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米11月雇用動態調査、求人数から離職数までそろって増加

by • January 13, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2219

Job Openings, Hires, And Separations Increase In November.

米労働省が発表した米11月雇用動態調査(JOLTS)で、求人数は543.1万人と市場予想の545.0万人を下回った。前月の534.9万人(538.3万人)から1.5%増加となり、増加に反転。もっとも、2000年の統計開始以来で最高を記録した7月の566.8万人以下を保つ。なお米11月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、改定値で25.2万人増とホリデー商戦前の臨時雇用で煽られた10月の30.7万件を下回りながら、2015年平均の24万人増を超えた。

求人数が減少した半面、新規採用人数0.6%増の519.7万人と2ヵ月連続で増加した。年初来で最高を記録しただけでなく、リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台を9ヵ月連続で保つ。

離職者数は0.6%増の493.0万人となり、2ヵ月連続で増加した。少なくとも2015年の年初来で2番目に低い水準だった7月の479.6万人を上回る水準を維持。定年や自己都合による退職者は1.9%増の283.1万人となり、2008年4月以来の高水準を達成している。解雇者数は0.8%減の169.0万人と、2014年9月以来で最低だった7月に次ぐ低水準だった。

JOLTの求人率をみると、前月の3.6%から3.7%へ上昇し9月の水準へ戻した。2001年1月以来の高水準を遂げた8月の3.8%に迫る。民間は前月に続き3.9%。10月の4.0%以下を維持した。民間のうち建設、専門・サービス、娯楽・宿泊、教育・ヘルスケアが前月から上昇した半面、製造業をはじめ小売を含む貿易・輸送・公益が低下していた。政府は4ヵ月連続で2.2%だった。

就業者に対する新規採用率は、5ヵ月連続で3.6%だった。2014年12月の高水準に並んだ6月の3.7%、およびリセッションに陥った2007年12月の3.8%以下を保つ。民間も前月に続き4.0%、政府も前月通り1.6%だった。

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は前月まで4ヵ月連続で3.4%を経て、3.5%へ上昇した。民間は前月と変わらず3.8%だったものの、政府は前月の1.7%から1.5%へ低下し、3ヵ月ぶり低水準を示す。自発的離職率は前月に続き2.0%と、2008年4月以来の高水準だった3月に並ぶ水準に保った。2007年12月の2.1%到達が、あらためて迫りつつある。解雇率は2ヵ月連続で1.2%となり、2000年12月の統計開始以来の最低である1.1%に接近した。

11月までの過去1年間で、離職者数は5860万人だったところ採用人数は6120万人だった。採用者の純増幅は、260万人増となる。求人1件当たりの競争倍率は3ヵ月連続で1.5倍で、景気後退に突入した2007年12月の1.8倍を下回る水準を維持した。

JOLTS、求人数の伸びが新規採用者数や離職者数を逆転。
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離職者数のうち、自発的離職者数が着実に増加中。

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(作成:My Big Apple NY)

――以上、米11月雇用動態調査を受けたイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。3ヵ月連続で、9項目中4項目が合格点に達していました。()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字を示します。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.7%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.2%

3)自発的離職率—×
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.0%

4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.6%

5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 28.4万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 5.0%

7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 9.9%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 26.3%

9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.6%

――米11月雇用動態調査は遂に求人数、新規採用数、離職者数と三拍子そろって増加しました。直近としては、初の快挙を遂げています。これまでは求人数が増加した月に新規採用数や離職者数が減少し、その逆も然りとふぞろいでしたが、漸くスッキリしました。米12月労働市場情勢指数(LMCI)が8ヵ月連続で上昇し、米12月雇用統計も絶好調だったように、ホリデー商戦を追い風に労働市場は力強さを増した格好です。

ただし年明け早々、悪いニュースが飛び込んでいます。百貨店メイシーズが大規模リストラ、英BPも原油先物の一段安を背景に4000人の人員削減を発表。ポータルサイト大手ヤフーも、人員整理を検討中とも伝えられました。2015年末が雇用増加のピークを迎えるリスクもあり、足元の雇用指標に浮かれてばかりはいられません。

(カバー写真:Andrew Kumar/Flickr)

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