June Car Sales Cool Down As Gasoline Prices Edge Up.

米6月新車販売台数は、ゼネラル・モーターズ（GM）以外のビッグ3が市場予想を上回った。日本車メーカーも御三家のうちホンダ以外がアナリスト予想平均を超えている。夏本番を迎えたものの、5月からは失速。引き続きトラック、スポーツ多目的車（SUV）が支えたとはいえ、ガソリン価格が6月に2.780〜2.835ドル台と5月の2.664〜2.774ドルから着実に上昇していたため重しとなったようだ。販売価格の上昇も、購買意欲にブレーキを掛けた可能性を残す。

オートデータが発表した米6月新車販売台数は、前年同月比3.9％増の147万6675台だった。ドライブ・シーズン入りを祝うかのような5月の163万4952台から9.7％も減少。年率では1716万台と市場予想の1720万台を下回り、2005年7月以来の高水準を加速した5月からもペースダウンした。

ケリー・ブルー・ブックによると、6月の平均販売価格は前年同月比2.5％上昇の3万3340ドル（約410万円）だった。前月比では0.6％上昇し、5月からプラスに転じている。

メーカー別の6月平均価格、前月比ではGMとトヨタを除き全て上昇。

（出所：Kelley Blue Book）

前年比で価格が上昇した一因として、引き続きSUVやトラックや輸入車など高価格帯の好調な売れ行きが挙げられる。エドマンズ・ドットコムの調査では、特に2014年までの10年間でトラックの値上がりが著しく41％を遂げ、SUVの9％を大幅に上回っていた。

気になる自動車ローン期間は1−3月期で組まれたもので平均67ヵ月（約5年半）となり、標準とされる36ヵ月（3年）から大きくかけ離れた。高額な大型車および輸入車の人気を反映しローン規模も過去最高に達するなど、あらためて自動車ローンへの健全性に疑問を投げかけている。

年間ではガソリン価格の下落とペントアップ・ディマンドを受け絶好調だった2014年に続き、2015年も快進撃を維持するとの見方が優勢。2015年の新車販売台数につき、自動車ディーラー最大手オートネーションのほか自動車価格情報サイトのトゥルーカーも「1700万台」を予想する。8年ぶりの高水準に並んだ2014年の販売台数を超える見通しだ。

以下、ビッグ3をはじめメーカー別動向。

GMは前年同月比3.0％減の25万9353台となり、市場予想の0.6％増に反する結果となった。4大ブランド別では、1ブランドのみ増加し4〜5月の3ブランドから減少している。トラックやSUVを抱えるGMCが8.0％増の4万7051台となり、ピックアップ・トラックが37％増と支えた。シボレーは3.9％減の18万1256台と、3ヵ月連続ぶりに減少。前月に続き「シルバラード」が33％増と寄与し、小売部門ではライバルであるフォードの「Fシリーズ」を抜き去った。高級車ビュイックは18.1％減の1万7531台と、減少に反転。高級ブランドのキャデラックは3.1％減の1万3515台で、2ヵ月連続で減少した。

フォードは8.2％増の18万5035台となり、市場予想の1.0％増から加速した。2大ブランド別では、そろって増加。フォードが1.2％増の21万7321台と、前月から増加に反転している。アルミ製ボディの新型トラック「Fシリーズ」が8.9％減の5万5171台と5ヵ月連続で減少したものの、SUVの「エッジ」が29.8％増の1万2587台だったほか「エクスプローラー」も30.2％増の2万377台と寄与。「マスタング」も53.6％増の1万1179台となり、2007年以来の高水準を示した。リンカーンは14.5％増の8326台となり、3ヵ月連続で増加している。

フィアット・クライスラー・オートモビルは5.8％増の20万2227台となり、市場予想の9.2％増を軽々と抜き去った。前年比プラスは63ヵ月連続、単月ベースでは2006年以来で最高を達成している。5大ブランド別では、5ヵ月連続で3ブランドが前年比プラスに。クライスラーが28％増の3万809台と、単月では2007年以来の高水準となる。ジープは25％増の7万1529台と、4ヵ月連続で単月ベースにて史上最高を更新した。ラムは2％増の3万6078台となり、単月では2007年以来で最高を達成。一方で、ドッジは14％減の4万3457台だった。フィアットも30％減の3137台と、それぞれ5ヵ月連続でマイナスを示した。なおフィアット・クライスラーは、小売部門の販売台数で初めてフォードを上回る快挙を達成。特に「ジープ」の人気が売上に火を点けた。

