Q2 Earnings, Better Than Expected But Far From Good.
米4−6月期決算発表が本格化し、幸先の良いスタートから一転して暗雲がたれ込め始めています。
ファクトセットがまとめた途中経過によると、S&P500構成銘柄のうち187社(37%)が発表しました。そのうち、1株当たり利益が市場予想を上回ったのは76%。コスト削減にいそしみ利益を確保した結果、過去1年平均の74%および過去5年平均の73%を超えています。ただし、売上高は54%。過去1年平均および過去5年平均の57%以下にとどまりました。
7−9月期見通しを発表した企業のうち、減益を見込んだ企業は20社に及びます。増益は、7社に過ぎません。12ヵ月先の株価収益率(PER)は16.7倍。6月末時点の16.5倍を超えたものの5年平均の13.9倍、10年平均の14.1倍を上回ります。
1株当たり利益を上回った企業の割合が大勢を占めたとはいえ、決して良好とは言えません。1株当たり損益は2.2%減と、2011年7−9月期以来の減益を計上しました。2009年7−9月以来で最大の下げ幅となります。ただ、6月末の予想4.5%減ほどの悪化は免れました。
10セクター別での増益トップは予想通りヘルスケアで10.8%増と、1−3月期に続き1位の座を堅持しました。2位は通信で9.4%増、次いで金融が6.7%増、4位は裁量消費財で6.5%増、5位はITで3.5%増、6位は素材で2.3%増、7位は公益で1.8%増となります。最下位はエネルギーで54.4%減と断トツで、産業財が5.1%減、生活必需品が1.2%減と続きました。
1株当たり利益動向は、以下の通り。6月末の予想とはトップとワースト以外で変化が。
売上高では4.0%減と、こちらも6月末時点の4.5%減より下げ幅を縮めました。もっとも、2009年7−9月期以来の下落率とさえません。
10セクター別では、利益に続きヘルスケアがトップで7.4%増でした。2位は金融で4.4%増、3位はITで2.8%増、4位は通信で2.4%増、5位は裁量消費財で1.9%増、6位は生活必需品で1.5%増、7位は公益で0.4%増でした。最下位はエネルギーで38.2%減で、2桁マイナス。次いで素材が9.0%減、産業財が3.7%減と後を追います。
セクター別動向、売上高動向は以下の通り。
ご覧のように、足を引っ張るのは原油安で業績がボロボロにいたんだエネルギー関連。逆にエネルギー関連を除いた場合は1株当たり利益だと2.2%減から4.1%増へ、売上高も4.0%減から1.8%増とプラスに反転します。
ドル高の影響も、見逃せない。エネルギー関連を除きS&P500構成銘柄のうち売上の海外依存度が50%以下の企業の場合1株当たり利益は8.3%増と、突出して高い。反対に50%以上の企業は0.2%減ですから、明暗がはっきり分かれています。売上だと50%以下が3.5%増、50%以上で2.1%減でした。
中国との依存度も、気になるポイントです。足元の決算をみると、アップル・ウォッチの販売台数を発表しなかったアップルといい、GDP世界第2位を誇る中国との密接な関係が浮き彫りになっていて、個人的には夏なのにちょっと肌寒い内容になっています。
例えばアップルの売上に占める中国のシェアは、27%。いくらティム・クック最高経営責任者(CEO)が強気でも、7−9月期の売上見通しを振り返れば期待しづらい。ゴープロは好決算でも、中国が売上トップ10に入ったと報告し今後の影響が懸念されます。21日にダウ平均を180ドル安に落とし込んだユナイテッド・テクノロジーズも、中国での商業機における需要鈍化が決算の足を引っ張ったと説明。IBMは地域別をひも解くと中国での売上の落ち込みが激しく、為替差損を除くベースで25%減でした。好決算にも関わらずモルガン・スタンレーが売られた一因には、中国での取引が欧州の減速を打ち消したとの表記に反応した感は否めません。その他キャタピラー、ダウ・ケミカル、ヤム!ブランズなども中国要因が重しとなっています。
7−9月期も減益を計上する見通しで、今年はプロフィット・リセッションに陥りかねない。増収への反転も年明けとなる可能性が濃厚で、忍耐強さが求められます。
(文中写真:Factset、カバー写真:Andrew Crump/Flickr)
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