July Job Openings Hit The Record While New Hires Decrease.
米労働省が発表した米7月雇用動態調査(JOLT)の件数ベースでは求人数が前月比8.1%増の575.3万人と、市場予想の529万人を上回った。5月の535.7万人(536.3万人から下方修正)を軽々と超え、2000年の統計開始以来で最高を記録している。なお米7月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、改定値で24.5万人増と巡航速度を回復していた。
求人数が増加した半面、新規採用人数が減少し6月と正反対の動きを示す。7月は前月比4.8%減の498.3万人となり、リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台を6ヵ月ぶりに割り込んだ。6月は518.2万人と、人数自体で年初来で最高を示現していた。離職者数も3.9%減の471.6万人となり、少なくとも年初来で最低だった5月に続く水準に。定年や自己都合による退職者も269.5万人と前月の273.8万人から減少、5ヵ月ぶりの低水準だった。
JOLTの求人率をみると、前月の3.6%から3.9%へ大きく上昇した。民間が前月の3.9%から4.2%へ急伸。民間のうち製造業、小売を含む貿易・輸送・公益、専門・サービス、教育・健康、娯楽・宿泊などが前月を上回っている。一方で建設は横ばい。政府は前月の2.1%から2.2%へ上昇した。
就業者に対する新規採用率は、2014年12月の高水準に並んだ前月の3.7%から3.5%へ低下した。リセッションに陥った2007年12月の3.8%が遠のいている。民間は前月の4.0%から3.9%へ低下し、政府は2ヵ月連続で1.5%だった。
自発的および引退、解雇などを含めた離職率は前月の3.5%から3.3%へ低下した。民間が3.7%と3ヵ月ぶり高水準だった前月の3.8%から鈍化。政府は前月から横ばいの1.5%だった。自発的離職率は4月から4ヵ月連続で1.9%と、2008年4月以来の高水準だった3月の2.0%を下回る。2007年12月の2.1%到達がまたお預けになった。解雇者数は9.6%減の160.9万人と減少に反転。5月の水準を割り込み、2014年9月以来で最低だった。解雇率は1.1%と前月の1.3%を下回り、2013年11月以来の水準へ低下している。
7月までの過去1年間で、離職者数は5780万人だったところ採用人数は6060万人だった。採用者の純増幅は、270万人増となる。求人1件当たりの競争倍率は3ヵ月連続で1.6倍を経て1.4倍まで低下。景気後退に突入した2007年12月の1.8倍を大きく下回った 。
——以上、米7月雇用動態調査を受けたイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字を示します。
1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.9%
2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%
3)自発的離職率—×
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 1.9%
4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時点 3.5%
5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 22.1万人増
6)失業率—×
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 5.1%
7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 10.3%
8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 27.7%
9)労働参加率—× 2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.6%
——米7月雇用動態調査は、求人件数こそ統計開始で最高だったものの新規採用件数と離職者数が減少しました。前月と正反対の結果となっています。自発的に離職した人々の数も減少し、米7月雇用統計や米7月労働市場情勢指数(LMCI)より力強さが薄れた格好。ただ7月の夏期休暇に突入した季節的要因が考えられます。解雇者数が約1年ぶりで最低であり、労働市場が7−9月期も巡航速度で拡大中であるのは間違いなさそうです。
(カバー写真:Cydcor/Flickr)
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