米5月雇用動態調査、求人数は過去最高も離職者数など減少

by Sawako • July 7, 2015 • Finance, Latest News • Comments Off • 2360

Job Openings Post Historical High Though Hires And Separations Continue To Fall.

米労働省が発表した米5月雇用動態調査（JOLT）の件数ベースでは、求人数が前月比5.2％増の536.3万人だった。4月の533.4万人（537.6万人から下方修正）を上回り、2000年の統計開始以来で最高を記録している。なお米5月雇用統計・非農業部門就労者数（NFP）は、改定値で25.4万人増と巡航速度を回復していた。

新規採用人数は0.7％減の500.0万人となり、2ヵ月連続で減少した。もっとも、リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台を4ヵ月連続で保つ。離職者数は3.1％減の474.3万人となり、少なくとも年初来で最低に。定年や自己都合による退職者も266.9万人と前月の270.9万人以下にとどまり、2014年11月以来の低水準だった。

JOLTの求人率をみると、前月と変わらず3.6％だった。民間が前月通り今回も3.9％。民間のうち建設、製造業、小売を含む貿易・輸送・公益、専門・サービス、娯楽・宿泊などが前月から上昇した。一方で教育・健康が低下した。政府は前月と2.1％から2.3％へ上昇した。

就業者に対する新規採用率は、前月の3.6％から3.5％ヘ低下した。4ヵ月ぶりの低水準となる。民間が前月と変わらず3.9％だったものの、政府が前月の1.5％を下回り1.4％と押し下げた。

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は前月の3.5％から3.3％へ低下した。年初来で最低となり、2014年5月に並ぶ。民間が3.7％と前月の3.8％から低下しただけでなく、政府も前月の1.5％から1.4％へ下振れした。自発的離職率は4月に続き1.9％と、2008年4月以来の高水準だった3月の2.0％を下回る。2007年12月の2.1％到達がまたお預けになった。解雇者数は7.3％減の165.3万人と2ヵ月連続で減少、2014年9月以来の低水準を示す。解雇率は前月まで2ヵ月連続で1.3％を経て、2月の水準に並ぶ1.2％へ低下した。

5月までの過去1年間で、離職者数は5740万人だったところ採用人数は6020万人だった。ネット採用者数は、280万人増となる。求人1件当たりの競争倍率は前月に続き1.6倍となり、景気後退に突入した2007年12月の1.8倍を下回った。

——以上、米5月雇用動態調査を受けたイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。（）内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字を示します。

1）求人率—○ 2009年7月（最悪時点）　1.6％
2004－07年平均　3.0％
現時点　3.6％

2）解雇率—○ 2009年4月（最悪時点）
2.0％ 2004－07年平均　1.4％
現時点　1.2％

3）自発的離職率—× 2010年2月（最悪時点）　1.3％
2004－07年平均　2.1％
現時点　1.9％

4）採用率—× 2009年6月（最悪時点）　2.8％
2004－07年平均　3.8％
現時点　3.5％

5）非農業部門就労者数—○ 2009年3月までの3ヵ月平均（最悪時点）　82.6万人減
2004－07年の3ヵ月平均　16.2万人増
現時点の3ヵ月平均　22.1万人増

6）失業率—× 2009年10月（最悪時点）　10％
2004－07年平均　5.0％
現時点　5.3％

7）不完全失業率—× 2010年4月（最悪時点）　17.2％
2004－07平均　8.8％
現時点　10.5％

8）長期失業者の割合—× 2010年4月（最悪時点）　45.3％
2004－07年平均　19.1％
現時点　25.8％

9）労働参加率—× 2014年9月（最悪時点）　62.7％
2004－07年平均　66.1％
現時点　62.6％

——雇用動態調査は、引き続き着実な労働市場の改善を表しています。ただ前日に米連邦準備制度理事会（FRB）が公表した米6月労働市場情勢指数（LMCI）にある通り、勢いに乏しい。労働生産性と潜在成長率の低下が取り沙汰されるほか、雇用増加ペース鈍化懸念もくすぶります。そこへきてギリシャ債務危機と中国株安が火を吹く状況。Fedは7月28〜29日開催の米連邦公開市場委員会（FOMC）で9月利上げというペダルに置いた足を離すのか、それとも可能性を残すのか。7月に予定するイエレンFRB議長の議会証言で、ヒントを探ることになりそうです。

（カバー写真：Lindsey G/Flickr）

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