May Trade Balance Brightens Up Q2 Growth Outlook.
米5月貿易収支は418.71億ドルの赤字となり、市場予想の427億ドルより赤字幅を縮小させた。ただし4月の406.98億ドル(408.79億ドルから修正)を2.9%上回る赤字となる。4月に続き大寒波や西海岸の港湾労働者ストライキ収束の影響を払拭、貿易収支は正常化したようだ。
内訳をみると、輸出が前月比0.8%減の1885.95億ドルと3ヵ月ぶりに減少。輸入も0.1%減の2304.66億ドルと2ヵ月連続で減少している。米国および世界の景気回復力には、やや疑問を残すかたちとなった。
国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、583.69億ドルだった。4月の569.43億ドルから増加している。なお2014年の貿易赤字は5050億ドルとなり、2009年以来の水準まで改善した2013年の4715億ドルから増加していた。
米5月貿易収支、西海岸の港湾スト収束を経てようやく正常な水準に。
(出所:Census)
バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受けて「4−6月期国内総生産(GDP)の純輸出寄与度を高める」と指摘した。1−3月期こそ、大寒波や西海岸の港湾労働者ストライキ収束の影響で2月に輸入が急増したため「純輸出はGDPを1.9%ポイント押し下げたものの、4−6月期は振れが収まりGDPにプラス寄与する公算」。その上で、米4−6月期GDP見通しを「従来の3.1%増から3.5%増」へ大きく引き上げた。
以下は、米5月貿易収支の輸出および輸入の内訳と各国ごとの貿易収支動向。
輸出の内訳をみると、モノは前月比1.3%減と前月の1.8%増を下回り3ヵ月ぶりに減少に転じた。西海岸の港湾労働者ストライキ収束で積み荷処理が一段落したとみられ、産業材をはじめ食品/飲料、自動車などが支えた。一方で資本財や消費財が弱く、ギリシャ動向や中国景気減速を背景に世界的な需要鈍化の可能性を残す。
(増加項目)
・産業材 2.2%増、前月の1.8%増と合わせ2ヵ月連続で増加
・食品/飲料 1.7%増、前月の1.8%減から増加に反転
・自動車 0.8%増、前月の1.2%増と合わせ3ヵ月連続で増加
(減少項目)
・資本財 5.2%減、前月の4.6%増を下回り3ヵ月ぶりに減少
・消費財 0.5%減、前月の0.5%減と合わせ3ヵ月連続で減少
・サービス 0.2%減、前月の0.3%減と合わせ2ヵ月連続で減少
輸入の内訳をみると、モノが0.2%減となり前月の3.8%減と合わせ2ヵ月連続で減少した。ドル高局面でも、過去5ヵ月間で4回目の減少を迎えている。原油を除いた場合は0.2%減と前月の4.3%減を含め2ヵ月連続で減少、こちらも過去5ヵ月間で4回目のマイナスに落ち込んだ。
(増加項目)
・自動車 3.0%増、前月の1.3%減から反転
・消費財 ±0%、前月は1.1%減
(減少項目)
・産業財 1.5%減、前月の1.5%減と合わせ5ヵ月連続で減少
・資本財 1.5%減、前月の1.1%減と合わせ2ヵ月連続で減少
・食品/飲料 3.5%減、前月の0.9%減と合わせ2ヵ月連続で減少
国別での貿易赤字動向をみると、最も赤字が大きな中国への赤字が前月比15.0%増の304.52億ドルと前月の減少分をほぼ打ち消した。日本は反対に25.3%減の53.16億ドル。それぞれ、西海岸の港湾ストの影響が減退した様子を示す。西海岸の港湾ストの影響に乏しかった欧州は5.2%減の135.93億ドルと、減少に反転した。主な原油輸出国への赤字は、縮小が優勢。カナダにいたっては6.44億ドルの黒字となり、前月の1.69億ドルを含め少なくとも1990年以来の黒字転換を果たした。石油輸出国(OPEC)は、41.9%減の1億2000万ドル。メキシコのみ、4.5%増の45.59億ドルと2ヵ月連続で拡大した。
——アトランタ連銀の米4−6月期GDPの試算値は、米5月貿易収支の改善を受けて従来の2.2%から2.3%へ上方修正されました。
(出所:Federal Reserve Bank Of Atlanta)
1−3月期のマイナス成長から、力強い回復の息吹を感じさせます。エコノミスト予想も3%近くへ切り上がっており、少なくとも4−6月期は安定的な成長軌道を確保することでしょう。
(カバー写真:Bob Riha/Reuters)
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