Q2 Household Debt Flat Though Auto Loan Originations Accelerate.
ニューヨーク連銀が13日に発表した調査によると、4−6月期の家計債務残高は11兆8500億ドル(約1480兆円)だった。1−3月期からほぼ横ばいにとどまり、増加トレンドを3期で止めている。ピークに達した2008年7−9月期の12兆6800億ドルを6.5%下回り、下げ幅は1−3月期と変わらず。以前の7.2%から下げ幅を縮小し、金融危機前から債務削減ペースの鈍化を確認した。
リーマン・ショック後のデレバレッジが過ぎ債務は増加してきたものの、Q2は一服。
内訳は、以下の通り。
・住宅ローン→8兆1200億ドル(前期比550億ドル減、前年比0.2%増)
・ホームエクィティ→4990億ドル (前期比110億ドル減と減少トレンドに回帰、前年比4.2%減)
・非住宅関連債務→3兆1700億ドル(前期比670億ドル増、前年比2.2%増)
住宅ローン部門では、借換を含む新規住宅ローンが4660億ドルを計上した。大寒波の直撃を受けた1−3月期の3690億ドルから増加している。過去平均でみれば低水準にとどまるものの、2000年以来で 最低を記録した2014年4−6月期の2860億ドルで底打ちした格好だ。JPモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴなど、米銀の4−6月期決算で住宅ローン組成額では前期比で増加した結果と整合的。90日以上の未払い率は2.5%と、1−3月期の3.0%および2014年10−12月期の3.1%を大幅に下回り改善トレンドを維持した。労働市場の改善が支えになったと見られる。
非住宅関連債務、主な内訳は以下の通り。
・自動車ローン→1兆100万ドル(前期比380億ドル増、前年比11.1%増)
→ローン残高は17期連続で増加。自動車ローン組成額は1190億ドルとなり1−3月期の950億ドルを超え、2005年7−9月期以来で最高。90日以上の未払い率は3.4%と、1−3月期の3.3%から小幅に上昇した。2014年10−12月期の3.5%以下を保つ。
・クレジットカード→7030億ドル(前期比190億ドル増、前年比5.1%増)
→大寒波で支出が縮小した反動もあって、増加に反転。90日以上の未払い率は8.4%と1−3月期変わらずも、2014年10−12月期の7.3%を大幅に超える水準を維持。
・学生ローン→1兆1900億ドル(前期比10億ドル増、前年比6.4%増)
→ローン残高は増加トレンドを維持。90日以上の未払い率は11.5%と、1−3月期の11.1%から上昇。
——注目の自動車ローン組成額は3期ぶりに増加し、債務遅延率も小幅ながら上昇していました。夏のガソリン・シーズンを前に、あらためて過熱感が高まったようです。米5月新車販売台数が急発進したように、スポーツ多目的車(SUV)や高級外車の購入で押し上げられたのでしょう。1−3月期に改善を遂げた当時から不安材料が飛び出していましたが、2014年10−12月期および年明け1−3月期における自動車ローン組成額の増加一服は天候要因だったと考えられます。
ローン組成額の伸び、自動車の勢いが再燃(自動車は赤で左軸、住宅は青で右軸)。
家計債務全体での支払い遅延率(90日以上)は前期まで3期連続で4.3%を経て、今回は4.0%へ低下しました。少なくとも、2008年1−3 月期以来で最低を記録しています。未払い率全体は5.6%で、1−3月期の5.7%を下回り改善トレンドをたどりました。
——全体的な債務拡はほぼ変わらずだったものの、天候の改善を背景に自動車ローンの組成額が加速しました。債務遅延率も住宅ローンで大幅低下するのみで、自動車ローンだけでなくクレジット・カードや学生ローンで上昇。財布の紐が弛んだツケが、未払い率を押し上げた可能性をちらつかせています。
(文中写真 : Federal Reserve Of New York、カバー写真 : elysiumcore/Flickr)
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