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米7月消費者信頼感は約1年ぶり高水準、購入見通しは軒並み上昇

by • August 8, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off2021

Consumer Confidence Get The Mojo Back With Optimistic Buying Intensions.

米7月消費者信頼感指数は135.7となり、市場予想の125.0を上回った。前月の124.3(121.5から上方修正)を超え、約1年ぶりの高水準。2018年10月にITバブル真っ盛りの2000年9月以来となる高水準近くを達成しており、対中追加関税措置の影響もあってピークアウトしたか確認する余地が出てきた。米中首脳会談終了後、過度な悲観が後退し米株が過去最高値を更新し、米6月雇用統計も好調な労働市場を追い風に良好で、楽観的な見方が戻ったようだ。内訳をみると、現況指数が170.9と前月の164.3(162.5から上方修正)を超え、5ヵ月ぶりの水準へ上昇。見通し指数は112.2と前月の94.1から上向き、2000年9月以降で4番目の高水準となる。

外部環境として、7月30~31日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米国が2008年12月以来の利下げを決定、米金利が低下し消費者マインドを支えた。通商面では、5月にトランプ大統領が中国製品2,000憶ドル相当の追加関税の税率を10%から25%へ引き上げた後、残り約3,000憶ドル相当への対中製品にも同様の措置を講じる(第4弾)と発言、6月は米中首脳会談で少なくとも第4弾が棚上げにされた。米中通商協議再開で合意したこともあり一部では安心感が漂ったが、8月1日にトランプ大統領はこれを撤回、9月1日から発動する意思を表明し、不確実性が一段と高まる状況。消費者信頼感が再び下向く可能性を残す。

発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ・シニア経済指標ディレクターは、結果を受け「消費者は再び楽観姿勢を取り戻し、特に家計見通しが明るくなった」と指摘。消費者信頼感が高水準にあるため消費拡大が見込まれ、成長率を押し上げると予想した。

消費者信頼感指数、現況・期待ともに上昇し2000年以降の高水準近くに。

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(作成: My Big Apple NY)

現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは33.4%と、前月の28.6%(修正値)を上回り、2001年1月以来で最高となった2018年11月(34.5)に近づいた。以下は、結果の詳細。

ビジネス環境については、「良い」と「悪い」が上昇
「良い」40.1%→前月の37.5%から上昇、前年同月は38.1%
「悪い」11.2%→前月の10.6%から上昇、前年同月は10.3%
「普通」48.7%→前月の51.9%から低下、前年同月は51.6%

雇用については職が「豊富」と「あまり豊富でない」が上昇、「困難」が低下した。「豊富」から「あまり豊富でない」を差し引いたDIは、6ヵ月連続でプラスとなる
「職が豊富」46.2%→前月の44.0%から上昇、前年同月は42.8%
「あまり職が豊富ではない」41.0%→前月の40.2%から上昇、前年同月は42.4%
「職探しが困難」12.8%→前月の15.8%から低下、前年同月は14.8%

6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」が上昇し、「変わらず」と「悪化する」が低下
「良くなる」24.0%→前月の19.1%から上昇、前年同月は22.9%
「悪化する」8.7%→前月の12.6%から低下、前年同月は10.3%
「変わらず」68.0%→前月の68.6%から低下、前年同月は66.8%

6ヵ月先の雇用への見方は「職が増加した」が上昇したが4ヵ月連続で前年同月以下に下振れし、「減少」が低下したものの、「増加」は5ヵ月連続で「減少」を下回る
「職が増加する」20.5%→前月の17.5%から上昇、前年同月は22.6%
「職が減少する」11.5%→前月の13.9%から低下、前年同月は15.2%
「変わらず」68.0%→前月の68.6%から低下、前年同月は62.2%

6ヵ月先の所得への見方は「増加」が上昇したほか、「減少」は3ヵ月ぶりに低下
「増加する」24.7%→前月の20.5%から上昇、前年同月は20.4%
「減少する」6.3%→前月の7.5%から低下、前年同月は9.4%
「変わらず」69.0%→前月の72.0%から上昇、前年同月は70.2%

購入見通しは、消費者の間で楽観度が高まったように全て上昇した。住宅は金利低下を背景に3ヵ月連続で上昇し、6.8%と2016年1月以来の高水準となる。自動車は12.3%と、2018年7月以来の低水準となった前月の12.0%から上昇。家電は52.8%と2018年11月以来の水準へ上昇した。

購入見通しは、自動車と家電が下振れ。
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(作成:My Big Apple NY)

所得層別では、3.5万~4.9万ドル以外全て上昇した。特に1.5万ドル以下、5万~7.49万ドル、10万~12.5万ドル以上は10ポイントも上昇した。

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(作成:My Big Apple NY)

年齢別では、全ての年齢層で上昇した。35歳未満が137.1と前月から10ポイント以上も上向き、5ヵ月ぶりの高水準だった。35~54歳も8.7ポイントも急伸し142.2と、2018年10月以来の高水準。55歳以上は129.2と、2017年12月以来のレベルへ落ち込んだ前月から改善した。

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(作成:My Big Apple NY)

――米7月消費者信頼感指数は、メキシコに追加関税措置が及ぶリスクや米中間の貿易摩擦激化などを背景に大きく低下した6月から改善しました。メキシコ制裁関税発動を回避した上、米中首脳会談で一段の貿易摩擦悪化を免れ、米株相場が過去最高値を更新し、つれて消費者信頼感も上向いたとみられます。しかし、直近は長期ゾーンを軸に金利が低下し、米株相場もボラタイルで、8月は再びセンチメントが下振れしてもおかしくありません。

(カバー写真:lagaleriade arcotangente/Flickr)

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