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アメリカのCEO、1−3月期は楽観スタンスへシフト

by • March 3, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1700

U.S. CEOs More Upbeat About The Economy, Hiring Holds Steady.

ダウ平均やS&P500が3月2日に最高値を更新して引け、ナスダックも2000年3月以来の5000pを突破して取引を終えるなど米株相場は楽観的ムードそのものです。世界的な金融緩和ラッシュという美酒に酔いしれ、ユーフォリアに浸りきっているかのようにも映ります。

米企業のトップ、最高経営責任者(CEO)も株高ムードにほだされたわけでもないでしょうが、楽観にシフトしています。ビジネス・ラウンドテーブルが所属する129社のCEOを対象に1月26日—2月13日に実施した1−3月期調査で、2015年の成長見通しは2.8%増となり、2014年7-9月期および同年10−12月期の2.4%増から上方修正させました。エコノミスト予想の約3%に接近しております。

景気見通しの好転に合わせ、1−3月期の6ヵ月先経済見通し指数は90.8。米政府機関の閉鎖やFedのテーパリング観測が取り沙汰された2013年10−12月期以来の水準に落ち込んだ前期の85.1を超え、3期ぶりの高水準を遂げました。内訳をみると、6ヵ月先の売上見通しが122.5と、前期の115.1から上昇。約3年ぶりの高水準を遂げています。設備見通しも前期の73.3から9.2ポイントも引き上げられました。そろって、2013年7−9月期以来の水準に沈んだ前期から大きく改善しています。

見通し指数は、2014年10−12月期でいったん底打ち。
business roundtable

GDP(緑)とCEOセンチメント(赤)、2013年以降は足並みがやや乱れ気味。
ceo
(出所:Business Roundtable)

設備投資と売上の大幅な上方修正は、成長回復への期待に花を添えます。1−3月期は大寒波と積雪の影響で弱含むリスクが横たわるものの、CEOの回答で4−6月期にペントアップ・ディマンドが芽吹く可能性を高めますから。米10−12月期国内総生産(GDP)改定値で芳しくなかったにも関わらず、CEOの見通しは慎重どころか楽観そのもの。為替差損による業績下押し懸念を払拭させる内容で、ドル高の悪影響をさほど懸念していない米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーもニンマリしているのではないでしょうか。

雇用見通しも、設備投資や売上ほどでなくとも上昇をたどります。2014年10−12月期の67.1を上回り、67.5をつけました。ただ2014年1−3月期に達成した2011年4−6月期以来の高水準にあたる79.0には、ほど遠い。格安百貨店ターゲットが3月3日に数千人単位のリストラを発表するなど、小売業や原油安が痛手となったエネルギー関連で人員削減計画が発表されているように、さほどモメンタムは強くないようです。

項目別、詳細は以下の通り。

▽売上見通し 122.5(前期は19%15.1)
増加する 80%>前期は74%
変化なし 13%<前期は18%
減少する 8%<前期は9%

▽設備投資見通し 82.5(前期は73.3)
増加させる 45%>前期は36%
変化なし 43%<前期は50%
減少させる 13%=前期は13%

▽雇用見通し 67.5(前期は67.1)
増加させる 40%=前期は40%
変化なし 38%>前期は36%
減少させる 23%=前期は23%

特別質問項目は海外で売上を拡大した場合の自社の影響について。回答は、以下の通り。

1位 成長拡大を促し競争性を高める 81%
2位 自社および調達先の従業員維持が可能に 55%
3位 米国内で雇用を増加 54%
4位 米国内での操業を拡張 41%
5位 影響なし 14%

ビジネス・ラウンドテーブルの会長でAT&TのCEOを務めるランダル・スティーブンソン氏は、結果を受けて「米経済と雇用の見通しは2014年より明るいスタートを切った」と指摘。回答したCEOのほぼ半数が「6ヵ月先に設備投資を拡大させる見通しを描いており、2014年末に通過した減税措置によりCEOはセンチメントを取り戻した」と振り返っている。ただし「企業が設備投資を増やし、賃金の良い中流層の雇用を増加させ、経済の成長を押し上げるには、(米連邦政府は)より信頼感を与えるべき」と主張。その上で、前回に続きオバマ米大統領に貿易促進権限(TPA)を与えるよう、要請した。

(カバー写真:Brendan Hoffman/Bloomberg)

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