米1−3月期雇用コスト指数は前期比0.7%上昇し、市場予想の0.6%を上回った。2014年10−12月期の0.5%(0.6%から下方修正)から加速し、2014年7−9月期の水準へ戻している。前年同期比も2.6%の上昇となり、2014年10−12月期の2.2%を超えた。2014年の2.3%をはじめ、2011—2013年までの2.0%を大きく上回る。

大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストは、結果を受け「賃金・所得が増加をけん引したというより、手数料・ボーナスが寄与した」と指摘。経済成長の力強さを反映しているとの見解を寄せた上で「雇用コスト指数の上振れは劇的であり、Fedは労働市場のひっ迫を無視できないだろう」と結んでいる。

雇用コスト指数、リーマン・ショック以前の水準へ戻しつつあります。
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(出所:Daiwa Capital Markets)

——米3月個人消費の伸びは、引き続き市場予想以下にとどまりました。米3月小売売上高と整合的な内容です。3月個人所得こそ伸び悩みをみせつつ、米1−3月期雇用コスト指数は消費が気温上昇に合わせ花開く期待を膨らませたと言えるでしょう。逆に言えば経済指標の改善に加え、前日にはFedが緊急利上げに向けた試験を実施したとのニュースも届いており、マーケットは利上げ警戒度を強めたと言える。米株は経済指標の好転に、寄り付きから売りで反応してしまいました。

(カバー写真:The Searcher/Flickr)

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