日本車では、トヨタが4.1％増の20万9912台で市場予想の2.7％増を上回った。ブランド別では、トヨタが3.1％増の18万3791台だった。特に「ハイランダー」が19.7％増、「RAV 4」も15.1％増と支え、「カムリ」などセダンの減少を抑えている。レクサスは11.1％増の2万6212台となり、3ヵ月連続で2桁増を達成。特にSUVが24％増を示し、売上増加の起爆剤となった。

日産は13.3％増の12万4228台となり、市場予想の11.8％増を超えた。ブランド別では日産が13.0％増の11万4243台で、単月で過去最高を遂げている。SUV・トラック部門の「ローグ」のほか「ムラノ」、「パスファインダー」が押し上げた。インフィニティは16.5％増の9985台だった。

ホンダは4.2％増の13万4397台となり、市場予想の7.1％増に届かず。ブランド別では、ホンダが1％増の11万8870台となった。「CR-V」が8.5％増の2万8439台と過去最高をマークし、「オデッセイ」を含むトラックが寄与している。アキュラは38.6％増の1万5527台で、3ヵ月連続で増加した。

6月版：自動車メーカー別のシェアの1位はGMで2位はフォード、3位にトヨタで変わらず。

（出所：Good Car Bad Car）

高級車部門別ランキングは、以下の通り（％は全て前年比）

1位　BMW
6.5％増の3万2176台、3月以来で2回目の首位を奪取した。1−6月期では7.1％増の16万8263台で、メルセデス・ベンツの後塵を拝したままとなる。2014年では1位、2013年は2位だった。
2位　メルセデス・ベンツ
6.2％増の3万486台、1〜2月、4〜5月まで首位を維持していたもののBMWに明け渡した。1−6月期では9.4％増の17万8504台で王座を死守。2013年は1位だったが、2014年ではBMWに1位を明け渡していた。
3位　レクサス
11.1％増の2万6121台、前月と同じく3位。1−6月期では14.5％増の15万8848台。2011年まで11年間連続で首位を飾っていた。

4位　アウディ（VW）
8.3％増の1万8262台、前月の5位から浮上した。1−6月期では11.0％増の9万3615台。
5位　ビュイック（GM）
18.1％減の1万7531台、前月の4位の座をアウディに明け渡した。1−6月期では6.3％減の10万6314台。
6位　アキュラ
38.6％増の1万5527台、前月と変わらず。1−6月期では11.7％増の8万7087台。

7位　キャデラック
3.1％減の1万3515台、前月と変わらず。1−6月期では1.5％減の8万899台。
8位　インフィニティ
16.5％増の9985台、前月と同じく8位。1−6月期で8.3％増の6万4280台。

その他の海外メーカーではアウディを除くVWが5.6％増の3万2176台と、2ヵ月連続で増加した。ヒュンダイは0.1％増の6万7502台と増加に転じた。

6月版：新車販売台数、ブランド別ランキング（％は前年同月比）

1位　カムリ（トヨタ）8.0％減の3万7408台、前月も1位
2位　カローラ（トヨタ）1.0％減の3万645台、前月も2位
3位　アルティマ（日産）12.7％増の2万9418台、前月は4位
4位　シビック（ホンダ）11.1％減の2万8727台、前月は3位
5位　アコード（ホンダ）15.0％減の2万7477台、前月も5位
6位　エラントラ（ヒュンダイ）55.0％増の2万6613台、前月は7位
7位　フュージョン（フォード） 8.0％減の2万5409台、前月は6位
8位　クルーズ（シボレー・GM）12.9％減の2万2647台、前月も8位
9位　フォーカス（フォード）16.0％減の2万2051台、前月は6位
10位　クライスラー200（フィアット・クライスラー）153％増の1万8560台、前月は12位

6月SUV版：新車販売台数、ブランド別ランキング（％は前月比）
1位　CR−V（ホンダ）8.5％増の2万8349台、前月も1位
2位　Rav 4（トヨタ）15.1％増の2万4843台、前月は4位
3位　エスケープ（フォード）3.9％減の2万4126台、前月も3位
4位　ローグ（日産）54.3％増の2万3243台、前月は5位
5位　エクスプローラー（フォード）30.4％増の2万2549台、前月は7位
6位　エクィノックス（シボレー）0.1％増の2万1760台、前月は2位
7位　ジープ・ラングラー（フィアット・クライスラー）16.5％増の1万9159台、前月は6位
8位　ジープ・チェロキー（フィアット・クライスラー）38.5％増の1万8472台、前月も8位
9位　ジープ・グランドチェロキー（フィアット・クライスラー）2.7％増の1万5464台、前月も9位
10位　フォレスター（スバル）5.6％増の1万4058台、前月は11位

（カバー写真：Fiat Chrysler）

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