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米4月貿易赤字は約7年ぶり高水準から縮小、Q2成長回復に期待

by • June 3, 2015 • Finance, Latest News • Comments Off • 2595

April Trade Deficit Deflates, Suggesting Net Export Will Be Less Of A Drag On Growth.

米4月貿易収支は408.79億ドルの赤字となり、市場予想の506億ドルより赤字幅を縮小させた。2008年10月以来で最悪を記録した前月の506億ドル（513.67億ドルから修正）を19.2％も下回る。前月比での縮小幅は、2009年初め以来で最大。西海岸の港湾労働者ストライキが収束した結果、貿易収支はトレンドへ回帰したと判断できる。

内訳をみると、ドル高一服を背景に輸出が前月比1.0％増の1899.05億ドルと2ヵ月連続で増加した。輸入は3.3％減の2307.84億ドル。過去最大を記録した前月の6.5％増から減少に転じた。

国内総生産（GDP）の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、571.80億ドル。約8年ぶりの水準へ膨れ上がった3月の664.05億ドルから、大幅に減少した。なお2014年の貿易赤字は5050億ドルとなり、2009年以来の水準まで改善した2013年の4715億ドルから増加していた。

米4月貿易収支、西海岸の港湾スト収束を経てようやく正常な水準に。
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（出所：Census）

バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果に対し「二国間の貿易収支をみると、西海岸の港湾労働者ストライキの影響はく落が鮮明」と分析する。その上で「太平洋側諸国との貿易赤字は373億ドルと3月の412億ドルから減少し、特に中国が312億ドルから265億ドルと減少が著しい」と説明。一時的要因が払拭されるなか輸出も持ち直しており、米4−6月期GDP予想値を「従来の2.6％増から2.8％増」へ引き上げた。一方、年次改定を経て3月の貿易赤字は拡大方向へ修正されたため「米1−3月期GDP確報値は、従来予想の0.5％減から0.6％減」へ下方修正した。改定値からは、マイナス幅が縮小する公算となる。

以下は、米4月貿易収支の輸出および輸入の内訳と各国ごとの貿易収支動向。

輸出の内訳をみると、モノは前月比1.0％増と前月の0.7％増に続き2ヵ月連続で増加した。西海岸の港湾労働者ストライキ収束でようやく積み荷処理も進んだため、資本財を中心に力強い伸びを示す。

（増加項目）
・資本財　4.6％増、前月の2.0％増と合わせ2ヵ月連続で増加
・産業材　1.8％増、前月の0.1％減を上回り直近で久々に増加
・自動車　1.3％増、前月の5.2％増と合わせ2ヵ月連続で増加

・サービス　横ばい、前月は0.8％増

（減少項目）
・食品／飲料　1.7％減、前月の2.0％増から減少に反転
・消費財　0.5％減、前月の9.2％減と合わせ2ヵ月連続で減少

輸入の内訳をみると、モノが3.3％減となり前月の6.5％増から反転。ドル高局面でも、過去4ヵ月間で3回目の減少を迎えた。原油を除いた場合は4.3％減と、前月の9.1％増から転じこちらも過去4ヵ月間で3回目のマイナスに落ち込んだ。

（増加項目）
なし
（減少項目）
・消費財　9.0％減、前月の16.1％増から反転
・産業財　1.5％減、前月の1.0％減と合わせ4ヵ月連続で減少
・自動車　1.3％減、前月の8.9％増から反転
・資本財　1.2％減、前月の7.1％増から反転
・食品／飲料　0.6％減、前月の4.7％増から反転

国別での貿易赤字動向をみると、最も赤字が大きくドル・ペッグ制を採用する中国への赤字が前月比15.2％減の264.78億ドルと減少に転じた。日本も、0.1％減の71.19億ドル。西海岸の港湾ストの影響に乏しかった欧州は、6.9％増の143.14億ドルと増加に反転した。主な原油輸出国への赤字は、縮小が優勢。メキシコが20.0％減の43.99億ドル、石油輸出国（OPEC）にいたっては99.5％減の600万ドルと急減した。カナダのみ、33.3％増の3.96億ドルと前月から拡大に転じた。

——アトランタ連銀の米4−6月期GDPの試算値は、米4月貿易収支の改善を受けて従来の0.8％から1.1％へ上方修正されました。

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（出所：Federal Reserve Bank Of Atlanta）

1−3月期のマイナス成長から、回復の息吹を感じさせます。エコノミスト予想の2.5％付近からかい離を狭めており、少なくとも巡航速度を取り戻す公算。米5月ADP全国雇用者数と合わせ、9月利上げ観測をサポートする内容となりました。

（カバー写真：Reuters）

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