15076410553_f11d73cc61_z

米8月ISM製造業景況指数、6ヵ月ぶりの分岐点割れ

by • September 2, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2032

ISM Manufacturing Index Turns Negative In August.

米8月ISM製造業景況指数、米8月マークイット製造業PMI確報値、米7月建設支出をおさらいしていきます。

米8月ISM製造業景況指数は49.4となり、市場予想の52を下回った。前月の52.6を下回り、6ヵ月ぶりに分岐点割れ。内訳をみると新規受注をはじめ生産が分岐点を割り込んだほか、雇用は2ヵ月連続で50を下抜けた。詳細は、以下の通り。

・新規受注 49.1、年初来で初の分岐点割れ<前月は56.9、6ヵ月平均は55.5
・生産 49.6、年初来で初の分岐点割れ<前月は55.4と4ヵ月ぶり高水準、6ヵ月平均は53.6
・雇用 48.3、5ヵ月ぶりの低水準で2ヵ月連続の分岐点割れ<前月は49.4、6ヵ月平均は49.1

・在庫 49.0、14か月連続で分岐点割れ<49.5、6ヵ月平均は47.4
・新規輸出受注 52.5=前月は52.5、6ヵ月平均は52.6
・受注残 45.5、2ヵ月連続で分岐点割れ<前月は48.0、6ヵ月平均は49.1

・仕入れ価格 53.0、5ヵ月ぶりの低水準<前月は55.0、6ヵ月平均は57.1
・入荷時間 50.9、4ヵ月ぶりの分岐点割れ接近<前月は51.8、6ヵ月平均は51.

ISMの雇用に合わせ、米雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の製造業も減少か。

ism_employment
(作成:My Big Apple NY)

ISMのブラッドリー・ホルコム会長は、結果に対し「18業種のうち6業種が拡大を示した」と指摘した。前月の11業種から減少したが、「単なる季節的な要因であり、製造業の減速を示すものではない」と分析し、楽観寄りな姿勢を保つ。

▽米8月マークイット製造業PMI確報値、15年9月以来の高水準から低下

米8月マークイット製造業PMI確報値は52.0となり、市場予想並びに速報値の52.1から低下した。2015年9月以来の水準へ上昇した前月の52.9にも届かず。金融危機以前の平均値54.1への回復が、また遠のいた。

マークイットのクリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受け「上半期と比較し生産や輸出が改善しているため、製造業PMIは8月に低下したが7~9月は年初来で最大の伸びとなる見通し」との考えを維持した。ただし米大統領選の時期とあって回復力は芳しくなく「鈍い拡大トレンド、インフレ圧力の欠如を受けて9月利上げは回避されるだろう」と予想した。

ISM製造業景況指数、マークイット製造業PMIそろって下振れ。

ism
(作成:My Big Apple NY)

▽米7月建設支出、公共が弱く前月比横ばい

米7月建設支出は前月比±0%の年率1兆1530億ドルとなり、市場予想の0.5%増を下回った。前月の0.9%増(0.6%減から上方修正)に届かず。内訳をみると住宅が0.4%増と前月の0.1%減を打ち消した半面、非住宅が0.3%減と3ヵ月ぶりに減少した。建設支出の前年比は1.5%減と、前月の0.3%増(速報値)からマイナスに転じた。

民間は1.0%増と、前月の0.7%増を含め3ヵ月連続で増加した。住宅0.3%増と4ヵ月ぶりに増加したほか、非住宅が1.7%増と前月の1.6%増を含め3ヵ月連続でブラスだった。非住宅の内訳をみると11項目中、7項目で増加。速報値ベースの6月分に並ぶ。前月比の詳細は、以下の通り。

・オフィス 4.6%増
・製造業 3.9%増
・教育 1.6%増

・商業 1.2%増
・通信 1.2%増
・電力 1.1%増

・輸送 0.4%増
・宗教 0%
・ヘルスケア 0.3%減

・宿泊 1.2%減
・娯楽 3.9%減

公共は3.1%減と、前月の1.3%増を打消し過去5ヵ月間で4回目の現象を示す。住宅が4.7%増と前月の減少を打ち消したものの、非住宅が3.2%減と逆に前月分の増加を相殺している。非住宅の12項目中、3項目が増加。前月の7項目(速報値ベース)を上回った。詳細は、以下の通り。

・ヘルスケア 2.5%増
・公共衛生 1.8%増
・高速/道路 0.3%増

・娯楽 ±0%
・輸送 0.1%減
・汚水/廃棄処理 0.1%減

・オフィス 0.2%減
・水道供給 0.3%減
・保存開発 6.1%減

・教育 8.3%減
・商業 12.5%減
・電力 27.1%減

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受けて「7月単月の数字こそ予想に届かなかったが、過去分が上方修正された」と振り返る。また民間の非住宅支出が予想外の堅調だったため「米4~6月期国内総生産(GDP)確報値の予想を従来の1.1%増から1.3%増へ引き上げると共に、米7~9月期GDPの予想の2.0%増を上回る可能性がある」と結んだ。

――これまでの米経済指標の結果を受け、アトランタ地区連銀は米7~9月期国内総生産(GDP)の予測値を従来の3.5%増から3.2%増へ下方修正しました。米8月ISM製造業景況指数が6ヵ月ぶりに分岐点を割り込んでいるだけに、米7月建設支出に喜んでばかりはいられません。GDPのうち設備投資の一角を成す構造物投資が2014年7~9月期からの減少トレンド(2016年1~3月期を除く)から改善するとしても、当初期待した勢いを遂げるかは未知数です。民間の非住宅投資が好調とはいえ、4~6月期の上級融資担当者調査では商業不動産への貸出を厳格化したことが確認され、ラグを伴って影響が現れる余地を残します。かつ、8月には9月利上げ観測に伴い金利が上昇しており、下振れへの懸念がくすぶります。

(カバー写真 eltpics/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.