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米6月新築住宅販売件数、金利低下を支えに08年2月以来の高水準

by • July 27, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1803

New Home Sales Hit Highest Since 2008.

米6月新築住宅販売件数と米5月S&P/ケースシラー住宅価格指数、米7月リッチモンド連銀製造業景況指数をおさらいしていきます。

米6月新築住宅販売件数は年率59.2万件と、市場予想の56.0万件を上回った。前月の57.2万件(551万件から上方修正)を軽々と越え、2008年2月以来の高水準を遂げている6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で夏の利上げの可能性が後退したほか金利が低下し、需要を押し上げたようだ。

4大地域別では、2地域で増加し5月の1地域から増えた。特にIT関連企業が多い西部で10.9%増の15.2万件と、前月の減少分を相殺。中西部は10.4%増の8.5万件となり、2ヵ月連続で増加した。一方で、北東部は5.6%減の3.4万件と、2ヵ月連続で減少した。石油生産地が集まる南部は0.3%減の32.1万件と、小幅ながら2ヵ月連続で減少した。

在庫総数は前月比3.4%増の24.5万件となり、景気回復サイクルで最高を示した。販売件数の増加を上回ったため、在庫相当は前月の4.4ヵ月から4.5ヵ月へ延びた。

中央価格は30.67万ドルと、前年比では6.1%上昇した。5ヵ月連続で上昇した。5月の28.88万ドルを超えつつ、過去最高を記録した4月の32.02万ドルには届かず。前月比では6.2%上昇した。

新築住宅販売件数、直近は調整していた価格が盛り返す。

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(作成:My Big Apple NY)

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「中古住宅販売件数と新築販売件数はそれぞれ、4~6月期に前期比年率43%増、16%増を遂げたが、当方は引き続き同期の住宅投資が前期比年率マイナスを予想する」と分析した。背景として「住宅修繕費、新築構造物の支出の弱さ」を挙げた。

――米6月中古住宅販売件数と合わせ、新築住宅販売件数は大幅な増加を遂げており住宅市場は低金利効果を背景に順風満帆な状況を示します。MBA住宅ローン申請件数指数の新規が示すより力強く、筆者にとっても予想外の好結果となりました。雇用の追い風も一因であることは間違いありません。もっとも米7月消費者信頼感指数では必ずしも所得や雇用に楽観的とは言えず、住宅投資の勢いが鈍化するリスクも残します。

▽米5月S&P/ケースシラー住宅価格指数、予想外に減速

米5月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前、20都市別)は前年同月比5.24%上昇の180.70となり、市場予想の5.52%を下回った。前月の5.44%にも届かず。5%台の伸びを維持し3年1ヵ月連続でプラス圏を保った一方で、2013年2月以来の10%割れを迎えた。季節調整済み・20都市別の前月比は0.05%の低下と、市場予想の0.1%を下回った。前月の0.18%の低下(0.45%の上昇から下方修正)と合わせ、2ヵ月連続でマイナスを示す。

季調済みの前月比では、12都市が上昇し前月の15都市から減少した。トップはオレゴン州ポートランドで0.69%となり、2位はテキサス州ダラスで0.48%の上昇に。3位はコロラド州デンバーで0.38%の上昇となった。ワースト1位はこれまで上昇が著しかったカリフォルニア州サンフランシスコで1.29%低下、2位はニューヨーク州NYで0.48%低下、3位はオクラホマ州クリーブランドで0.18%低下した。

▽米7月リッチモンド連銀製造業景況指数、分岐点を回復

米7月リッチモンド連銀製造業景況指数は10となり、市場予想のマイナス5を上回った。前月のマイナス10(マイナス7から下方修正)を超え分岐点を回復しただけでなく、5ヵ月ぶりの高水準となる。内訳をみると新規受注をはじめ出荷、受注残、稼働率、週平均労働時間が軒並み分岐点を回復した。雇用も前月値を上回り、4ヵ月ぶりの高水準を果たす。見通し指数も新規受注や雇用、設備投資など軒並み上昇した。

――米7月リッチモンド連銀製造業景況指数が分岐点を取り戻し、これで各連銀の製造業景況指数のうちNYとともにプラス圏入りしました。フィラデルフィアダラスと一線を画します。米6月鉱工業生産が回復したように、ISM製造業景況指数が一段と回復する素地を築きました。

(カバー写真:chris riebschlager/Flickr)

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