After Selling At The End Of May, Wall Street Braces For ‘June Swoon’.
新緑がまぶしい5月、月末になって遅れてやってきた「セル・イン・メイ」の様相で幕を閉じました。
ダ ウ平均 18010.68 -115.44 -0.64％
S&P500 2107.39 -13.40 -0.63％
ナスダック 5070.03 -27.95 -0.55％
ダウ平均は、マーケットが注目する50日移動平均線を割り込んで引け。
（出所：Stockcharts）
週足ではダウ平均が続落、S&P500とナスダックが4週ぶりに反落しました。月足では、2ヵ月連続で上昇しています。
米1−3月期国内総生産（GDP）改定値が市場予想ほど悪化せず、米連邦公開市場委員会（FOMC）が9月利上げに向け地ならしを進める予感が漂います。翻って米5月シカゴ購買部協会（PMI）が再び分岐点割れを迎えたほか、米5月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値が上方修正されたとはいえ7ヵ月ぶり低水準。直近の景気動向に黄信号が灯るなか、9月利上げ警戒が台頭するのも仕方ありません。27日にギリシャ当局が合意文書の起草に着手したなどフライング気味な認識を示すに対し、支援協議は踊れど進まず。ショイブレ独財務相は「協議に反映されていない」と、釘を刺す始末。たまりかねたルー米財務長官が支援協議にあたって大枠でまず合意すべきと主張しつつ、期限ぎりぎりの合意では世界経済に「アクシデントを招く」と、あらためて警鐘を鳴らすほどです。
悪化しつつある米株の外部環境に加え、ドル高地合いが不気味に復活しつつあるのも気掛かり。ここに来て、ウォールストリート関係者の間では「5月に売り逃げろ（Sell in May and go away）」より、「6月の失速（June swoon）」を懸念する声が高まってきました。swoonとは熱狂、陶酔あるいは卒倒、失神を意味する言葉ですね。投資啓蒙家のジム・クレイマー氏も「ドル安に転じな限り方向性は変わらないだろう」と指摘し、「買収話以外は景気の良い材料がない」とこぼしていました。ある米株市場関係者も、「指数自体は悪くないものの出来高が伴わず活気に乏しい」と腕を組んでいました。
投資分析会社ケンショーの調査を元にCNBCが伝えたところ、過去10年間の6月パフォーマンスは芳しくありません。
・ダウ平均→下落は8回、平均リターンは1.6％安
・S&P500→下落は6回、平均リターンは1.3％安
・ナスダック→下落は7回、平均リターンは0.9％高
セクター別では、産業財と素材の下落が目立ちます。それぞれ過去10年間に下落した回数は8回に及び、産業財の平均リターンは2.4％安、素材は2.0％安でした。一方でアウトパフォーマーは公益とエネルギー。6回上昇しており公益の平均リターンは2.4％高、エネルギーは2.0％高を遂げています。
ダウ平均など3指数は高値圏を維持していますが、この指数の下落が止まりません。その指数こそ、ダウ輸送株指数。今でも景気先行指標として注目される同指数は直近高値をつけた2014年11月28日の9310.22pから5月29日までに10.2％も落ち込み、調整入りしてしまいました。20種の構成銘柄は原油安の打撃をもろに受けたCSXなど鉄道株のほか、原油安の恩恵に浴したデルタ航空などの航空株、配送関連のフェデックスなど。1−3月期の業績を振り返ると、鉄道株は原油安とドル高の二重苦に苛まれ発表前から見通しを下方修正していましたね。航空株は原油高の恩恵をドル高が下押し、配送大手はUPSが原油安による燃料サーチャージの低下とドル高の余波を受け売上が予想に届きませんでした。
ダウ輸送株指数、デッドクロスを形成。
（出所：Stockcharts）
足元はナスダックの好調ぶりが際立つようにIT、ソーシャルメディア、バイオテクノロジーが相場をけん引しており、輸送株と明暗を分けていました。6月に入り、両者の逆相関が解消され米株相場から強気派が後退するのか。少なくとも、来週は米4−6月期国内総生産（GDP）に反映される経済指標が目白押し。6月5日発表の米5月雇用統計や3日公表のベージュブックだけでなく、米4月個人消費・所得、米4月建設支出、米4月貿易収支などを受け成長回復の芽がどこまで伸びるのか確認し、利上げ開始時期を見極めたいところです。
（カバー写真：galleryhip）
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