Beige Book Shows Limited Impact Of Harsh Weather.
米連邦準備制度理事会(FRB)が4日に公表したベージュブック(1月初めから2月半ばまでカバー)は、大寒波と積雪に見舞われたにも関わらず、1月分に続き緩やかな成長軌道をたどっていることを確認しました。セントルイス連銀がまとめた今回のベージュブックでは、景気動向に対し「経済は、拡大を続けた(continued to expand)」と総括。2014年12月、1月で用いた表現で据え置いています。
6地区連銀は、前回から「緩やかなペース(moderate pace)」で拡大し、フィラデルフィア連銀とクリーブランド連銀は「控え目(modestly)」なペースとなりました。カンザスシティ連銀は前回に続き「わずかな(slight)」成長にとどめています。原油安を背景に、ダラス連銀は「成長の鈍化(growth slowed)」を報告した前回と、「同じようなペース」でした。リッチモンド連銀は前回の「控え目なペース(modest pace)」から、経済活動が「鈍化(slowed)」したと指摘。除雪場所に困るほどの豪雪に見舞われたボストン連銀は、「いたって活発(fairly upbeat)」だったとまとめています。
大寒波と積雪をめぐって、全体的な経済活動の力強さを示したボストン連銀のほかニューヨーク連銀は「消費支出に影響を与えた」と明記しています。ただし、消費活動は「ほとんどの地区連銀(most Districts)」で拡大しており、短期的な売上には「全般的に楽観的(generally optimistic)」でした。さほど深刻なインパクトを報告していません。
消費者動向に関する記述で、アトランタ連銀はマクドナルドの業績不振を暗に説明していました。同地区連銀によると、消費者は「ファーストフードから(1月末に上場を果たしたシェイクシャックなどに代表される)カジュアル・ダイニングへシフトしている」といいます。2014年12月ベージュブックでサンフランシスコ連銀がハンバーガー離れを指摘していたように、消費者嗜好の変化が明らかとなりました。B級グルメは、ニューヨークでも高級レストランを駆逐する勢いですから人気ぶりは想像に難くありません。
シェイクシャック、2016年には東京を皮切りに日本デビュー。
(出所:Lucas Richarz/Flickr)
製造業活動は拡大していたものの、米2月ISM製造業景況指数をはじめ連銀の製造業センチメントが示すように「ペースについては様々(at varying rates)」との言葉が加わっていました。住宅活動も「まちまち(mixed)」となっています。
雇用は、地区連銀全体で「安定的あるいは拡大(remained stable or expanded)」しており、広範囲にわたるセクターで雇用増加が報告されました。賃上げ圧力は「緩やかなままで(remained moderate) 」、前回に続き特殊技能職のみに「限定( limited)」していたといいます。物価については、大半の地区連銀で「横ばいあるいはわずかな上昇(only flat to slightly increasing)」を確認した程度でした。
原油安を背景に、前回と同じく石油・天然ガス採掘作業は「低下(declined)」を報告していました。特に石油生産、シェールオイル・ガスの生産地が集まるカンザスシティ連銀とダラス連銀は、リグ稼働数の減少とエネルギー関連企業の発表に合わせ「年内に設備投資の削減」を予想していました。
今回、サマリー部分で使用されたキーワードの登場回数(同じ単語の変化形を含む)は以下の通り。
「増加した(increase)」 →33回、前回は33回
「強い(strong)」→10回、前回は8回
「緩やか(moderate)」 →6回、前回は17回
「穏やか(modest)」→6回、前回は15回
「弱い(weak)」→5回、前回は3回
「底堅い(solid)」→ゼロ回、前回は2回
「安定的(stable)」→7回、前回は1回
BNPパリバのデレク・リンゼー米エコノミストは、今回の内容を受け「各連銀の報告を含めたベージュブック全体で『弱い (weak)とする文言の登場回数は22回となり、1月および2014年12月の17回から増加した」とコメント。ただし過去平均を大幅に下回る水準を保ったほか、消費支出や住宅投資の拡大を指摘しており「全体的にはポジティブ」と受け止めています。3月17−18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文で、大寒波や積雪をめぐる文言はさらっと触れる程度となる気配が立ち込めてきました。
(カバー写真:Britt Leckman/Flickr)
Comments
インド、年初から2回目の緊急利下げ—MPC設立が一因? Next Post:
米2月チャレンジャー人員削減予定数、2ヵ月連続で5万人乗せ