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米新規失業保険申請件数、米5月雇用統計前に前週比で減少

by • June 4, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2009

Jobless Claims Remain Low Ahead Of May Jobs Report.

米新規失業保険申請件数は、5月29日週に27.6万件と市場予想と一致した。前週の28.4万件(28.2万件から修正)を下回り、2000年4月以来の数値に近づいた5月15日週の26.4万件(26.5万件から修正)が再び視野に入った。米労働省は今回、メモリアル・デーの週末にテキサス州で洪水に見舞われたものの特殊要因を挙げていない。4週平均も27万4750件となり、前週の27万2000件、2000年4月以来の低水準を記録した5月15日週の26万6500件(修正値)から増加した。とはいえリセッション以降での低水準を維持し、2012年5月以来で最悪だった米5月チャレンジャー人員削減予定数とのかい離を縮小させている。

米新規失業保険申請件数、4週平均は15ぶり低水準を記録。

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(出所:DOL)

5月23日週までの継続受給者数は、219.6万人。前週の222.6万人(修正値)を下回り、あらためて2000年11月以来の低水準を迎えている。被保険者に占める失業者の割合は1.6%と、前週の1.7%を下回り1971年以来で最低へ戻した。州別での新規失業保険申請動向をみると、増加が目立つ州はカンザス州で2716人増、前週に続きミズーリ州で1713人増、ケンタッキー州で708人増、ミネソタ州で704人増、ミシシッピ州で661人増だった。中西部と南部の州が揃った。減少が目立つ州はワシントン州で507人減、オレゴン州で376人減、オハイオ州で365人減、バーモント州で320人減、ノースカロライナ州で261人減となった。

▽米1−3月期労働生産性は下方修正、単位労働コストは加速

米1−3月期労働生産性・確報値は前期比年率3.1%低下し、速報値の1.9%から下方修正された。市場予想の2.9%の低下より、下げ幅を拡大。2014年10−12月期の2.1%(2.2%から上方修正)に続き下振れしており、2期連続でのマイナスは2006年以来初めて。内訳をみると、大寒波・積雪に見舞われるなか生産が1.6%低下し、速報値の0.2%の低下から下方修正された。米1−3月期国内総生産(GDP)改定値と、整合的である。
労働時間は1.6%の上昇となり、速報値の1.7%から引き下げられた。米1−3月期雇用コスト指数が示したように、時間当たりの労働報酬は労働時間が延びたこともあって3.3%上昇し速報値の3.1%を超え、1年ぶりの水準へ上振れ。結果、一定量を生産するために必要は労働経費を示す単位労働コストは6.7%上昇し速報値の5.0%から引き上げられ、市場予想の6.0%からも加速した。2014年10−12月期の4.2%を超え、1年ぶりの高水準を示した。

——米新規失業保険申請件数は減少しており、米労働省はテキサス州で洪水に見舞われたものの特殊要因にも挙げていません。米5月チャレンジャー人員削減予定数でもエネルギー関連がけん引し明るいニュースを届けており、JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは「労働市場のトレンドは好ましい状態が続いている」とまとめています。

米1−3月期労働生産性の低下は大寒波や積雪、原油安、西海岸の港湾労働者ストライキといった一時要因で生産が落ち込んだことが主因と考えられ、4−6月には回復してくるのでしょう。単位労働コストの上向きは賃金の伸び拡大につながり、消費にプラス要因と判断できる。米5月新車販売台数が、その代表例と言えます。一方で、企業の売上が鈍化する現状を踏まえると収益を圧迫しかねず。年内にわたり増収が見込めないなか大手企業を中心に買収・合併(M&A)で生き残りを賭けるものの、雇用増加につながるかは不透明です。

(カバー写真:Trade and Export)

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