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ブレイナードよ、お前もか~Fed高官は着々と3月利上げを地均し

by • March 3, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off792

E Tu, Brainard, Fed Officials Prepares For March Rate-Hike.

米連邦公開市場委員会(FOMC)で最もハト派と言われる女性、それはブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事です。2015~16年にかけ利上げに慎重な発言を展開し、ハト派の基盤を築き上げました。

そのブレイナードFRB理事はトランプ米大統領の議会演説明けの1日、「早期の(soon)」利上げが「適切(appropriate)」と語り、一転して3月利上げに前向きな姿勢を表明。本日米国時間に予定するイエレンFRB議長並びにフィッシャーFRB副議長の講演につなぎます。筆者はトランプ政権発足でイエレンFRB議長率いるFedがタカ派寄りにシフトするとは2016年12月の時点で予想していましたが、まさか行動に出ようとは・・。

おかげで、FF先物市場での利上げ織り込み度は90%へ上昇。

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(作成:My Big Apple NY)

FedとしてはイエレンFRB議長の議会証言1月FOMC議事録と市場に利上げの可能性を織り込ませた努力が2月28日のNY連銀のダドリー総裁、サンフランシスコ連銀のダドリー総裁による発言で実りを迎えたといったところ。このままいけばブレイナードFRB理事の講演を経て、本日のFRB正副議長の講演で決定打となるのでしょう。その合間の2月27日、国家経済会議(NEC)のコーン議長やムニューシン財務長官と同じくゴールドマン・サックス出身であるダラス連銀のカプラン総裁は「すぐにでも」利上げすべきと述べていました。また、かつ利上げ織り込み度が十分ではなかったためか、市場の動きに「過剰に反応すべきではない」と発言、3月利上げの布石を打っていましたね。

ハト派寄りの予想を描いていたエコノミストも、直近で修正が目立ちます。

モルガン・スタンレーのエレン・ゼントナー米主席エコノミストは、3月利上げと合わせ年内の利上げ回数を2回から3回へ引き上げました。2018年も3回から4回へ上方修正しています。ドル相場の見通しを3%下方修正するに合わせ成長とインフレに上昇圧力が掛かり、足元の金融緩和度合いが75bpの利下げに相当すると指摘。2017~18年のコアPCE価格指数見通しも、合わせて従来の1.9%から2.0%へ引き上げました。

BNPパリバのポール・モーティマー・リー北米担当主席エコノミストも、1ヵ月前に修正した5月利上げ予想を今度は3月へ前倒ししました。年内3回の利上げ、バランスシートの再投資停止を発表するタイミングは12月との見通しを変更せず。早期の利上げは後に利上げペースを加速させるリスクを後退させる上で有益、と説きます。ただし、物価上昇による消費減速のリスクに言及することも忘れませんでした。

いやはや、わずか1週間でここまで世界が変わるとは。何度か恨み節を書かせて頂きましたが、せめて1月FOMC声明文やイエレンFRB議長の議会証言でもう少し具体的な利上げ示唆を与えてほしかったものです。筆者としては昨年末にハト派の反乱を予想していましたが、ここまで3月利上げへ転じるとは正直想定外です。

ここでFedの統治目標に関わる、直近の経済指標を振り返ってみましょう。

米10~12月期GDP改定値
→前期比年率1.9%増

米1月雇用統計・非農業部門就労者数
→前月比22.7万人増、6ヵ月ぶりの高水準

米1月失業率
→4.8%、2016年11月に4.6%と金融危機以来の低水準を記録した後に上昇気味

米1月個人消費支出・実質
→前年比2.8%増、2015年9月以来の高水準だった前月の3.0%増から鈍化

米1月小売売上高
→前年比5.6%増、2012年4月以来の高水準

米1月PCE価格指数
→前年比1.9%の上昇、コア同1.7%の上昇

米1月消費者物価指数
→前年比2.5%の上昇と2012年3月以来の高水準 コア同2.3%の上昇と2012年5月以来の高水準に並ぶ

米株はトランプ政権の経済政策期待から米債利回りの急伸に反応薄。3月利上げに踏み切っても、微動だにしないようには見えます。

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(作成:My Big Apple NY)

仮にインフラ投資や税制改革、規制緩和が頓挫したとしても、いま利上げを先取りしておけば利下げ余地を作ることができる。おまけにトランプ政権にとっては財政出動への牽制となり、イエレン議長率いるFedにしてみれば3月利上げを「またとない好機」と捉えていてもおかしくありません。もう少し前から地均ししてほしかったところですが・・。

(カバー写真:Fortune Live Media/Flickr)

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