WEO

IMFは世界経済見通しはまちまち、米国は引き下げ日欧は上方修正

by • April 14, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off4371

IMF Sees Uneven Growth, Trims U.S. Outlook As Strong Dollar Drags On Exports.

国際通貨基金(IMF)は14日、最新の世界経済見通し(WEO)を公表しました。2015年の世界成長見通しは3.5%増と、前回2014年1月と変わらず。2016年は世界で金融緩和ラッシュが席巻するなか、従来の3.7%から3.8%へ小幅に引き上げています。

国・地域別でみると、ドル高・原油安に加え1−3月期の大寒波、西海岸の港湾労働者ストライキに見舞われた米国が2015年、2016年そろって下方修正されました。そのほか、ロシアも2015年、2016年合わせて引き下げられました。中国は金融緩和を打ち出しながら、見通しは変更せず。成長けん引役を投資から消費へバトンタッチする過渡期にあるため、景気減速懸念がくすぶると指摘しています。

反対にインド準備銀行(RBI)の利下げや原油安に加え、モディ政権の改革を背景にインドは2015年、2016年そろって約1%ポイントも上方修正されました。おかげで、1999年以来で初めて中国を抜く公算となります。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和(QE)決定やユーロ安を追い風に、ユーロ圏も2年分の見通しを引き上げられていました。日本も同じく、今回は2015−16年ともに上方修正されています。

2014年10月こそ、IMFが株式市場で「泡の表面化」に言及し米国を中心に株式相場の下落を促したものの、1月に続き今回も相場に波風を立てませんでした。ただし、オリビエ・ブランシャール主席エコノミストは、リスク要因として「為替相場のボラティリティ上昇」のほか原油安、地政学的リスクを挙げています。また、産油国が多いエマージング国でのバランスシート悪化を懸念していました。以下は、各国・地域の成長見通しで()内の数字は前回1月あるいはその後の改定値となります。

2015年成長率見通し

世界経済→3.5%(3.5%)
先進国→2.4%(2.4%)
米国→3.1%(3.6%)
ユーロ圏→1.5%(1.2%)
独→1.6%(1.3%)
仏→1.2%(0.9%)
伊→0.5%(0.1%)
西→2.5%(2.0%)
日本→1.0%(0.6%)
英国→2.7%(2.7%)
カナダ→2.2%(2.3%)

新興国→4.3%(4.3%)
中国→6.8%(6.8%)
インド→7.5%(6.4%)
ASEAN5ヵ国→5.2%(5.2%)
ブラジル→マイナス1.0%(0.3%)
メキシコ→3.0%(3.2%)
ロシア→マイナス3.8%(マイナス3.0%)

2016年成長見通し

世界経済→3.8%(3.7%)
先進国→2.4%(2.4%)
米国→3.1%(3.3%)
ユーロ圏→1.6%(1.4%)
独→1.7%(1.5%)
仏→1.5%(1.3%)
伊→1.1%(0.8%)
西→2.0%(1.8%)
日本→1.2%(0.8%)
英国→2.3%(2.4%)
カナダ→2.0%(2.1%)

新興国→4.7%(4.7%)
中国→6.3%(6.3%)
インド→7.5%(6.5%)
ASEAN5ヵ国→5.3%(5.3%)
ブラジル→1.0%(1.5%)
メキシコ→3.3%(3.5%)
ロシア→マイナス1.1%(マイナス1.0%)

2014年成長率

世界経済→3.4%(3.3%)
先進国→1.8%(1.8%)
米国→2.4%(2.2%)
ユーロ圏→0.9%(0.8%)
独→1.6%(1.5%)
仏→0.4%(0.4%)
伊→マイナス0.4%(マイナス0.4%)
西→1.4%(1.4%)
日本→マイナス0.1%(0.1%)
英国→2.6%(2.6%)
カナダ→2.5%(2.4%)

新興国→4.6%(4.4%)
中国→7.4%(7.4%)
インド→7.2%(5.8%)
ASEAN5ヵ国→4.6%(4.5%)
ブラジル→0.1%(0.1%)
メキシコ→2.1%(2.1%)
ロシア→0.6%(0.6%)

(カバー写真:IMF/Flickr)

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